この記事を読んでわかること
・軽度認知障害とは
・軽度認知障害の症状
・軽度認知障害の診断
みなさんは軽度認知障害という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
軽度認知障害は認知症とも知的に正常とも言えない中間の状態を意味しています。
この記事では軽度認知障害の特徴や症状、治療方法などについてご紹介します。
軽度認知障害とは?
軽度認知障害は、英語でMild Cognitive Impairment(MCI)という言葉です。
認知症と似たような言葉ではありますが、厳密には少し違い、認知症とも知的に正常とも言えない中間の状態のことを表しています。
この軽度認知障害の症状を持っている人がどれくらいいるのかという研究の結果は報告によりさまざまではありますが、65歳以上の高齢者の15~25%が軽度認知障害の症状を持っているのではないかと推定されています。
さらに最近の研究の方が、軽度認知障害の有病率が高く報告される傾向にあるということも指摘されており、今後ますます多くの人にとって関わりのあるものとなってくると予想されています。
軽度認知障害の症状
さて、増加傾向にある軽度認知障害ではありますが、認知症と正常の間とは、そもそもどのような状態のことをいうのでしょうか?
軽度認知障害の診断に用いられる特徴的な症状や状態にとして物忘れの特徴と生活の特徴について説明します。
もの忘れ
まずは認知症にもっとも特徴的な症状が物忘れです。
認知症や軽度認知障害に特徴的な症状で、新しく経験したことなどを記憶することができない特徴があります。
ここで、認知症や軽度認知障害の物忘れは一般的な加齢による物忘れと区別する必要があります。
加齢による物忘れとの見分け方は、何かを経験したことそのものを覚えているかという点です。
例えば、朝ごはんを食べた経験そのものを忘れてしまっている場合には認知症や軽度認知障害らしい症状です。
一方で、朝ごはんは食べたけど何を食べたのだっけ?というような経験そのものは覚えている場合には加齢による物忘れらしいと判断することができます。
普段の生活について
軽度認知障害の特徴として家事や仕事などについては自立して行うことができるという特徴があります。
このような家事や仕事などの普段の日常生活に関わる動きのことを日常生活動作(ADL)といいます。
このADLが自立しているかどうかは、今後患者さん自身やご家族さんがどのように生活をしていくのかに大きく関わっており、認知症と軽度認知障害の違いはADLが自立しているかどうかによって大きく区別されています。
軽度認知障害の診断
上記のように物忘れのような、認知機能の低下を訴える患者さんの中で、正常でもないけれど、認知症でもない方を軽度認知障害と診断します。
軽度認知症はさらに4つに分類される
軽度認知障害は記憶障害の有無によって健忘型軽度認知障害と非健忘型軽度認知障害に分類されます。
さらに認知機能には記憶の他に、遂行、注意、言語、視空間認知のような領域があります。
これらの領域のうち、単一領域のみの障害か、複数領域に渡る障害かによってsingle domainかmultiple domainかというように分類されます。
軽度認知障害の治療法
現状では軽度認知障害や認知症に対して根治を目的とした治療方法は存在しません。
一方で軽度認知障害の場合には認知症への進行の予防を目的とした治療や最近承認され話題となった薬剤についてもご紹介します。
認知症への進行を予防する
軽度認知障害の認知症への進行する割合のことをコンバート率と言います。
認知症診療ガイドライン2017によると軽度認知障害から認知症へのコンバートは1年あたり5~15%と考えられているようです。
コンバートを下げるためには、適度な運動習慣を作ることが大切と考えられています。
また、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の治療を行うことも認知症への進行を予防する効果があると考えられています。
これらの基礎疾患をお持ちの方は症状がないからといって放っておかずに、しっかりと主治医の先生やお近くの医療機関に相談してみましょう。
最近話題となったお薬の効果は?
認知症や軽度認知障害の治療薬と言うと2021年6月米国FDAにて承認されたアデュカヌマブと言うお薬が話題となっていますね。
このお薬は認知症の原因となるアミロイドβを減少させる効果があることからアルツハイマー病治療薬として画期的な治療薬であると期待が寄せられています。
一方でアミロイドβを減少させる効果はあるけれども、臨床的な症状の改善への効果は小さいかもしれないという論文もあります。
現状このお薬がアルツハイマー病や軽度認知障害の症状に効果があるかどうかは断定することはできませんが、今後どのような効果があるのかにはしっかりと注目しなくてはいけませんね。
まとめ
この記事では軽度認知障害について認知症との違いや症状、治療方法などについて最近の知見も踏まえて解説しました。
軽度認知障害は日常生活機能(ADL)の保たれた状態ではありますが、認知症へとコンバートしていく人も一定数います。
適度な運動習慣や基礎疾患の治療に気をつけて認知機能の低下をしっかりと予防しましょう。
まとめ
橋出血は、突然の意識低下や昏睡、四肢の麻痺、眼球運動障害など、命に直結する深刻な症状を伴います。
これらの症状を見逃さず、早期に適切な医療機関で対応することが、患者の命を救う鍵となります。
また、リハビリを通じた後遺症の軽減も重要です。
そうした後遺症に対する治療のために、ニューロテック®では、脳卒中や脊髄損傷を対象にした狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療「リニューロ®」を提供しています。
この治療は、同時刺激×神経再生医療®により損傷部の神経回路の再構築を目指し、患者さんの回復をサポートします。
また、リハビリテーションでは「神経再生リハビリ®」を取り入れ、幹細胞治療と併用して効果的なリハビリを提供しています。
ご興味のある方は、ぜひ当院まで一度ご相談ください。
よくあるご質問
- 軽度の認知症の治療法は?
- 軽度認知障害(MCI)の治療には、薬物療法と非薬物療法が含まれます。
薬物療法では、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬やメマンチンなどが使用されることがありますが、その効果は限定的であり、進行を完全に止めることはできません。
非薬物療法としては、定期的な有酸素運動やバランスの良い食事、十分な睡眠、認知トレーニングなどが推奨され、これらは認知機能の維持や改善に寄与する可能性があります。 - 軽い認知症の症状は?
- 軽度認知障害の主な症状には、物忘れの増加、注意力や集中力の低下、気分の変化、時間や場所の感覚の混乱などがあります。
具体的には、同じことを何度も聞いたり、最近の出来事を忘れることが増え、計算ミスや運転中のミスが増加します。
また、些細なことで怒りやすくなったり、意欲や興味が低下することもあります。
さらに、日付や曜日がわからなくなったり、慣れた場所で道に迷うことがあるなど、時間や場所の感覚に混乱をきたすことも特徴的です。
これらの症状が見られた場合、早めに医療機関を受診し、適切な対処を行うことが重要です。
<参照元>
・Effects of monoclonal antibodies against amyloid-β on clinical and biomarker outcomes and adverse event risks: A systematic review and meta-analysis of phase III RCTs in Alzheimer’s disease|PubMed:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33831607/
・認知症の危険因子・防御因子:https://www.neurology-jp.org/guidelinem/degl/degl_2017_04.pdf
あわせて読みたい記事:認知症の初期に起こりやすい症状や重度認知症について
外部サイトの関連記事:軽度認知障害(MCI)とは?
コメント