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ケルセチンは脳梗塞予防に効果がある?研究とメカニズム

           

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この記事を読んでわかること

ケルセチンが血管に与える作用がわかる。
研究で報告された、ケルセチンによる脳梗塞予防効果がわかる。
ケルセチンと高血圧・動脈硬化・血栓リスクとの関係性がわかる。


脳卒中の予防において、食事の重要性は広く知られています。
本記事では、玉ねぎなどに含まれるポリフェノールの一種「ケルセチン」に注目し、血管への抗炎症作用や血液サラサラ効果、脳梗塞予防への可能性について解説します。
さらに、動物実験による神経保護効果や、高血圧・動脈硬化・血栓リスクとの関連性についても紹介します。

ケルセチンが血管に与える作用〜抗炎症・血液サラサラ効果

ケルセチンが血管に与える作用〜抗炎症・血液サラサラ効果
食品にはさまざまな栄養素が含まれており、毎日、バランスの良い食事をとることは私たちの健康を保つためにも大切です。
脳卒中の治療や予防に対しても、食事は重要な役割を果たします。
脳卒中は、脳梗塞や脳出血、くも膜下出血といった脳血管障害の総称です。
特に、脳出血の大きな原因としては、高血圧が知られています。
高血圧を適切に治療・管理をすることは、脳卒中の予防のためにも有効性が高いことが示されています。
治療には、薬物療法だけでなく、食事や運動などの生活習慣の改善も欠かせません
食事面では、減塩に加えて、野菜や果物の積極的な摂取などが勧められています。

その中でも、今回は玉ねぎの中に含まれる「ケルセチン」という成分について紹介しましょう。
ケルセチンは、野菜や果物に広く含まれているフラボノイドの一つです。
フラボノイドは、植物由来の成分であるポリフェノールのグループに属し、抗酸化作用を持つことで知られています。
このフラボノイドは、免疫細胞による炎症性サイトカインの分泌を阻害し、血小板凝集を抑制して炎症性血栓症を抑制することが知られています。

つまり、ケルセチンには、血管内の炎症を抑える効果があるということです。
また、LDLコレステロールが血液中に多くなりすぎると、LDLが血管に沈着し、酸化・変性されて動脈硬化を起こします。

それに対して、フラボノイドを多く摂取している人は血中のLDLコレステロールが低い傾向にあることが調査で報告されています。

さらに、ケルセチンを豊富に含む食品としては、玉ねぎのほか、リンゴ、ブロッコリー、ケール、赤ワインなどが挙げられます。
これらの食品を日常的に取り入れることで、抗炎症作用や血液をサラサラに保つ効果が期待できるでしょう。
総じて、ケルセチンは血管の健康維持に役立ち、脳卒中の予防にも寄与する可能性がある成分といえます。

動物実験・海外研究で報告された脳梗塞予防効果

動物実験・海外研究で報告された脳梗塞予防効果
脳梗塞は、脳への血流が阻害されることで、脳の組織が酸素不足に陥り、壊死を引き起こしてしまう病気です。
脳梗塞の発症時には、活性酸素種(ROS)の発生が増加し、同時に脳内の抗酸化能が低下することで、酸化ストレスが強まるという特徴的なメカニズムが知られています。
発生したROSは、細胞膜に多く含まれる多価不飽和脂肪酸を過剰に酸化させ、細胞障害や神経細胞死を促進してしまいます。
このため、酸化ストレスの制御は脳梗塞の重症化を防ぐ上で重要な課題とされています。
こうした背景の中、海外で行われた研究では、脳梗塞モデルのラットに対して事前にケルセチンを投与し、その効果を検証したものがあります(Linら、2021)。
その結果、ケルセチン投与群では、脳組織の損傷範囲が縮小し、神経機能の回復が促進されたことが報告されています。
これは、ケルセチンが微量元素の調節や抗酸化作用を通じて神経保護効果を発揮したためと考えられています。

このように、動物実験レベルではありますが、ケルセチンが脳梗塞に伴う神経障害を軽減する可能性が示唆されており、今後の臨床応用への期待も高まっています。

高血圧・動脈硬化・血栓リスクとの関係性

ケルセチンは、血圧に対しても良い影響をもたらすことが研究で示されています。
特に、ケルセチンの摂取量が多い人では、拡張期血圧(心臓が拡張しているときの血圧)が低めであることが報告されています。

拡張期血圧が高いと、脳卒中や心血管疾患のリスクが高まるため、ケルセチンによる血圧低下作用は、これらの疾患予防にも役立つ可能性があると考えられます。
また、ケルセチンには強い抗酸化作用があり、血管内での酸化ストレスを抑えることが知られています。
酸化ストレスが進行すると、血管壁が傷つきやすくなり、動脈硬化が進展しますが、ケルセチンの摂取によりこれを抑制できる可能性が指摘されています。
さらに、抗炎症作用も併せ持つため、血管内の炎症を防ぎ、血小板の凝集を抑えることで、血栓ができるリスクを下げる効果も期待されています。

このように、ケルセチンは高血圧や動脈硬化の進行を抑え、血栓形成を防ぐことで、間接的に脳梗塞の予防にも貢献する可能性があると考えられています。

まとめ

ケルセチンは、抗炎症作用や抗酸化作用、血液をサラサラにする効果を通じて、脳梗塞のリスク低減に役立つ可能性があることが、動物実験や海外の研究から示唆されています。
高血圧や動脈硬化、血栓形成など脳卒中の大きなリスク因子に対しても、ケルセチンを含む食品の摂取が良い影響を与える可能性があるため、日々の食事に取り入れていくことは大切です。
また、脳梗塞を起こした後の再発予防や、神経機能回復のためには、食事療法だけでなく、最新の神経再生医療やリハビリテーションも重要です。
ニューロテック®や脳梗塞・脊髄損傷クリニックでは、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』とあわせて、患者さん一人ひとりに合わせた再発予防の取り組みも行っています。
ご興味のある方は、公式HPをご覧ください。

よくあるご質問

玉ねぎは脳梗塞に効果がある?
玉ねぎに含まれるケルセチンには、抗炎症作用や抗酸化作用、血液をサラサラにする効果があると考えられています。
これらの作用は、高血圧や動脈硬化、血栓形成といった脳梗塞のリスク因子を抑えるのに役立つ可能性があります。

玉ねぎの皮茶は血液をサラサラにしますか?
玉ねぎの皮には、ケルセチンが特に豊富に含まれていることが知られています。
そのため、玉ねぎの皮を使ったお茶(玉ねぎ皮茶)にも抗酸化作用や血液をサラサラに保つ効果が期待されています。

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    1:脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2023〕:https://www.jsts.gr.jp/img/guideline2021_kaitei2023.pdf
    2:Zhang L, Ma J, Yang F, Li S, Ma W, Chang X, Yang L. Neuroprotective Effects of Quercetin on Ischemic Stroke: A Literature Review. Front Pharmacol. 2022 May 18;13:854249. doi: 10.3389/fphar.2022.854249. PMID: 35662707; PMCID: PMC9158527.:https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9158527/
    3:コレステロール摂取に関するQ&A【日本動脈硬化学会】:https://www.j-athero.org/jp/general/5_colqa/
    4:野菜の機能性研究~たまねぎのケルセチンによる認知機能改善の可能性:https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/senmon/1803_chosa03.html
    5:Lin, M.-C.; Liu, C.-C.; Liao, C.-S.; Ro, J.-H. Neuroprotective Effect of Quercetin during Cerebral Ischemic Injury Involves Regulation of Essential Elements, Transition Metals, Cu/Zn Ratio, and Antioxidant Activity. Molecules 2021, 26, 6128. https://doi.org/10.3390/molecules26206128:https://www.mdpi.com/1420-3049/26/20/6128

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    PROFILEこの記事の監修
    貴宝院 永稔
    貴宝院 永稔 医師
    (大阪医科薬科大学卒業)
    • 脳梗塞・脊髄損傷クリニック 総院長
    • 日本リハビリテーション医学会認定専門医
    • 日本リハビリテーション医学会認定指導医
    • 日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
    • ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

    私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
    リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
    このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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