この記事を読んでわかること
・頚椎損傷の初期症状には、手足のしびれや麻痺、筋力低下があることがわかる。
・頚椎の高位損傷では、呼吸困難やチアノーゼが発生する危険があることがわかる。
・頚椎損傷が疑われる場合は、患者を動かさず、速やかに救急車を呼ぶことが重要であることがわかる。
頚椎損傷は、交通事故や転倒、スポーツ中の衝撃などによって発生することが多く、初期の症状を見逃すと重篤な後遺症を引き起こす可能性があります。
特に、手足のしびれや麻痺、呼吸困難などの症状が現れた場合は、迅速な対応が必要です。
この記事では、頚椎損傷の初期症状や危険な兆候を解説し、緊急時の適切な対処法について詳しく説明します。
頚椎損傷による手足のしびれや麻痺の初期症状
脊髄は、脳からの指令を手足に伝えたり、手足などからの感覚を脳に伝えたりする機能をもつ神経の太い束のことです。
頭の方のレベルから、頚髄、胸髄、腰髄、仙髄と呼ばれます。
脊髄は、背骨の骨である脊椎によってできる穴(脊柱管)の中を走っていますが、この脊椎が何らかの原因で損傷を受けてしまうと、脊髄も傷ついてしまう脊髄損傷という状態になることがあります。
(参照サイト:脊髄損傷|一般社団法人日本脊髄外科学会)
(参照サイト:脊椎および脊髄の損傷 – 25. 外傷と中毒 – MSDマニュアル家庭版)
頚椎損傷は、交通事故や転倒、スポーツ中の衝撃などによって発生することが多く、初期の症状を見逃すと重篤な後遺症を引き起こす可能性があります。
特に、手足のしびれや麻痺、呼吸困難などの症状が現れた場合は、迅速な対応が求められます。
ここでは、頚椎損傷の初期症状や危険な兆候を解説し、緊急時の適切な対処法について詳しく説明します。
1. 手足のしびれや感覚異常
頚椎損傷の初期兆候の一つとして、手足のしびれや感覚異常が挙げられます。
これは、脊髄の神経が圧迫されることで起こる症状であり、軽度なものから重度な麻痺まで症状の幅が広いのが特徴です。
特に、左右どちらかだけがしびれる、または全く感覚がなくなる場合は、重大な神経障害の可能性があります。
2. 筋力低下や麻痺
頚椎が損傷すると、手や足の筋力低下が起こることがあります。
重度の損傷では、四肢麻痺(両手両足の麻痺)や、片側の麻痺が発生することもあります。
このような症状がある場合、脊髄の損傷レベルによっては回復が難しくなるため、早急な治療が必要です。
3. 体の動かしにくさやバランスの喪失
頚椎損傷の影響で、体をスムーズに動かせなくなることがあります。
特に、歩行時にふらつきが生じたり、急に転倒しやすくなったりする場合は注意が必要です。
呼吸困難が示す頚椎損傷の危険な兆候
頚椎損傷の中でも、特に頚髄(脊髄の頚椎部分)が損傷された場合は、呼吸困難を引き起こすことがあります。
これは、呼吸をつかさどる横隔膜や肋間筋(肋骨の間の筋肉)の働きが低下するためです。
(参照サイト:脊髄損傷|一般社団法人日本脊髄外科学会)
(参照サイト:脊椎および脊髄の損傷 – 25. 外傷と中毒 – MSDマニュアル家庭版)
以下のような症状がある場合、直ちに救急対応が必要です。
1. 呼吸の浅さや息苦しさ
頚椎の高い位置(C3〜C5付近)での損傷は、横隔膜の機能に影響を及ぼし、呼吸が浅くなることがあります。
息を深く吸えない、または息をするのがつらいと感じた場合は、危険なサインです。
特に、C1,C2のレベルでの脊髄損傷が起こった場合、呼吸が停止してしまうことがあります。
そのため、呼吸困難の兆候がみられた場合には、直ちに救急車を呼びましょう。
もしもこのレベルで脊髄が完全に損傷してしまった場合、人工呼吸器の装着が生命維持のために必要となります。
2. 声のかすれや発声の異常
頚椎損傷によって喉周辺の神経が影響を受けると、声がかすれる、または発声が困難になることがあります。
特に、急激に声が出なくなったり、嚥下(飲み込む動作)が難しくなったりした場合は、気道が狭くなっている可能性もあるため、注意が必要です。
3. チアノーゼ(皮膚や唇の青紫色変化)
呼吸が正常に行えなくなると、体内の酸素が不足し、唇や爪が青紫色になるチアノーゼが現れることがあります。
これは、非常に危険な状態であり、すぐに救急車を呼ぶべき症状です。
緊急時に救急車を呼ぶ判断基準とその後の対応
頚椎損傷が疑われる場合、不用意に患者を動かさず、速やかに医療機関へ搬送することが最も重要です。
以下に述べるような状況では、ためらわずに救急車を呼びましょう。
1. すぐに救急車を呼ぶべき症状
- 手足の麻痺や強いしびれ(突然発生した場合)
- 呼吸が苦しい、または呼吸が浅くなる
- 意識がもうろうとしている、または反応が鈍い
- 頚椎周辺の激しい痛みや腫れがある
このような症状がみられた場合には、すぐに救急車を呼びましょう。
2. 救急隊が到着するまでの対応
- 患者を動かさない:無理に体を動かすと、脊髄の損傷が悪化する可能性があります。
- 首を安定させる:首の動きを最小限にするために、タオルや衣服を丸めて首の両側に置くとよいでしょう。
- 呼吸の確認:意識がある場合は、ゆっくり深呼吸させるよう促します。
呼吸が止まっている場合は、心肺蘇生(CPR)を行う必要があります。
まとめ
頚椎損傷は、適切な対応が遅れると重篤な後遺症や命に関わる危険が伴います。
初期症状として、手足のしびれや麻痺、筋力低下が挙げられますが、特に呼吸困難やチアノーゼが現れた場合は直ちに救急対応が必要です。
救急車を呼んだ後は、患者を動かさず、呼吸の状態を確認しながら医療機関の到着を待つことが重要です。
万が一の際に冷静な判断ができるよう、頚椎損傷の兆候や応急処置を理解しておきましょう。
頚髄損傷後、手足の麻痺や感覚障害が後遺症として残ってしまう場合があります。
こうした後遺症に対しては、リハビリが重要となります。
そこで、当院では『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』を、ニューロテック®と定義し、リハビリと組み合わせています。
また、脳卒中や脊髄損傷、神経障害の患者さんに対する『狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療』を、リニューロ®と定義しました。
リニューロ®は、同時刺激×神経再生医療®で、『狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療』です。
また、その治療効果を高めるために骨髄由来間葉系幹細胞、神経再生リハビリ®の併用をお勧めしています。
ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせくださいね。
よくあるご質問
- 頚部損傷の対応方法は?
- まず、患者を不用意に動かさないことが最も重要です。
首の安定を保ちつつ、すぐに救急車を呼びましょう。
呼吸が苦しそうな場合は、気道を確保し、意識がない場合は心肺蘇生(CPR)を行う必要があります。
応急処置後は、専門の医療機関で適切な診察・治療を受けてください。 - 頸椎損傷の症状は?
- 手足のしびれや麻痺、筋力低下、首の痛みが主な症状です。
重度の場合は呼吸困難や意識障害が起こることもあります。
特に、チアノーゼ(唇や爪が青紫色になる)が見られる場合は緊急性が高いため、速やかに医療機関を受診してください。
<参照元>
(1)脊髄損傷|一般社団法人日本脊髄外科学会:
https://www.neurospine.jp/original62.html
(2)脊椎および脊髄の損傷 – 25. 外傷と中毒 – MSDマニュアル家庭版:
https://www.msdmanuals.com/
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