この記事を読んでわかること
・首の後ろが痛い場合の可能性として考えられる脳卒中の症状がわかる。
・くも膜下出血や椎骨動脈解離などの具体的な症状と前兆がわかる。
・痛みの原因が脳卒中以外の場合についての説明がわかる。
首の後ろが痛いと感じた際には、いろいろな原因が考えられます。
こうした場合には、脳卒中並びに椎骨動脈解離など、放置すべきでない重大な病気の可能性が隠れています。
今回の記事では、脳卒中や椎骨動脈解離などの特徴的な症状と前兆、救急対応の基準、他の可能性について解説します。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
くも膜下出血が引き起こす突然の激しい痛み
くも膜下出血は、脳を覆っている薄い膜である髄膜の内側層(軟膜)と中間層(くも膜)との間にあるすき間であるくも膜下に出血が起こることです。
くも膜下出血の原因としては、動脈瘤という動脈にできたこぶの破裂といわれています。
動脈瘤は、生まれつきある場合や、高血圧状態が長期間続くことで動脈の壁が弱くなってしまう場合などがあります。
他にも、動脈解離(どうみゃくかいり)という、動脈の壁の一部がもろくなり、裂けてしまうことが原因となることもあります。
大きな動脈瘤が破裂し、くも膜下出血が起こると、以下のような特徴的な症状がみられます。
- 頭痛:突然の激しい痛み
- 顔や目の痛み
- 複視(ふくし):物が2重に見える
- 目がかすむ
- 意識消失
- 項部硬直(こうぶこうちょく):首が固くなり、曲がらなくなる。
通常、すぐにはみられない
なお、くも膜下出血で頭痛が起こる理由としては、脳動脈瘤が破裂して血液がくも膜下腔に流入することで、髄膜が刺激されたり、頭蓋内圧が急激に上昇したりするためです。
このような症状が現れた場合、すぐに病院を受診するか、あるいは救急車を呼ぶ必要があります。
特に、突然の頭痛には要注意です。
脳卒中による痛みの特徴と見分け方
脳の血管の異常による病気のことを総称して脳血管障害、あるいは脳卒中といいます。
くも膜下出血は、この脳卒中の一部です。
他には、脳梗塞や脳出血があります。
脳卒中の中でも、特にくも膜下出血における典型的な症状として、突然の激しい頭痛があります。
しばしば、「突然起こる、人生で最も激しい頭痛」と表現され、「雷鳴頭痛」といわれることもあります。
動脈瘤が破裂すると、こういった突然激しい頭痛が起こり、数秒以内に痛みがピークに達します。
そして、その後意識消失も短い時間ですが起こることがあります。
病院に到達する前に、一部の方は亡くなります。
また、脳卒中以外にも首の後ろの痛みの原因には以下のようなものがあります。
- 筋緊張性頭痛:長時間のパソコン作業やストレスによって首や肩の筋肉が緊張し、痛みを引き起こします。
- 頸椎症:頸椎が変形したり、神経を圧迫することで発生します。
- 片頭痛:脳の血管の拡張などが原因となる頭痛です。
その他、椎骨動脈(ついこつどうみゃく)解離も重要です。
椎骨動脈は、脳の後ろ側や脊髄などに酸素や栄養を運ぶ血管で、左右の2対からなります。
椎骨動脈解離という、この椎骨動脈の壁が裂けてしまう(解離)によっても、くも膜下出血が起こることがあります。
この場合、突然に起こった頭の後ろ側や首の後ろ側の痛みが典型的とされています。
しかし、脳の動脈の破裂の場合と比べると、経過は良好であることが多いようです。
痛みが発生してから、動脈の解離が発生するまでは、平均10日であるという報告もあります。
椎骨動脈解離が起こり、くも膜下出血が続いて起こる他、動脈瘤になったり脳梗塞になったり、あるいはもう1本の椎骨動脈にも解離が生じたりすることもあります。
痛み以外の脳卒中の前兆となる症状とは?
痛み以外にも、脳卒中の前兆となる症状はあります。
例えば、動脈瘤が目の動きをコントロールする神経である動眼神経を圧迫すると、複視といって物が2重に見える場合があります。
また、警告頭痛という、軽い頭痛が起こることもあります。
これは、動脈瘤から少しずつ血液が漏れ出し、頭痛を引き起こしているというものです。
また、他にも以下のような症状は、脳卒中を示唆する可能性があります。
こうした症状がみられる場合には、速やかに救急車を呼ぶようにしましょう。
- 突然の激しい頭痛や首の後ろの痛み
- 意識を失う、または極度に眠気がみられる
- 手足の麻痺や片側だけの脱力、しびれ
- 言葉が出にくい、話しにくいなどの言語障害
- 突然の視力低下や物が二重にみえる視覚障害
脳卒中の症状は、時間の経過とともにどんどん悪化していくことがあるので、迷わず行動するようにしましょう。
まとめ
首の後ろが痛いと感じた際には、まれではありますがくも膜下出血をはじめとする脳卒中の前兆である場合があります。
特に、突然の激しい痛みやその他の異常がみられる場合には、速やかに医療機関を受診したり、救急車を呼んだりする必要があります。
一方で、痛みがストレスや筋緊張性頭痛など比較的軽微な原因である場合もあります。
自己判断が難しい場合には、専門医に相談することが大切です。
脳卒中によって後遺症が生じてしまった場合には、リハビリテーションが重要です。
そこで、当院ニューロテック、脳梗塞脊髄損傷クリニックなどでは、リハビリテーションの効果を高めるため、再生医療に着目しました。
そして、脳卒中・脊髄損傷を専門として、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しております。
リニューロ®では、同時刺激×神経再生医療®、骨髄由来間葉系幹細胞を用いて狙った脳や脊髄の治る力を高めた上で、神経再生リハビリ®を行うことで神経障害の軽減を目指します。
ご興味のある方は、ぜひ一度当院までご相談くださいね。
よくあるご質問
- 首の後ろが痛くなる警告頭痛とは?
- 警告頭痛は、動脈瘤から少量の血液が漏れ出し、髄膜を刺激することで発生する軽度の頭痛を指します。
この頭痛は、突然激しい痛みを伴うくも膜下出血の発症前に現れる可能性があり、脳卒中の重要な前兆とされています。 - 首の後ろが痛くなる病気は?
- 代表的な病気には、くも膜下出血、椎骨動脈解離、筋緊張性頭痛、頸椎症、片頭痛などがあります。
特に突然の激しい痛みを伴う場合は、脳卒中の可能性があるため、早急な受診や救急対応が必要です。
<参照元>
疼痛のみで発症した椎骨動脈解離の臨床像.脳卒中の外科.2022;(50):266‐273.:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/scs/50/4/50_266/_pdf
くも膜下出血(SAH) – MSDマニュアル家庭版:
https://www.msdmanuals.com/
くも膜下出血 | 脳神経外科 京都大学医学部附属病院:
https://neurosur.kuhp.kyoto-u.ac.jp/patient/disease/dis25/
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