この記事を読んでわかること
・軽度認知症の初期症状
・軽度認知症の注意すべきサインのチェックリスト
・軽度認知症と似た症状を持つ疾患
軽度認知症は、その初期症状がとても些細なため、すぐにはわからないことがあり診断が遅れることもあります。
しかし軽度認知症と似たような症状を持つ疾患のなかには、治療可能な疾患もあるので、物忘れが増える、性格が変化したなどのサインに気がついたら、まずはかかりつけ医を受診して判断を仰ぐとよいでしょう。
軽度認知症の初期症状
軽度認知症の初期症状はさまざまですが、一般的には以下のようなものがあります。
- 物忘れが増える、特に最近の出来事を覚えていない
- 集中力が低下する
- 性格や行動が変わる
- 無気力になり引きこもる、気分が落ち込む
- 日常業務の遂行能力が低下する
ときに、これらの症状に問題がある可能性を認識していない人もいます。
また、症状が徐々に進行するため、気がつかないうちに認知症が進行していることもあります。
さらに何か問題があるとわかっていても、診断されることを恐れて行動を起こさない人もいます。
軽度認知症の注意すべきサインのチェックリスト
以下のチェックリストで、軽度認知症の一般的な症状を確認してみましょう。
これらのサインがいくつか見られる場合は、医師の診察を受けてください。
物忘れ
予定を忘れることがあっても、あとから思い出すことは普通にあります。
しかし軽度認知症の人は、より頻繁に物事を忘れたり、予定を全く覚えていなかったりします。
日常生活における作業が難しくなる
軽度認知症の人は集中することができなくなり、日常生活において以前できていたことができなくなる、あるいは忘れてしまうことがあります。
例えば、食事の準備に関わるすべての手順を思い出せず、苦労することがあります。
見当識障害
軽度認知症の人は、慣れ親しんだ場所への行き方がわからなくなったり、自分がどこにいるのか分からなくなったります。
今日の日付を思い出せなくなることも、重要なサインです。
言葉の問題
誰でも適切な言葉を見つけるのに苦労することがありますが、軽度認知症の方は簡単な言葉を忘れたり、不適切な言葉で代用したりして、文章を理解するのが難しくなることがあります。
また、他人が話している内容を理解することが困難になる場合もあります。
抽象的思考能力の低下
抽象的な概念を理解することが難しくなることがあります。
例えば軽度認知症の人は、数字の意味を理解することが難しくなることがあります。
そのためお金の管理が難しくなり、気づかないうちに大きな金額の買い物をしてしまうこともあります。
判断力の低下
多くの活動には、適切な判断力が必要です。
軽度認知症の人は、例えば寒いときに何を着ればよいかなど、適切な判断ができなくなることがあります。
空間認識能力の低下
軽度認知症の人は、車を運転するときに距離や方向を判断することが難しくなることがあります。
物の置き忘れ
財布や鍵などは、誰でも一時的に置き忘れることがあります。
しかし軽度認知症の人は、その鍵が何のためのものかわからなくなることもあります。
気分、性格、行動の変化
誰でもときどき、悲しくなったり気分が落ち込んだりするものです。
しかし軽度認知症の人は、明らかな理由もなく、急激な気分の変化を起こすことがあります。
例えば性格が激しくなって些細なことで怒り出したり、親しい家族に対して疑い深くなったりすることもあります。
なかには、内向的に引きこもる人もいれば、逆に外向的になったりする人もいます。
自発性の喪失
誰でも好きなことが変わり、やる気が起きないことはあります。
しかし軽度認知症になると、それまで楽しんでいた趣味の活動に対しても興味を失ってしまうことがあります。
軽度認知症と似た症状を持つ疾患
軽度認知症に似た症状を持つ疾患は多くあります。
軽度認知症にみられる症状があるからといって、認知症と決めつけないことが大切です。
例えば脳卒中、うつ病、長期にわたるアルコールの過剰摂取、中枢神経の感染症、脳腫瘍などは、すべて軽度認知症に似た症状を引き起こす可能性があります。
これらの症状の多くは治療可能ですので、医師による診察を受けることが大切になります。
軽度認知症の診断
軽度認知症はとてもわかりにくいことがありますが、その診断は早期に行う必要がありますので、気になるときはまずかかりつけの医師に相談するのが一番です。
次に、医師が軽度認知症を診断するために行うことをご紹介します。
病歴聴取
過去と現在の医学的問題、家族の病歴、服用している薬、心配されている記憶、思考、行動の問題について、本人あるいはご家族に質問します。
身体診察
軽度認知症と似た症状を持つ疾患を除外するために、身体診察では、心臓や呼吸の通常の診察に加え、神経機能を評価する診察を行います。
臨床検査
症状の原因となっている可能性のある病気を特定するために、さまざまな血液検査や尿検査を行います。
場合によっては、少量の髄液を採取して検査を行うこともあります。
認知機能検査
記憶力、言語能力、注意力、問題解決能力などの思考能力を評価するために、いくつかの質問や課題から構成される認知機能検査を行うことがあります。
画像検査
脳の構造を調べることを目的に、CTやMRIなどの画像検査を行うこともあります。
このほかにも、うつ病などの治療可能な疾患が疑われるときには、精神医学の観点から評価をすることもあります。
まとめ
軽度認知症の初期症状を中心にご説明しました。
普段できていたことができなくなってしまうことは残念なことですが、早期に気づくことで治療可能な原因を見つけ出すことも可能になります。
症状が軽いと、ついつい先延ばしにしてしまいますが、より良い生活を長く続けるためにも、気になる症状があればぜひかかりつけ医に相談してみましょう。
よくあるご質問
- 軽度認知症の初期症状は?
- 一般的には物忘れが増える、特に最近の出来事を覚えていない、集中力が低下する、性格や行動が変わる、無気力になり引きこもる、気分が落ち込む、日常業務の遂行能力が低下するといった症状が現れます。
- 軽度認知症の一般的な症状は?
- 物忘れ、日常生活における作業が難しくなる、見当識障害、言葉の問題、抽象的思考能力の低下、判断力の低下、空間認識能力の低下、物の置き忘れ、気分・性格・行動の変化、自発性の喪失といった症状が見られます。
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