この記事を読んでわかること
・パーキンソン症候群の一部として分類されるPSPの特徴
・PSPとパーキンソン病の原因と病態の違い
・神経変性疾患に共通する症状と治療法
進行性核上性麻痺(PSP)とパーキンソン症候群はどちらも神経変性疾患です。
初期症状が類似しているため、鑑別診断が難しいことがあります。
でも、症状に違いが見られます。
PSPは、垂直方向の眼球運動が困難になったり、姿勢が不安定になり転倒しやすくなったりするのが特徴です。
一方、パーキンソン病は、手足の震えや動作が遅くなることが特徴です。
パーキンソン症候群の一部として分類されるPSPの特徴
この記事ではパーキンソン症候群の一部として分類されるPSPの特徴について解説します。
PSPは、パーキンソン病と似た症状を起こす神経変性疾患ですが、進行がより早く、特徴的な症状を呈します。
まず、眼球運動障害です。
上下方向の眼球運動が困難になるのが特徴であり、初期症状として現れることも多いです。
パーキンソン病では比眼球運動は比較的正常に保たれるので、パーキンソン病との鑑別に役立ちます。
次に、体動時の障害です。
前かがみの姿勢になりやすく、バランスを保つことが難しくなるので、転倒しやすくなります。
さらに、小刻みな歩行になり、後ろに転びやすくなります。
筋肉が硬くなり、動作がぎこちなくなります。
特に首の筋肉が固まることが多く、首が後ろに反るような姿勢になることが多いです。
PSPでは前かがみの姿勢になりやすく、パーキンソン病では猫背になることが多いことも鑑別点となります。
また、病気が進行すると、記憶力低下や判断力の低下などの認知機能障害が現れることがたびたびあります。
PSPとパーキンソン病の原因と病態の違い
この記事では、PSPとパーキンソン病の原因と病態の違いについて解説します。
両疾患とも原因は、完全には解明されていません。
しかしながら、脳内の特定の神経細胞が変性する共通点があります。
PSPは、脳幹や大脳基底核の神経細胞が変性します。
特に、眼球運動を司る神経細胞の変性が特徴的です。
この神経細胞の変性は、tauタンパク質が関与することが知られています。
一方、パーキンソン病は、中脳の黒質にあるドーパミン神経細胞の変性が原因とされています。
病態の違いは以下です。
PSPは、tauタンパク質が神経細胞内に異常蓄積し、神経細胞の壊死をもたらし、さまざまな神経症状が起こると考えられています。
具体的には、眼球運動、姿勢制御、歩行、認知機能などに障害が起こります。
一方、パーキンソン病では、ドーパミン神経細胞が変性し、神経伝達物質であるドーパミンの分泌が減少することにより、運動のコントロールが困難になります。
これにより、振戦、筋肉の固縮、動作の緩慢、無動症などの特徴的な症状が起こります。
神経変性疾患に共通する症状と治療法
この記事では神経変性疾患に共通する症状と治療法について解説します。
神経変性疾患は、脳や脊髄の神経細胞が徐々に変性し、機能を失っていく疾患の総称です。
共通する症状として、認知機能の低下、運動機能の障害、自律神経機能の障害などが挙げられます。
認知機能の低下は、記憶力、判断力、思考力などの低下をもたらし、日常生活に支障をきたすことが多いです。
運動機能の障害としては、振戦、筋肉の硬直、動作の緩慢、歩行困難などの症状があります。
自律神経機能の障害は、呼吸、循環、消化などの生命維持に必要な機能の低下をもたらします。
治療に関しては、根本的治療は確立されていません。
症状を緩和し、生活の質を向上させる対症療法が中心となります。
まずは、各疾患に対応する薬物療法が用いられます。
例えば、パーキンソン病ではドーパミン補充療法が、アルツハイマー病ではコリンエステラーゼ阻害剤などが使用されます。
次に、運動機能の回復や日常生活動作の質の改善を図る目的で、物理療法、作業療法、言語療法などのリハビリテーションがあります。
その他、音楽療法やアロマセラピーなどの非薬物療法が用いられることもあります。
まとめ
今回の記事では、進行性核上性麻痺とパーキンソン症候群の違いは何ですか?について解説しました。
いずれも神経が変性し、身体機能に障害を来す疾患です。
変性した神経を蘇させる治療は難しいのが現状です。
そのため、新たな治療として、再生医療に期待が持てます。
『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』を、ニューロテック®と定義しました。
ニューロテック、脳梗塞脊髄損傷クリニックなどでは、脳卒中・脊髄損傷を専門として、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しております。
リニューロ®とは、脳卒中や脊髄損傷、神経障害の患者さんに対する『狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療』と定義しております。
具体的には、同時刺激×神経再生医療Ⓡに加えて、治療効果を高めるために骨髄由来間葉系幹細胞、神経再生リハビリ®を併用し、神経障害の更なる軽減を目指しています。
これらの治療法は、進行性核上性麻痺とパーキンソン症候群などの神経変性疾患の症状で苦しむ患者さんに対して期待が持てる治療となるでしょう。
よくあるご質問
- 進行性核上性麻痺とパーキンソン症候群の違いは何ですか?
- 両者とも類似している疾患ですが、症状に違いがあります。
進行性核上性麻痺は、垂直方向の眼球運動が困難になったり、姿勢が不安定になり転倒しやすくなったりします。
一方、パーキンソン病は、手足の震えや動作が遅くなることが特徴です。
また、PSPはパーキンソン病よりも進行が早く、認知機能の低下が早い段階で見られることが多いです。 - 進行性核上性麻痺の特徴は?
- 進行性核上性麻痺は、脳内の特定部位に異常な蛋白が蓄積することで起きる神経変性疾患です。
原因は完全には解明されていませんが、遺伝的な要因の関与が考えられています。
進行は緩徐であり、早期の診断と適切な対症療法が重要です。
<参照元>
・進行性核上性麻痺(指定難病5)|難病情報センター:https://www.nanbyou.or.jp/entry/4114
・パーキンソン病(指定難病6)|難病情報センター:https://www.nanbyou.or.jp/entry/169
あわせて読みたい記事:進行性核上性麻痺(PSP)の予後と再生医療の進展
外部サイトの関連記事:脳血管障害性パーキンソン症候群とは
コメント