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脊髄性筋萎縮症の原因とは

           

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この記事を読んでわかること

脊髄性筋萎縮症とは
脊髄性筋萎縮症の原因
脊髄性筋萎縮症の治療


脳や脊髄には様々な病気があります。
神経の病気であるため症状は複雑であることが多く、生活への影響が大きい領域です。
病気には生活習慣病が原因となるものや、けがが原因となるものなど後天的な要因が引き起こす種類がある一方で、生まれつき異常を抱える先天的な病気があります。
頻度として多いものではありませんが、生まれてすぐに対応が必要となるものもあり、重要です。
この記事では脊髄の先天的な病気の一つである、脊髄性筋萎縮症について解説します。

脊髄性筋萎縮症とは

脊髄性筋萎縮症とは、脊髄にある前角細胞が変性することで筋肉が萎縮し、筋力低下が徐々に進行する病気です。
前角というのは脊髄の中でも運動にかかわる神経細胞が多く集まる場所で、脳から出た運動の指令を体へ伝えるために欠かせない場所です。
脊髄性筋萎縮症ではSMN1という遺伝子に異常があり、脊髄前角細胞が変性し運動の指令が体へ伝わりづらくなります。
海外では出生10万人当たり8.5-10.3人、国内では10万人あたり0.5-1人の発症率とされています。
0型から4型まで分類されており、重症の0型、1型では生後6ヶ月~2歳までに亡くなってしまいます。
4型では21歳以降に歩行が不安定になるなどの症状で発症しますが、生命に関わるケースは多くありません。
3型は生後18ヶ月以降に発症するため歩行は獲得できることが多いものの、次第に転びやすい、歩けないなどの症状が発生します。
2型は1型と3型の中間に位置づけられます。

脊髄性筋萎縮症の原因

脊髄筋萎縮症の原因は遺伝による
脊髄性筋萎縮症の原因は、遺伝です。
脊髄性筋萎縮症は常染色体劣性遺伝という遺伝形式を取ります。
子どもは両親から遺伝子を受け継ぎ生まれてきます。
常染色体劣性遺伝とは、両親が両方とも保因者(病気の性質がある遺伝子を持っているものの発症していない状態)である場合に子どもが発症する可能性のある形式です。
両親それぞれ二つずつある遺伝子の、病気の性質がある遺伝子が揃った場合にのみ発症するため、子どもが発症する可能性は四分の一、つまり25%です。
一人目の子どもが発症してもしなくても、二人目以降が発症する可能性は同じく25%です。

脊髄性筋萎縮症の診断

四肢および体幹の対称性筋力低下や筋緊張低下、運動発達の停止などにより本症の可能性が想定されます。
知覚や知的なレベルは正常であるとされています。
筋電図や神経伝導速度検査、心電図など電気を使用した検査で本症が疑われる場合、以前は筋生検(筋肉の一部を採取して顕微鏡検査を行う)で診断がなされていました。
近年ではまず遺伝子検査が行われ、必要な場合に筋生検が行われるということになっています。

脊髄性筋萎縮症の治療

脊髄性筋萎縮症の治療は難しく、研究が長く行われてきました。
筋萎縮性硬化症という病気に使用されるリルテック、ガバペンチンという薬、トリコスタチAという抗がん剤、フェニルブチレート、バルプロ酸Naなど様々な方法が試みられてきましたが、大きな改善は得られませんでした。
近年になりヌシネルセンという薬剤(疾患修飾薬というものに分類されます)の効果が認められ、2017年に国内でも製造販売が承認されました。
ただし定期的に脊髄へ直接投与(くも膜下注射)する必要があるため、患者さんへの負担が大きい治療です。
さらに新しい治療としてアデノ随伴ウイルスベクターを使用した遺伝子治療が始まり、生存期間の延長や運動機能の改善が認められています。
1回の点滴で治療することができるため、今後の治療の中心になると予想されています。
治療が非常に難しい疾患であるため、新たな治療法の開発が期待されます。
神経の治療として将来性が期待されているのが、再生医療です。
ニューロテックメディカル株式会社では、「ニューロテック®」として脳卒中・脊髄損傷・神経障害などに対する幹細胞治療の基盤特許を取得しており、再生医療の効果を高める取り組みを行っています。

まとめ

先天的な神経の難病である、脊髄性筋萎縮症について解説しました。
重症では生存期間が限られる難しい病気であり、神経疾患の治療が難しいことや脊髄が体にとってどれだけ重要な器官であるのかを実感させられる病気の一つです。
希少疾患であるため治療は大学病院など高度な医療機関で行われることとなります。
再生医療が患者さんやご家族の新たな光となることが期待されます。

よくあるご質問

脊髄筋萎縮症の原因は?
脊髄性筋萎縮症は、常染色体劣性遺伝という遺伝形式により筋肉が弱くなっていく病気です。 SMA患者(脊髄性筋萎縮症)はSMN1エクソン7という遺伝子が原因で、両親が保因者同士の場合は、SMAを発症する子どもが生まれる確率は1/4となります。

脊髄筋萎縮症の治療薬は?
SMA患者(脊髄性筋萎縮症)の治療薬は、スピンラザ®の「ヌシネルセン」と言われています。日本では2017年7月3日製造販売承認を得て、脊髄性筋萎縮症の治療に使用されています。

<参照元>
・「脊髄性筋萎縮症の診断と治療の進歩」北海道作業療法35(4), 2018
・「脊髄性筋萎縮症」小児科診療65増刊号, 2002

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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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