神経鞘腫がほぼ良性腫瘍と言われる原因と症状を解説 | 脳卒中・脊髄損傷|麻痺痺れなど神経再生医療×同時リハビリ™で改善

神経鞘腫がほぼ良性腫瘍と言われる原因と症状を解説

           

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この記事を読んでわかること

神経鞘腫の病態がわかる
神経鞘腫の原因がわかる
神経鞘腫に対する治療とそのリスクがわかる


神経鞘腫とは末梢神経系に生じる良性疾患であり、特に聴神経に多く発症することが知られています。
基本的に良性疾患であるため、手術で取り切れれば根治できますが、手術の難易度は非常に高く、さまざまなリスクもあります。
この記事では、神経鞘腫の原因や症状、治療のリスクなどについて詳しく解説します。

神経鞘腫の原因とリスク要因

神経鞘腫の原因とリスク要因
神経鞘腫とは、末梢神経の髄鞘を形成するシュワン細胞が腫瘍化してさまざまな神経症状をきたす病気です。
神経系は、脳や脊髄などの中枢神経と、脊髄から対象とする臓器や筋肉へ伸びる末梢神経の2つに大別されます。
神経鞘腫は、中枢神経ではなく末梢神経における腫瘍であり、神経本体ではなく、神経を外側から包む髄鞘と呼ばれる構造物の腫瘍です。
1つの神経細胞は、核となる神経細胞体と、そこから伸びる軸索で構成されており、最終的に軸索終末から、次の神経細胞に刺激を伝達し、それがいくつも連なることで末梢神経が構成されています。
この軸索を外側から包む構造物こそ髄鞘であり、軸索を守る役割を持つとともに、絶縁体として機能し、神経刺激の伝達速度を早める機能を持ちます。
しかし、髄鞘を形成するシュワン細胞が腫瘍化して増殖すると、内部を走行する軸索が障害されて、麻痺やしびれなどの神経症状が出現するわけです。
では、なぜシュワン細胞が腫瘍化してしまうのでしょうか?
結論から言えば、その原因は現在に至るまで解明されていません。
また、年齢・性別・人種にも統計学的な偏りなく発症するため、リスク要因も特に認められていないです。
ほとんどの場合が原因不明の孤発性で、一部では放射線照射歴に発症が関与しているという報告もありますが、明確なエビデンスは得られていないのが現状です。
ただし、稀に多発して発症することがあり、これを神経線維腫症2型と言いますが、神経線維腫症2型の場合は、染色体22q12.2に位置する成長抑制蛋白、merlin(moesin-ezrin-radixin-like protein、またはschwannominとも呼ばれる)の欠失と関係があることが知られています。
なぜそのような反応が起こってしまうかまでは解明されていません。

神経鞘腫の典型的な症状とは?

神経鞘腫の典型的な症状は、どの神経に腫瘍が発生するかによっても異なります。

  • 局所の麻痺や痺れ
  • 耳鳴り・めまい・聴力低下
  • 顔面の知覚低下・顔面の麻痺
  • 振戦・ふらつき

軟部組織など、局所の末梢神経において発症した場合は、その神経が支配する部位のしびれや痛みが出現します。
また、神経鞘腫は脳神経に発症しやすく、中でも90%以上は第8脳神経である聴神経に発症することが多いです。
聴神経が障害されることで、耳鳴り・めまい・聴力低下などの症状が出現し、ここからさらに進展して三叉神経が障害されれば顔面の知覚低下を来します。
また、顔面神経も障害されると顔面神経麻痺、さらに小脳や脳幹まで進展すれば振戦・ふらつき、手足の麻痺なども生じます。
このように、どの神経に腫瘍が形成・進展するかで、出現する症状も異なるわけです。

全摘後の神経障害に対する治療とは

基本的に神経鞘腫はほとんどが良性疾患であるため、周囲の組織に癒着や浸潤せずに成長します。
そのため、病変を綺麗に摘出できれば根治を目指すこともできますが、この手術は非常に難しいことが知られています。
聴神経の軸索に生じた神経鞘腫を、聴神経自体を損傷することなく切除するのは非常に高難度であり、少しでも聴神経を傷つけてしまえば術後に聴覚障害が残存してしまうリスクもあり、注意が必要です。
仮に術後神経障害が残存した場合、例えば聴神経障害であれば人工内耳の挿入や、聴性脳幹インプラントによる聴覚再建を検討します。
そのほか、麻痺やしびれ、嚥下障害などに対してはリハビリテーションなどの理学療法を実施することが一般的ですが、これらの後遺症によってその後の社会生活に大きな支障をきたしたり、思ったような生活を送れなくなる可能性もあります。

まとめ

今回の記事では、神経鞘腫がほぼ良性腫瘍と言われる原因と症状について詳しく解説しました。
神経鞘腫はほぼ良性腫瘍であるため、基本的に周囲の組織を巻き込むことなく成長します。
基本的な治療方針は手術療法での切除ですが、もし切除し切らない場合は結局時間の経過とともにまた増大し、さまざまな症状をきたす可能性が高いため、正常な神経を傷つけることなく取り切る必要があります。
しかし、神経の周囲を包む髄鞘が腫瘍化しているため、摘出する際に神経を損傷するリスクもあります。
もし手術で後遺症が残った場合、現状リハビリテーションなどが主な治療法ですが、完全に根治することは困難なケースが多いです。
そこで、ニューロテックメディカルでは、「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
「ニューロテック®」では、脊髄や神経の治る力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
また、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「同時刺激×神経再生医療Ⓡ」によって、改善困難な術後の神経学的後遺症の改善も期待できます。

よくあるご質問

神経鞘腫はなぜできるのですか?
神経鞘腫が、末梢神経の髄鞘を形成するシュワン細胞の増殖によって生じていることは判明していますが、なぜそのようなことが起こってしまうのかの原因については解明されていません。
人種や性別、地域差なども認めず、リスク要因も判明していません。

神経鞘腫が悪性化する確率は?
神経鞘腫が悪性化する確率は非常に稀で、99%は良性腫瘍、全体の約1%だけが悪性腫瘍です。
悪性化すると、周囲に浸潤・転移する可能性があり、治療が困難となる可能性もあるため、注意が必要です。

<参照元>
・日本神経病理学会:https://www.jsnp.jp/shikkan/cerebral_7.htm
・小児慢性特定疾病情報センター:https://www.shouman.jp/disease/details/01_06_088/

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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
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