化膿性脊椎炎による骨や神経回復と再生医療の可能性|脳梗塞・脊髄損傷後遺症の幹細胞治療|ニューロテックメディカル

化膿性脊椎炎による骨や神経回復と再生医療の可能性

           

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この記事を読んでわかること

化膿性脊椎炎の病態がわかる
化膿性脊椎炎の治療法がわかる
化膿性脊椎炎と再生医療の関係性がわかる


化膿性脊椎炎とは、なんらかの原因で脊椎を形成する椎体に細菌が感染し、骨や椎間板の破壊を引き起こす病気です。
進行すれば脊髄や神経も障害されるため、様々な神経学的後遺症を引き起こす可能性もあります。
この記事では、化膿性脊椎炎に対する新たな治療法として、再生医療の可能性について詳しく解説します。

化膿性脊椎炎後の椎体壊死や変形への対処法

化膿性脊椎炎後の椎体壊死や変形への対処法
化膿性脊椎炎とは、体内に侵入した細菌が主に血液を介して脊椎に感染し、炎症を引き起こす病気です。
一般の成人で発症することは稀であり、糖尿病や透析患者、ステロイドや免疫抑制剤使用患者などに多く見られる病気です。
最も腰椎で発症しやすく、ついで胸椎・頚椎の順に発症しやすく、発症した椎体の軟骨下骨部から椎間板、その後に隣の椎体に波及すると言われています。
主な治療法は抗生剤の投与ですが、原因菌によっては効果が得られにくいこともあり、その場合は感染した椎体に対するドレナージを行うこともありますが、長期間感染をコントロールできない場合、骨が破壊されてしまいます。
椎体の破壊や変形、更に膿が硬膜内側に進展すれば、脊髄や神経を圧迫して麻痺やしびれが出る可能性もあるため、注意が必要です。
椎体の破壊や変形によって脊椎の構造が不安定になっている場合は、感染部位の掻爬や洗浄とともに、脊椎に直接スクリューを打って金属製のロッドに繋いで動きを止める脊椎固定術を行う事もあります。
以上のことからも分かる通り、化膿性脊椎炎は脊椎の破壊が起こるよりも前に、いかに早期診断・早期治療できるかが予後や治療法を左右する病気であり、早期発見が非常に重要です。

再生医療(幹細胞・サイトカイン療法)の可能性と研究動向

再生医療(幹細胞・サイトカイン療法)の可能性と研究動向
化膿性脊椎炎に対する新たな治療法は常に模索されています。
以前までは、感染巣の掻爬による新鮮化と自家骨移植による脊椎の安定化が主な治療法でしたが、1990年以降は先述したような脊椎固定術が標準的な治療として行われています。
更に近年では、手術の低侵襲化を目指してさまざまな術式の改良が進んでおり、主に内視鏡を用いた病巣掻爬と持続洗浄ドレナージや、最低限の侵襲で行われる最小侵襲脊椎制動術(MISt)などです。
一方で、これらの治療はあくまで破壊された脊椎を洗浄し、人工物で固定する手術であり、元の脊椎に戻るわけではありません。
そこで、近年では化膿性脊椎炎に対する新たな治療法として再生医療の分野が大変注目されています。
再生医療とは、分化能と自己複製能の両方を持ち合わせる幹細胞と呼ばれる細胞を用いて、損傷した臓器や組織、機能を再生させる治療法のことです。

分化能 異なる系統の細胞に分化する能力
自己複製能 分化した細胞が大量に自己複製して増殖する能力

実際に、大阪大学ではこれまで難治であった膝関節の軟骨損傷に対し、滑膜由来の間葉系幹細胞(MSC)を用いた再生医療によって、軟骨再生を実現しています。

この技術を応用すれば、化膿性脊椎炎によって破壊された椎体・椎間板などの再生が期待できます。
さらに、化膿性脊椎炎が進行して脊髄や神経が障害された場合も、神経細胞の再生も同時に期待できるため、麻痺やしびれなどの後遺症の改善が期待でき、今後の知見が待たれるところです。

現在の保険外治療と今後の臨床応用の展望

化膿性脊椎炎に対する治療自体は一般的に全て健康保険が適応されるため、保険外治療を行うことはありません。
しかし、化膿性脊椎炎によって障害された脊髄や神経の再生に対して行われているさまざまな再生医療は全て保険適応外治療です。
一言に再生治療といっても、どこから採取した幹細胞を用いるのか、幹細胞を培養した上澄液を使うのか(上澄液には組織再生に有効なサイトカインが豊富に含まれる)などによって、再生医療の名称も変わりますが、いずれにせよどれも保険は適応されません。
一方で、これまで改善困難であった多くの病気に対して再生医療が新たな治療法として臨床応用が進んでおり、今後更なる研究・知見が進めば、化膿性脊椎炎による神経学的後遺症に対して再生医療が標準治療となる可能性も少なくありません。

まとめ

今回の記事では、化膿性脊椎炎と再生医療について詳しく解説しました。
化膿性脊椎炎はその名の通り、細菌感染によって脊椎が破壊されていく病気であり、発見が遅れれば遅れるほど、脊椎破壊に伴う神経・脊髄が障害されるリスクが増加します。
もし治療が遅れて麻痺やしびれが残った場合、現状ではリハビリによる機能の維持・改善しか手立てがなく、それでも根治は困難です。
そこで、近年では化膿性脊椎炎に対する新たな治療法として再生医療が大変注目されています。
ニューロテックメディカルでは、「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
「ニューロテック®」では、脊髄や神経の治る力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
また、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「同時刺激×神経再生医療Ⓡ」によって、これまで改善の困難であった化膿性脊椎炎の後遺症改善が期待できます。

よくあるご質問

化膿性脊椎炎の治療法は?
化膿性脊椎炎に対する一般的な治療法は、抗生剤の投与と安静が基本です。
しかし、発見が遅れて症状が進行してしまった場合は、感染した椎体のドレナージ、不安定性の高い脊椎に対する脊椎固定術などが選択されます。

化膿性脊椎炎の後遺症は?
化膿性脊椎炎の後遺症は、脊椎が破壊されることによる変形やそれに伴う腰痛などが挙げられます。
また症状が進行して、脊椎周囲の脊髄や神経が障害されれば、麻痺や痺れなどの神経症状を残す可能性もあります。

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    <参照元>
    1:化膿性脊椎炎|日本脊髄外科学会:https://www.neurospine.jp/original64.html
    2:大阪大学発の軟骨再生治療法が臨床応用の最終段階、企業治験へ|大阪大学大学院医学系研究科・医学部:https://www.med.osaka-u.ac.jp/archives/10289

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    PROFILEこの記事の監修
    貴宝院 永稔
    貴宝院 永稔 医師
    (大阪医科薬科大学卒業)
    • 脳梗塞・脊髄損傷クリニック 総院長
    • 日本リハビリテーション医学会認定専門医
    • 日本リハビリテーション医学会認定指導医
    • 日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
    • ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

    私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
    リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
    このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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