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脳底動脈閉塞の原因と症状や治療法を詳しく解説

           

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この記事を読んでわかること

脳底動脈閉塞の原因がわかる
脳底動脈閉塞による症状や診断法がわかる
脳底動脈閉塞に対する治療法がわかる


脳底動脈閉塞とは、脳の後方半分を栄養する脳底動脈がなんらかの原因で閉塞し、脳への血流が途絶してしまう病気です。
特に重要な部位である脳幹や小脳が障害される可能性もあり、最悪の場合命にも関わるため、早期診断・早期治療が肝要です。
そこで、この記事では脳底動脈閉塞の原因や診断・治療について詳しく解説します。

脳底動脈閉塞とは?原因とリスク要因

血圧計
脳底動脈閉塞とは、その名の通り脳底動脈がなんらかの原因で閉塞し、脳梗塞を来す病気です。
左右2本の椎骨動脈は頭蓋内で合流し、1本の脳底動脈となって脳幹(中脳・橋・延髄)や小脳、後頭葉など、脳後方の広範な部分を栄養します。
そのため、脳底動脈における閉塞は広範な脳の機能障害をもたらす可能性があり、予後も良くないと言われています。
では、なぜ脳底動脈が閉塞してしまうのでしょうか?
主な原因を3つ紹介します。

  • 血栓性
  • 塞栓性
  • 解離性

血栓性の場合、高血圧や糖尿病、高脂血症、長期喫煙などによって血管内皮細胞が損傷し、動脈硬化が進展することで動脈が閉塞します。
動脈硬化によって血管が硬く・脆くなると、内腔が狭小化して血栓が形成され、脳梗塞を来すわけです。
一方で、塞栓性の場合は血栓性とは異なり、別の部位で形成された血栓が血流に乗って流され、運悪く脳底動脈にトラップされて閉塞する病態です。
塞栓が生じる一番の原因は心房細動と呼ばれる不整脈であり、心臓の拍動が不整に乱れることで心臓内での血液の流れが停滞し、血栓が形成されます。
心臓内の血栓が血流に乗って飛んでしまうと、心臓から拍出された直後に脳血管に到達するため、脳梗塞を引き起こしやすいです。
また、動脈硬化によって硬く・脆くなった血管になんらかの刺激が加わると、血管内皮細胞が損傷して血管壁内に血液が流入し、血管壁が解離してしまいます。
この、血管解離によって血管内腔が狭くなると脳底動脈の閉塞を引き起こし、脳梗塞に進展する可能性もあるため、注意が必要です。
上記3つが主な原因ですが、それ以外にも血管炎による閉塞や、医原性(なんらかの医療行為に伴う偶発症)による閉塞も考えられます。

脳底動脈閉塞の初期症状と診断の流れ

脳底動脈閉塞の症状は、閉塞部位や閉塞の程度によっても異なるため、非典型的な症状を来すケースが多く、個人差も大きいです。
一般的な症状としては比較的軽症なめまい・ふらつきに始まり、昏睡・痙攣・四肢麻痺や片麻痺など重度の神経症状を来すこともあります。
特に、スムーズな運動を可能にする小脳や、四肢の運動や呼吸機能を司る脳幹(中脳・橋・延髄)が障害を受けると、身体に与える影響も非常に大きいです。
松本らの報告によれば、椎骨・脳底動脈系の虚血による脳梗塞は早期加療を行わないと予後不良であるとされ、死亡または重度機能障害にいたる率は40〜86%に達するとされています。
そのため、症状から早期に診断を行い、治療へつなげる必要があります。
脳底動脈閉塞を診断するためには、まず医療機関で入念な身体診察や問診などを行うことが重要です。
その上で、脳の病気を疑った場合は基本的に頭部CT検査が最初に実施されますが、脳底動脈閉塞は急性期だと頭部CT検査での検出が難しい場合が多いです。
そこで、最も診断に有用な検査は頭部MRI検査・頭部MRA検査、頭部血管造影検査などであり、これらの検査によって血管の性状を評価することで診断できます。
特に、脳底動脈閉塞の治療はより早期に行うことが重要であり、予後のためにも早期診断がとても大切です。

脳底動脈閉塞の治療法と早期対応の重要性

脳底動脈閉塞に対する効果的な早期治療法は、血液をサラサラにする薬による薬物療法と、カテーテルを用いて血栓を除去する血管内治療の2つです。
2021年にLangezaalらが報告した研究結果によれば、両者の治療成績には大きな違いはないと報告されています。
また、治療に伴う合併症として脳出血のリスクがありますが、血管内治療を受けた患者で4.5%、薬物治療を受けた患者で0.7%と、両者に大きな差は認められていません。
さらに、治療90日時点での死亡率はそれぞれ血管内治療で38.3%、薬物治療で43.2%であり、こちらも大きな差は認めていません。
どちらを選択するかは医師や医療機関の設備によっても異なります。
また、原因が医原性や心房細動、血管炎の場合はそれぞれ原因に対する治療も緊急で行う必要があります。

脳底動脈閉塞の予後

脳底動脈閉塞は生命に関わる重篤な疾患ですが、早期治療により回復の可能性が高まります。
治療には血栓除去やステント留置が有効であり、リハビリテーションを通じて運動機能や認知機能の回復が図られます。
長期的な予後には、定期的なフォローアップと生活習慣の改善が重要です。

脳底動脈閉塞の治療法についてのまとめ

今回の記事では、脳底動脈閉塞の原因や治療について詳しく解説しました。
脳底動脈閉塞は主に血栓性や塞栓性によって生じ、脳の中でも非常に重要な機能を担う脳幹(中脳・橋・延髄)や小脳の機能を障害します。
それに伴い、麻痺やしびれなどの運動・感覚障害や、意識障害、場合によっては呼吸障害など、非常に重篤な神経症状を負う可能性もあります。
神経組織は一度障害されると基本的に再生しにくいため、重い後遺症が残って日常生活に大きな支障をきたす可能性もあり注意が必要です。
現状、これらの症状に対しては根治療法はないですが、一方で、後遺症に対しては「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
ニューロテックメディカルでは、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「神経再生医療×同時リハビリ™」によって、これまで根治できなかった後遺症からの改善・再生が期待できます。

よくあるご質問

脳底動脈閉塞症の症状は?
脳底動脈閉塞症の症状は、閉塞して血流が途絶する脳の部位によっても大きく異なります。
小脳が障害されれば運動失調やめまい・振戦が出現し、脳幹が障害されれば麻痺やしびれ、意識障害などが出現します。

脳底動脈解離の治療法は?
脳底動脈解離の治療法は、アスピリンやワーファリンなどの抗血栓療法や、カテーテル操作によって脳血管を保護する血管内治療が挙げられます。
また、解離によって脳梗塞や脳出血・くも膜下出血を併発した場合、その病態に沿って治療法も変わってきます。

<参照元>
・NEJM|脳底動脈閉塞による脳梗塞に対する血管内治療:https://www.nejm.jp/abstract/vol384.p1910
・椎骨脳底動脈閉塞に対する急性期血行再建の治療成績|J STAGE:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke/31/3/31_3_152/_pdf/-char/ja

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貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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