この記事を読んでわかること
・脳出血の後遺症の分類がわかる
・脳出血の発症率と後遺症の残る割合がわかる
・修正ランキンスコアを使った後遺症の評価方法がわかる
脳出血は突然発症する脳の障害であり、迅速な治療が必要です。
しかし治療後も、後遺症が残ることがあり、その程度や種類は個人差があります。
本記事では、脳出血の後遺症の程度や分類、回復の可能性、重症例で必要な介護対策について解説します。
脳出血の後遺症はどのように分類されるのか?
脳出血は、動脈硬化などが原因となり、脳の血管が破れてしまい脳の中に血腫(血の塊)ができる病気です。
出血の部位や大きさにより、発症時の症状や後遺症にも違いが生まれます。
脳出血は、全脳卒中の約20%を占め、死亡率も40〜50%と脳梗塞に比べて高く、また介護を要する障害を残す割合も約50%に達するという報告があります。
脳卒中は、以下の「modified Rankin Scale」(修正ランキンスコア)で重症度分類されます。
0 | まったく症候がない |
1 | 症候はあっても明らかな障害はない(日常の勤めや活動は可能) |
2 | 軽度の障害(以前の活動はできないが、自分の身の回りのことはできる) |
3 | 中等度の障害(何らかの介助を必要とするが、介助なしに歩行可能) |
4 | 中等度から重度の障害(歩行や身体的要求に介助が必要) |
5 | 重度の障害(寝たきり、失禁状態、常に介護と見守りが必要) |
6 | 死亡 |
このスコア分類は、脳卒中の臨床試験で最も広く用いられています。
また、脳卒中で治療を受ける患者さんの症状を客観的に評価するために、病院でも用いられています。
この修正ランキンスコアを元にすると、脳出血の後遺症は、一般的に以下の3つに分類されます。
- 軽症の後遺症:日常生活への影響が軽微で、自立可能な状態。
- 中程度の後遺症:日常生活に支障があるが、リハビリを通じて改善が期待できる状態。
- 重症の後遺症:重篤な障害が残り、介護や専門的な支援が必要な状態。
これらの分類は、脳出血が発生した部位や範囲、患者の年齢や健康状態、発症後の治療の早さによって決まります。
例えば、大脳で出血が起きた場合は運動麻痺や言語障害が、脳幹で出血が起きた場合は生命維持機能に影響が出ることがあります。
軽症の後遺症:日常生活への影響と回復の可能性
軽症の後遺症としては、軽度の麻痺や感覚障害が挙げられます。
以前と全く同じではないが、自分の身の回りのことはできる状態です。
例えば、手足の力が少し弱まったり、指先がしびれたりする場合があります。
また、脳の特定の部位への影響によっては、軽い記憶力低下や集中力の低下を感じることもあります。
軽症の場合、リハビリテーションを通じて大幅な回復が期待できます。
特に、早期のリハビリ開始が重要で、リハビリの手法としては以下のようなものがあります。
- 運動療法(筋力トレーニングやストレッチ)
- 作業療法(手先の器用さを取り戻す練習)
- 認知機能訓練(記憶力や集中力を高める練習)
適切なリハビリを続けることで、ほとんどの患者が日常生活に復帰できます。
中程度の後遺症:リハビリで改善できる範囲とは?
重症度が中程度の場合、何らかの介助は必要ですが、介助なしに歩行は可能です。
中程度の後遺症には、半身麻痺や言語障害、嚥下障害(飲み込む力の低下)などがあります。
これらの症状は日常生活に大きな影響を及ぼすことがあります。
この段階の後遺症では、リハビリが回復の鍵を握ります。
特に、専門医や理学療法士の指導のもと、以下のようなリハビリが行われます。
- 運動機能改善のための訓練:歩行練習やバランス訓練など。
- 言語療法:スピーチセラピストによる会話能力の回復訓練。
- 日常動作訓練:着替えや食事などの基本的な動作を再学習する訓練。
中程度の後遺症の場合、完全な回復が難しい場合もありますが、リハビリを続けることで症状を大幅に軽減し、自立度を高めることが可能です。
重症の後遺症:介護が必要な場合の対応策
重度の障害は、寝たきり、失禁状態、常に介護と見守りが必要な状態を指します。
重症後遺症の患者を支えるには、専門的な支援が不可欠です。
以下のような支援が必要になることが多いです。
- 在宅介護サービスの利用:訪問介護や訪問看護の活用。
- 介護用具の利用:車椅子や移動補助具、寝たきり対応のベッドなど。
- 家族のサポート:介護の負担を軽減するために、家族の協力と役割分担が重要です。
- 介護保険制度の利用:公的支援を活用して、介護の負担を軽減する。
また、家族や介護者にとっても精神的負担が大きいため、地域の支援グループや専門カウンセリングを利用することも勧められます。
まとめ
脳出血の後遺症は、軽症から重症まで幅広く、その程度に応じて適切な対応が求められます。
軽症の後遺症は早期のリハビリで回復する可能性が高く、中程度の後遺症では継続的なリハビリが重要です。
一方、重症の後遺症では介護の負担が大きくなるため、専門的な支援や家族の協力が必要です。
脳出血の回復には、患者本人だけでなく、家族や医療・介護チームの連携が不可欠です。
正しい知識を持ち、最適な対応をすることで、後遺症の影響を最小限に抑えることができます。
一度脳出血を含む脳卒中が起こってしまうと、軽度から重度の後遺症が残ってしまうことがあります。
その割合は、脳出血患者さんの約半数に及ぶと言われています。
そのため、障害が残った場合に重要となるのがリハビリテーションです。
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よくあるご質問
- 脳出血後の後遺症はどのようなものですか?
- 脳出血後の後遺症には、麻痺、感覚障害、言語障害、記憶力低下、嚥下障害などがあります。
その程度は軽症から重症までさまざまで、リハビリや専門的な治療を通じて回復を目指します。 - 脳卒中後遺症の症状は?
- 脳卒中後の症状には、半身麻痺、しびれ、言語障害(失語症)、視覚障害、認知機能障害、さらには感情コントロールの難しさ(感情失禁)などがあります。
症状は脳の障害部位によって異なります。
<参照元>
1)脳卒中の後遺症 | 東京労災病院:
https://tokyoh.johas.go.jp/medical/strokeconsultationcounter/sequelae_of_stroke
脳血管障害・脳卒中 | e-ヘルスネット(厚生労働省):
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-006.html
Modified Rankin Score (mRS):
https://manual.jointcommission.org/releases/TJC2018A/DataElem0569.html
脳出血:外科治療の意義と展望.脳卒中.2019;41:45–51.:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke/41/1/41_10607/_pdf/-char/ja
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