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難病「クロウ・深瀬症候群」とは?症状と治療法を解説

難病「クロウ・深瀬症候群」とは?症状と治療法を解説

この記事を読んでわかること

クロウ・深瀬症候群の概要がわかる。
クロウ・深瀬症候群の症状や原因がわかる。
クロウ・深瀬症候群の治療がわかる。


クロウ・深瀬症候群は神経症状、皮膚症状、内分泌症状など、がんのように多彩な全身症状をきたす難病です。
非常に稀な疾患であり、確立された治療法もない病気ですが、日本人に多いことが知られており、注意が必要です。
この記事では、クロウ・深瀬症候群の概要や原因、症状や治療法などを詳しく解説します。

難病「クロウ・深瀬症候群」とは

腹痛に顔をゆがめる老人
難病「クロウ・深瀬症候群」とは下記のような代表的な症状の先頭の文字をとって欧米ではPOEMS症候群と呼ばれる病気です。

P Polyneuropathy(多発神経障害)
O Organomegaly(臓器腫大)
E Endocrinopathy(内分泌障害)
M M protein(M蛋白血症=血液中にM蛋白と呼ばれる異常蛋白が蓄積する)
S Skin change(皮膚症状)

1950年代、ポーランドの医師Crow(クロウ)氏や日本の深瀬氏がこの疾患を報告・発見したことからクロウ・深瀬症候群と名付けられました。
他にも高月病、PEP症候群などの病名で呼ばれることがありますが、これらは全て同一の疾患・病態となります。
疫学としては下記のような内容が挙げられます。

  • 罹患率は10万人に0.3人。
  • 男女比は3:2で男性に多い。
  • 発症年齢は20〜80代と幅広く平均は約54歳。
  • 欧米よりも日本での報告が多い。

クロウ・深瀬症候群の原因と症状

クロウ・深瀬症候群の原因は現状では明らかに解明されていません。
しかし、発症者では共通して骨髄やリンパ節内に異常な形質細胞(免疫能力を持つ細胞の一種)が増えることがわかっており、これに起因して血液中の血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)が異常増殖することが確認されています。
異常増殖したVEGFには血液の中の水分を血管の外にしみださせる作用があることが知られており、この作用によって浮腫や胸水・腹水などさまざまな症状をきたします。
他にも、クロウ・深瀬症候群の代表的な症状は下記の通りです。

  • 手足のしびれ感や脱力。
  • 脾臓や肝臓・リンパ節の腫大。
  • 副腎・甲状腺・下垂体などの内分泌異常。
  • 色素沈着や多毛などの皮膚症状。

症状が進行すれば大量の胸水や腹水による呼吸障害、もしくは腎不全に陥り、死に至るケースもあるため、注意が必要です。

クロウ・深瀬症候群の治療

クロウ・深瀬症候群の治療は主に下記の通りです。

  • 手術療法
  • 放射線療法
  • 薬物療法

クロウ・深瀬症候群は「ある特定の細胞が異常に増殖することでさまざまな症状をきたす」という点で、一般的ながんと同じ特徴を持ちます。
そのため、行われる治療法もがんの一種である骨髄腫の治療を応用する形です。
増加した形質細胞が骨の1箇所にとどまっている状態であれば、その骨を手術で直接除去するか、放射線を照射します。
しかし、すでに病変が広がってしまった場合は手術や放射線では除去しきれないため、薬物療法によって包括的に治療します。
現時点でクロウ・深瀬症候群の治療として保険適用なのはサリドマイドのみであり、直接的に形質細胞の増殖を抑制する効果が期待できる一方で、副作用も多く注意が必要です。
他にも、がん細胞の細胞死を誘発させるプロテアソーム阻害薬なども治療に用いられることがあり、これらの治療によって10年生存率9割と以前よりは大きく向上しています。
一方で、根治的な治療や標準的な治療法が確立されているわけではないため、発症すれば一生付き合っていく必要のある病気です。

まとめ

この記事ではクロウ・深瀬症候群の原因や症状、治療などについて詳しく解説しました。
クロウ・深瀬症候群は増殖した形質細胞によってさまざまな症状をきたしますが、中でも末梢神経障害は必発の症状です。
神経症状が悪化すると歩行障害などに陥り、生活に与える影響も大きいですが、一度生じた神経症状を完全に改善する治療は現状存在せず、リハビリでの機能維持が主な治療となります。
一方で近年では、神経障害が「治る」を当たり前にする取り組みとして注目されている「ニューロテック®」という考え方があります。
これは、脳卒中や脊髄損傷に対して「狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療」再生医療「リニューロ®」を軸とするアプローチで、骨髄由来間葉系幹細胞や神経再生リハビリ®を組み合わせた治療法です。
クロウ・深瀬症候群による神経障害に対しても、今後このような先進的な治療法が希望となる可能性があります。
回復への選択肢を広げるためにも、医療機関と連携しながら一人ひとりに合った支援を継続することが大切です。

よくあるご質問

クロウ・深瀬症候群の余命は?
クロウ・深瀬症候群の余命は以前までは非常に短く、約3年(33ヶ月)と報告されていました。
しかし、医療の進歩や抗がん剤の発達によって、近年では10年生存率9割以上の慢性疾患と捉えられています。
クロウ・深瀬症候群の診断基準は?
クロウ・深瀬症候群の診断基準は骨硬化性骨病変、形質細胞増殖、血清VEGF高値という3つの大基準と、末梢神経障害や臓器腫大、内分泌異常、胸腹水などの小基準から、複数項目を満たすことで確定します。

<参照元>
(1):POEMS症候群|日本血液学会:https://www.jshem.or.jp/gui-hemali/3_2_3.html
(2):クロウ・深瀬症候群(指定難病16)|難病情報センター:https://www.nanbyou.or.jp/entry/82
(3):クロウ・深瀬症候群|厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000089884.pdf

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この記事の監修

監修医師 貴宝院永稔医師

貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)

脳梗塞・脊髄損傷クリニック 総院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医

リニューロの治療概念図
リニューロ®最大の特長は、幹細胞点滴投与中に集中的かつ反復的に狙った神経回路に適した刺激を与えることです。
身体の治る力を高める再生医療で土台を作り、狙った神経回路に同時刺激を与えることで、神経回路の再構築・強化を目指していきます。

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