この記事を読んでわかること
・最先端技術とリハビリ
・AI技術を活用した在宅リハビリシステム
・VR技術を応用した楽しいリハビリ
脳卒中や脊髄損傷に陥った患者は、日常生活を維持するために後遺症に対して通常はリハビリを行います。
今までは施設に通ったり在宅でのリハビリを対人で行うのが一般的でしたが、近年はAI技術やVR技術が発達し、その技術がリハビリ分野にも応用されています。
そこで今回は、最新技術を用いた今話題のリハビリについて解説していきます。
最先端技術とリハビリ
現在の日本においてリハビリの需要は増すばかりです。
高齢化社会が進む日本における医療技術の進歩は、今までであれば死亡してしまうような脳卒中や脊髄損傷患者の救命を可能にしましたが、その反面で後遺症を残して生き延びてしまう患者、つまりリハビリが必要な患者を増加させてしまいました。
今までのリハビリでは施設で理学療法士や作業療法士、言語聴覚士など様々な職種が連携し、それぞれの経験や知識に基づき、各患者に見合った強度のリハビリを行ってきました。
つまり、リハビリの効果はあくまで担当する理学療法士らの経験や質と、リハビリを受ける側の意欲次第でした。
しかし近年はAIやVR技術などの発達が目覚ましく、これらの技術をリハビリの分野にも応用する動きが盛んになってきました。
最先端の技術を利用する事で、誰でも効果的なリハビリを提供できるようになる可能性があるのです。
では具体的にどういったリハビリが開発されているのでしょうか?
AI技術を活用した在宅リハビリシステム
コロナ禍で高齢者の外出が危ぶまれる中、在宅でも一人でリハビリができるようにAI技術を活用した在宅リハビリシステムが開発されています。
これは、麻痺などが残存する患者に対して行われるオンラインリハビリであり、動画などを見ながら自宅で自主トレーニングを行い、その様子をアプリで撮影しセラピストに送信することで、セラピストからはアドバイスやフィードバックをオンライン上でもらうことができるサービスです。
つまり、自宅にいながら誰とも接触することなく施設でのリハビリ指導を受けているような体験を実現できるのです。
患者の運動動画はAIに解析され、それぞれの運動強度に合わせたトレーニングプランをAIが自動で提供する機能も搭載されています。
ロボット工学を応用した下肢リハビリ
下肢に麻痺や障害を抱え歩行に異常がある場合、歩行訓練などの下肢リハビリを行うことになります。
下肢リハビリの場合、患者が関節や脚を適切に動かせるように何度も反復練習する必要があり、理学療法士には多大なる負担がかかっていました。
こういった機械的な運動に対しては、ロボット工学の応用が非常に向いています。
患者にロボット装置を装着し、下肢運動をロボットに評価させ、不適切な運動パターンを是正させていくことが自動で可能になり、理学療法士の負担は大幅に軽減されるようになります。
他にもロボット工学を応用するメリットがあります。
ロボットだからこそ患者の生データを正確に評価することができるため、例えば膝の角度や下肢運動の速度、振り幅などを全て数値化しデータとして処理することで、患者もリハビリ効果を数値として実感できるのです。
しかし、まだまだ発展途上の技術であり課題も少なくありません。
高コスト、臨床エビデンスの欠如、治療プロトコルの欠如などが挙げられます。
下肢リハビリ以外にも今後ロボット工学を取り入れていく場合、これらの課題をクリアしなくては普及は難しいと考えます。
VR技術を応用した楽しいリハビリ
皆さんはVRを体験したことがありますか?
近年はVR技術がかなり普及し、ゲームや体験型アトラクションなど多くのエンタメで活用されていますが、リハビリ分野もその例外ではありません。
VRを用いることで、場所を選ばずに楽しくリハビリすることができ、またリハビリの結果を数値化して評価することも可能です。
通常のリハビリでは痛みや飽きが生じて継続できない人も少なくありませんが、VRであればシチュエーションの変化を楽しめて没入感もあるため、モチベーションを下げずに継続的なリハビリが期待できます。
また通院も不要で、自宅で安心してリハビリが実践できるのもメリットです。
もちろん高齢の方が上手に使いこなすにはある程度の慣れも必要ですし、初期費用としてコストがかかってしまうなどのデメリットもありますが、長期的な目線で見れば非常に有用なリハビリになると思います。
まとめ
今回は今話題の最新技術を駆使した新しいリハビリについてご紹介しました。
AI、VR、ロボットなど近年ありとあらゆる分野に変革をもたらしている技術は、確実にリハビリの分野にも影響し、より効果的でより楽しいリハビリを実現してくれています。
また多くの施設で人員不足が問題となっている理学療法士らの負担の軽減にも繋がっているため今後さらなる普及が望まれます。
また効果的なリハビリを得るための治療法として、近年では再生医療の分野も注目を増しています。
自身の骨髄内の自己幹細胞を取り出し、培養したものを体に戻すことで損傷した細胞を再構築する治療法であり、これにより損傷した機能が回復することが期待されています。
再生医療とこれらのリハビリを組み合わせることで、今までは一度失われたら取り戻すことのできなかった機能でも、今後は再び蘇る可能性があるのです。
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