この記事を読んでわかること
高血圧とアテローム血栓性脳梗塞の関係がわかる。
アテローム血栓性脳梗塞の症状や治療法がわかる。
アテローム血栓性脳梗塞を予防する方法がわかる。
高血圧は放置すると動脈硬化を進展させ、いずれはアテローム血栓性脳梗塞を発症する可能性があるため、注意が必要です。
アテローム血栓性脳梗塞は比較的広範囲で梗塞を引き起こしやすく、症状が重篤化する可能性があるため、早期発見や予防が肝要です。
この記事では、高血圧によるアテローム血栓性脳梗塞の病態や予防策を紹介します。
アテローム血栓性脳梗塞と高血圧の関係
高血圧を指摘されている方は、将来的にアテローム血栓性脳梗塞を発症するリスクが高まるため、注意が必要です。
高血圧によるアテローム血栓性脳梗塞の発症は下記の5ステップです。
- 高血圧による血管内皮細胞の損傷
- 血液中のLDLコレステロールが血管壁内に侵入
- LDLコレステロールが酸化されて動脈硬化が進展
- マクロファージが酸化LDLを貪食して泡沫細胞が蓄積
- 泡沫細胞の蓄積によってアテロームが形成される
高血圧とはその名の通り血圧が持続的に高い状態を指し、この状態が長期間続くと血管内皮細胞(血管壁の内側部分を構成する細胞)が損傷します。
血管内皮細胞が損傷すると、血液中を流れるLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)が損傷した内皮細胞の間から血管壁内に侵入できるようになります。
血管壁内に侵入したLDLコレステロールは酸化し、酸化LDLとして血管壁内に蓄積するのです。
その結果、血管を徐々に硬く、脆く変性させますが、これこそが動脈硬化の始まりです。
この酸化LDLは異物として免疫細胞の1つであるマクロファージに貪食(食べてしまうこと)されますが、その結果マクロファージは泡沫細胞へと変化して血管壁の内側にせり出すように蓄積します。
その結果、血管壁内にアテロームと呼ばれるコブが形成され、血管内腔が狭小化することで脳梗塞発症リスクが高まります。
糖尿病は血管内皮の損傷を引き起こし、高脂血症は血液中のLDLコレステロールが増加した状態であるため、高血圧以外にも糖尿病や高脂血症などの生活習慣病には注意が必要です。
アテローム血栓性脳梗塞の症状や治療
脳梗塞はその発症機序によって主に下記の3つの種類に分類されます。
- ラクナ梗塞:脳深部の細い血管が動脈硬化によって狭窄する
- 心原性脳梗塞:心臓内に形成された血栓が脳血管に飛んで狭窄する
- アテローム血栓性脳梗塞:脳の比較的太い血管がアテロームによって狭窄する
上記の発症機序からもわかる通り、アテローム血栓性脳梗塞は脳の比較的太い血管にアテロームが形成されるため、発症した場合の梗塞の範囲が広くなりやすく、症状も重篤化しやすいです。
重度の片麻痺(左右どちらかの手足が麻痺すること)やしびれなどの感覚障害、意識障害、頭痛、吐き気や嘔吐などの症状が生じます。
また、アテロームによる血管の狭窄が進行するとともに、一過性脳虚血発作と呼ばれる前兆症状を認めることも少なくありません。
これは、一時的に脳梗塞のような症状(麻痺やしびれなど)を認めた後、短時間で改善してしまう症状のことです。
次に、アテローム血栓性脳梗塞の治療は主に下記の3つが挙げられます。
- t-PA静注療法:血栓を溶解する薬(t-PA)を投与する治療
- カテーテル治療:カテーテルを操作して血栓を除去、もしくは血管を拡張させる治療
- 薬物療法:抗血小板薬や抗凝固薬による再発防止のための治療
特に、t-PA静注療法は発症後4.5時間以内、カテーテル治療は発症後8時間以内(条件次第では24時間以内)と、治療を受けられる時間が決まっているため、早期発見・早期治療が大切です。
アテローム血栓性脳梗塞の予防法

アテローム血栓性脳梗塞は早期に治療できれば麻痺やしびれなどの後遺症を残さず改善できる可能性もあります。
しかし、発見が遅れたり、梗塞範囲があまりにも広範な場合、麻痺やしびれなどの後遺症が残ってしまいます。
そこで、アテローム血栓性脳梗塞はいかに発症を予防するかが重要であり、具体的には下記の通りです。
- 塩分や脂質・糖質を抑えた食事摂取
- 節酒・禁煙
- 継続的な運動
- 予防的な抗血小板薬の内服
一般的に脳卒中の発症予防のためには、血圧は130/80mmHg未満、1日6g未満の減塩が好ましいとされています。
また、過剰な飲酒や喫煙は動脈硬化を進展させる原因となるため、控えるべきです。
一方で、1回30分程度、週4回程度の継続的な運動や医師の指導のもとでの予防的な抗血小板薬の内服はアテローム血栓性脳梗塞の予防効果が期待されます。
これを機に生活習慣を見直し、高血圧や動脈硬化の進展予防、脳梗塞の発症予防に努めましょう。
まとめ
この記事では高血圧とアテローム血栓性脳梗塞の関係について詳しく解説しました。
持続的な高血圧は脳の太い血管に動脈硬化を引き起こし、アテロームを形成させることで脳梗塞を発症させます。
症状が重症化しやすく、後遺症なども残りやすい病態であるため、発症した場合は早期発見、早期治療が肝要です。
また、この記事で紹介したようにしっかり予防に努めることは他の心疾患・脳疾患の発症予防にもつながるため、生活習慣を見直してみると良いでしょう。
ニューロテックとは
さらに近年では、神経障害が「治る」を当たり前にする取り組みとして注目されている「ニューロテック®」という考え方があります。
これは、脳卒中や脊髄損傷に対して「狙った脳・脊髄の治る力を高める」再生医療「リニューロ®」を軸とするアプローチで、骨髄由来間葉系幹細胞や神経再生リハビリ®を組み合わせた治療法です。
アテローム血栓性脳梗塞による神経障害に対しても、今後このような先進的な治療法が希望となる可能性があります。
回復への選択肢を広げるためにも、医療機関と連携しながら一人ひとりに合った支援を継続することが大切です。
よくあるご質問
- アテローム血栓性脳梗塞の後遺症は?
- アテローム血栓性脳梗塞の後遺症は片麻痺などの運動障害、しびれなどの感覚障害、言語障害、高次脳機能障害などが挙げられます。
また、ラクナ梗塞などと比較して後遺症が重く残りやすいという特徴があります。 - アテローム血栓性脳梗塞による神経障害は元に戻りますか?
- 残念ながらアテローム血栓性脳梗塞による神経障害は一度残ってしまったら完全に元に戻すことは困難です。
症状改善のためには継続的なリハビリや再発予防の徹底が重要です。
<参照元>
(1)知っておきたい動脈硬化|動脈硬化予防啓発分科会:
https://doumyaku-c.jp/knowledge/
(2)動脈硬化性疾患とは|日本動脈硬化学会:
https://www.j-athero.org/jp/general/2_atherosclerosis/
(3)脳卒中治療ガイドライン2021(改訂2025):
https://www.jsts.gr.jp/img/guideline2021_kaitei2025_kaiteikoumoku.pdf
(4)Ⅱ 脳梗塞・TIA|日本神経治療学会:
https://www.jsnt.gr.jp/guideline/img/nou2009_02.pdf













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