この記事を読んでわかること
全身性エリテマトーデスの病態や症状がわかる。
全身性エリテマトーデスの通院頻度や受診の目安がわかる。
全身性エリテマトーデス発症から社会復帰までの道筋がわかる。
全身性エリテマトーデスは皮膚や関節、腎臓、神経系、心臓などさまざまな組織・臓器に障害を与える慢性疾患です。
長期的に付き合っていく必要がある病気であり、その後の生活に与える影響も少なくありません。
そこで、この記事では全身性エリテマトーデスの通院頻度や社会復帰までの道筋を詳しく解説します。
全身性エリテマトーデスとは
全身性エリテマトーデスとは、本来体内に侵入した異物を攻撃する役割を持つ免疫細胞が誤って自身の正常な細胞を攻撃してしまう病気です。
免疫細胞が産生した抗体は全身のさまざまな臓器・組織に障害を引き起こし、下記のような症状をきたします。
- 全身症状:発熱・倦怠感など
- 関節症状:関節痛・関節の緩みや変形など
- 皮膚症状:両頬の赤み(蝶形紅斑)・びらん・水疱・粘膜潰瘍など
- 肺症状:吸気時の肺の痛み・肺炎・肺出血など
- 神経症状:頭痛・脳卒中・認知症・人格変化など
- 腎症状:腎機能低下・浮腫・腎不全など
また、全身性エリテマトーデスは男女比1:9と女性に多い疾患であり、生理が始まってから終わる(閉経前)期間の女性で発症しやすいことが知られています。
全身性エリテマトーデスを発症した女性は、下記のような理由から妊娠・出産に対して健常者よりも慎重な判断が必要です。
- 母体:炎症によって胎盤に血栓症が生じやすく流産しやすい
- 胎児:胎児も抗体によって攻撃される可能性がある(先天性の心疾患のリスクがある)
他にも、妊娠そのものによって母体の全身性エリテマトーデスの症状が再燃する可能性や、妊娠中に使用できる薬が少ない点などから、全身性エリテマトーデスは女性の妊娠・出産に大きな影響を与えます。
全身性エリテマトーデスの通院頻度や受診の目安

「全身性エリテマトーデスを発症したら日常生活に戻れない?」「どれくらいの通院が必要なの?」
このような疑問や不安をお持ちの方も少なくないでしょう。
結論から言えば、全身性エリテマトーデスを発症しても多くの場合は1ヶ月〜3ヶ月に1回程度の通院頻度で問題ないです。
特に発症初期に多く見られる関節症状や皮膚症状のみの軽度〜中等度の方であれば、多くの方はほとんど一般的な社会生活を営むことができます。
ただし、先述したように女性の場合は妊娠・出産においてさまざまなリスクを背負うため、その点は注意が必要です。
一方で、腎臓・中枢神経系・心臓・肺などの臓器がすでに障害されている場合は、ステロイド以外にも多量の免疫抑制剤(免疫の働きを抑える薬)を使用する可能性があり、全身状態の管理のために長期的な通院・入院が必要となる可能性もあります。
このように、日常生活に与える影響は全身性エリテマトーデスの程度や重症度によって大きく異なります。
そのため、全身性エリテマトーデスは早期発見・早期治療し、病状をいかに初期から安定させるかが社会復帰の上で非常に重要です。
全身性エリテマトーデス発症後から社会復帰までの道筋

多くの場合、全身性エリテマトーデスはまず原因不明の発熱・皮膚症状・関節症状のいずれかの症状で自覚される方が多いです。
これらの症状で受診すると、医療機関では細かな身体診察・血液検査・免疫学的検査(自己抗体の検出)などを行い、さまざまな情報から全身性エリテマトーデスを診断します。
同時に、腎臓・中枢神経系・心臓・肺・血管などの臓器障害の有無も評価し、治療方針を決定します。
治療は症状の程度に合わせた量のステロイドの内服が一般的で、発症初期は症状が落ち着くまで数週間の入院を要することが多いです。
1950年代は発症後の5年生存率は50%程度でしたが、ステロイドの登場によって現在は5年生存率は95%程度まで向上しました。
症状が落ち着いてもすぐに以前のようにフルタイムで働けることは少なく、福祉や助成を利用しながら少しずつ社会復帰を目指します。
多くの場合、発症から数ヶ月〜1年ほどで社会復帰できる方が多いですが、全身性エリテマトーデスは再燃することがよくある病気のため、日々の生活習慣や継続的な内服治療を行っていくことが肝要です。
まとめ
近年の医療の発達に伴い、全身性エリテマトーデスは以前のように致死率の高い病気ではなく、社会生活を送りながら付き合っていく病気として位置付けられています。
しかし、全身性エリテマトーデスは慢性的に経過する病気であり、また再燃するリスクも高いため、継続的な内服治療と自己管理が病状の安定のためには必要不可欠です。
一方で近年では、神経障害が「治る」を当たり前にする取り組みとして注目されている「ニューロテック®」という考え方があります。
これは、脳卒中や脊髄損傷に対して「狙った脳・脊髄の治る力を高める」再生医療「リニューロ®」を軸とするアプローチで、骨髄由来間葉系幹細胞や神経再生リハビリ®を組み合わせた治療法です。
全身性エリテマトーデスによる臓器障害に対しても、今後このような先進的な治療法が希望となる可能性があります。
回復への選択肢を広げるためにも、医療機関と連携しながら一人ひとりに合った支援を継続することが大切です。
よくあるご質問
- 全身性エリテマトーデスの平均寿命は?
- 全身性エリテマトーデスの平均寿命は、発症した方の重症度や年齢によっても大きく異なります。
近年は医療の発達によって早期発見・早期治療できる患者さんが増えているため、一般の方と寿命に大きな差異はないとされています。
- 全身性エリテマトーデスを発症すると歩けなくなる?
- 軽症の場合は歩行に支障をきたすことは稀ですが、症状が重症化すれば歩行障害を生じる場合があります。特に、高度の関節障害や中枢神経ループス(脳の炎症)を認める場合は歩行が障害される可能性が高いです。
<参照元>
(1)全身性エリテマトーデス(SLE)(指定難病49)|難病情報センターhttps://www.nanbyou.or.jp/entry/53
(2)全身性エリテマトーデス(SLE)|MSDマニュアルhttps://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/08-%E9%AA%A8-%E9%96%A2%E7%AF%80-%E7%AD%8B%E8%82%89%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E7%B5%90%E5%90%88%E7%B5%84%E7%B9%94%E3%81%AE%E8%87%AA%E5%B7%B1%E5%85%8D%E7%96%AB%E7%96%BE%E6%82%A3/%E5%85%A8%E8%BA%AB%E6%80%A7%E3%82%A8%E3%83%AA%E3%83%86%E3%83%9E%E3%83%88%E3%83%BC%E3%83%87%E3%82%B9-sle
(3)Q2-2. 全身性エリテマトーデス(SLE)と診断されています。妊娠したときのリスクを教 えて下さい。 |日本産婦人科・新生児血液学会http://www.jsognh.jp/common/files/qa/1-2-2t01.pdf
(4)全身性エリテマトーデス|日本赤十字社医療センターhttps://www.med.jrc.or.jp/tabid/794/Default.aspx













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