この記事を読んでわかること
高次脳機能障害の基本的な考え方
高次脳機能障害の代表的な症状の種類
生活での高次脳機能動作に対する注意点と対策
脳梗塞後の後遺症では運動麻痺などがよく知られていますが、目に見えない高次脳機能障害という症状が出現することがあります。
記憶や注意、認識などの脳機能の低下が主症状で生活に大きな影響を与えます。
この記事では高次脳機能障害について基本的な考え方から代表的な症状、生活での注意点や対策を解説します。
脳梗塞でみられる高次脳機能障害とは

脳梗塞で出現する症状は片麻痺などの運動機能の障害が一般的に知られていますが、記憶や注意が障害される高次脳機能障害が出現することがあります。
高次脳機能障害とは、脳がダメージを受けることで出現する様々な意味に関わる脳機能の低下のことです。
ここでいう意味に関わるとは、ただ単に身体を動かすことではなく言葉を発することや道具を使うことなど、頭の中で動作の手順や入ってきた情報を考える必要があることを指します。
高次脳機能が障害されることで、普段通りに生活を行うことが難しくなります。
例えば、服の脱ぎ着が難しくなる着衣失行が出現すると一人で着替えが難しくなることがあります。
他にも障害を受けた脳と反対側の認識が難しくなる半側空間無視があると、生活の中で躓いたり人や物にぶつかるなど、転倒のリスクが高くなります。
これらの症状が出現すると運動麻痺などの症状がなくても、周りからの手助けがないと生活を行うことができません。
高次脳機能障害は脳のダメージが原因のため、脳梗塞以外の頭をぶつけて脳出血を起こした場合などでも症状が出現する場合があります。
高次脳機能障害の種類と特徴
高次脳機能障害はたくさんの種類があるため、この記事では代表的な症状について解説します。
高次脳機能障害の中でもイメージしやすい障害として記憶障害があります。
記憶障害とは、その名の通り記憶が障害されるため、その場での記憶が難しくなり何度も同じことを聞くなどの症状が出現します。
よく見られる障害として、集中することが難しくなる注意障害があります。
注意は他の高次脳機能の土台となる働きで情報を選び、集中を続け必要に応じて意識を切り替えるために使われます。
生活場面では、調理時に材料の中から決まった食材を選ぶ必要がありますが、注意障害があると必要な食材以外が気になり、取る予定だった食材を選べなくなることがあります。
他にも道具が上手く使えなくなる失行や麻痺した腕や脚を認識できなくなる失認など、様々な種類があります。
高次脳機能障害は発症後、時間経過とともに徐々に改善することがありますが、症状が残ってしまうことがあります。
そのため、入院中に高次脳機能障害が出現した場合は、症状がある状態での生活を想定して対策を行うことが必要です。
高次脳機能障害がある方の生活での注意点
高次脳機能障害があると記憶や注意・認識に問題が現れるため、退院して生活に戻る工夫が重要になります。
障害について自覚できていても、ふとした時に症状による影響が出ることがあるため、生活場面では周囲の理解と環境の調整が不可欠になります。
周囲の理解は本人の気持ちを理解した、ポジティブな支援を行うことが重要です。
高次脳機能障害がある方はできると思っていたことが障害の影響でできないネガティブな体験を数多く経験します。
ネガティブな体験を多く経験してしまうと、自信を失いうつ症状などの新しい問題が起こることがあります。
ポジティブな支援で重要視するポイントは以下の3点です。
- 疲れが強い場合は休息を取る
- できる限り本人の意向を汲み取る
- 失敗を責めない
これらのポイントを意識して支援を行うことで、余計なストレスを与えず高次脳機能障害による影響が軽減します。
環境の調整はできる限り、頭で覚えたり判断する負担を減らす工夫が効果的です。
チェックリストを活用することで生活動作で必要な項目の漏れを防いだり、動作手順を分かりやすく紙に書き目立つように示すなどの工夫で生活の自立が可能になることもあります。
また、注意や空間の認識が難しい場合は家を片付けて転倒しにくい環境を作り、物を片付ける場所を決めてテプラなどでメモを残すなどの工夫も有効です。
それぞれの症状に合わせた周囲の関わりと生活環境の調整で高次脳機能障害があっても、自宅での生活を継続することができます。
まとめ
この記事では高次脳機能障害患者の生活での注意点について解説しました。
高次脳機能障害とは脳の損傷によって記憶や注意、認識などの考える機能が障害されることです。
高次脳機能障害があっても、周囲のポジティブな関わりや分かりやすい生活環境の調整で自宅での生活をしやすくできます。
脳梗塞で残存した神経障害の治療は確立されていませんが、再生医療にはその可能性があります。
今後、神経再生医療×リハビリテーションの治療の研究は進んでいきます。
私たちのグループは神経障害は治るを当たり前にする取り組みを『ニューロテック®』と定義しました。
当院では、リハビリテーションによる同時刺激×神経再生医療を行う『リニューロ®』という狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療を行っていますので、ご興味のある方はぜひ一度ご連絡をお願いします。
よくあるご質問
- 高次脳機能障害があっても復職は可能ですか?
- 症状の程度にもよりますが、周囲の支援と環境の調整を行えば復職が可能なことも少なくありません。
そのため、病院の先生や作業療法士、言語聴覚士から会社に工夫の方法を伝えることがあります。
場合によっては、部署や仕事内容を変更して復職される方もいます。
- 高次脳機能障害を発症した後、運転はできますか?
- 高次脳機能障害の症状の程度によって変わります。
運転を再開する前に作業療法士や言語聴覚士による検査を受けた後に、医師による診断書をもとに所定の運転免許センターで再開可能か判断されます。
最近は運転外来を行っている病院も増えてきており、運転を再開する前は相談を行いましょう。
<参照元>
(1):高次脳機能障害という用語の解釈とその適用|SQUARE:https://square.umin.ac.jp/jjcrs/2021_1-3j.pdf
(2):高次脳機能障害リハビリテーション-診断・治療・支援のコツ-|J -stage:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/47/12/47_12_856/_pdf
(3):高次脳機能障害―心で支えるリハビリテーション―|J -stage:https://www.jstage.jst.go.jp/article/hbfr/32/3/32_360/_pdf
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