この記事を読んでわかること
・主な原因:脳動脈瘤破裂が引き起こすリスク
・高血圧や喫煙がくも膜下出血のリスクを高める理由
・遺伝的要因や生活習慣が及ぼす影響とは?
くも膜下出血は、脳表面のくも膜下腔に出血が起こる疾患です。
主な原因は、脳の血管にできたこぶ(動脈瘤)の破裂です。
突然発症し、激しい頭痛や嘔吐などの症状が起こり、重症化すると意識障害を伴います。
原因として、高血圧が最も重要で、長期間の高血圧は脳血管に負担をかけるため、動脈瘤を形成するリスクを高めます。
主な原因:脳動脈瘤破裂が引き起こすリスク
この記事では主な原因:脳動脈瘤破裂が引き起こすリスクについて解説します。
脳動脈瘤は、血管壁が何らかの原因で薄くなり、風船のように膨らんだ状態です。
この膨らみが破裂すると、くも膜下出血が起こります。
くも膜下出血の約85%がこの病態で起こります。
脳動脈瘤が破裂するリスクとして、高血圧、喫煙、過度の飲酒があります。
高血圧は、血管に強い圧力がかかり続ける状態のため、動脈瘤を大きくしたり、破裂させやすくなったりします。
喫煙は、動脈硬化の進展を早め、動脈瘤ができやすい状態を作ります。
また、血管の弾力性が低下するため、脳動脈瘤の破裂が起こりやすくなります。
過度の飲酒は、血圧上昇を来すとともに、血管を直接的に傷つけ動脈硬化を進展させるため、注意が必要です。
脳動脈瘤は、一度できると自然に消失することはほとんどありません。
むしろ、時間とともに増大することが多いので、破裂リスクが高まります。
特に、脳動脈瘤が大きい、形が不規則、脳底動脈などの特定部位にできた場合は、破裂のリスクが更に高くなると考えられています。
高血圧や喫煙がくも膜下出血のリスクを高める理由
この記事では高血圧や喫煙がくも膜下出血のリスクを高める理由について解説します。
くも膜下出血は、主に、脳の血管にできた脳動脈瘤が破裂することで起こります。
高血圧は、リスク要因の中で最も重要で、血圧が高いと、脳動脈瘤にかかる内圧が常に高くなり、破裂のリスクが増大します。
高血圧があるとくも膜下出血発症の危険性が約3倍に上昇すると報告されています。
喫煙は、長期的に動脈硬化の進展を早めるため、脳動脈瘤の発生や破裂のリスクを高めます。
加えて、喫煙により血管は一過性に収縮するため血圧が上昇します。
その結果、血圧変動が大きくなり血管を傷めます。
喫煙者はくも膜下出血のリスクが非喫煙者と比べて高くなります。
さらに、1日の喫煙本数が増えるほどリスクが上昇します。
具体的には、1日1〜20本の喫煙で2.8倍、20本以上で5.2倍もリスクが高まると報告されています。
以上より、高血圧と喫煙は、単独でもリスクを高めますが、両者が組み合わさることで、さらに危険性が増大します。
くも膜下出血にならないためには、生活習慣を改めることが重要です。
遺伝的要因や生活習慣が及ぼす影響とは?
この記事では遺伝的要因や生活習慣が及ぼす影響とは?について解説します。
くも膜下出血は、主に脳動脈瘤が破裂することで起こります。
この動脈瘤ができる原因は、遺伝的要因と生活習慣の両方が絡み合っており、まだ完全に解明されていないのが現状です。
遺伝的要因として以下が考えられています。
家族に動脈瘤やくも膜下出血の患者さんがいる場合、リスクが高まる傾向にあります。
脳動脈瘤は、血管の結合組織が弱くなることが原因の一つと考えられています。
そのため、遺伝的要因により、この結合組織が生まれつき弱いと、脳動脈瘤ができやすくなる可能性があります。
生活習慣としては以下が考えられています。
まず、最も大きな原因となる高血圧です。
高血圧は、血管に強い圧力をかけ続けるため、脳動脈瘤を大きくしたり、破裂させやすくなったりします。
喫煙は、動脈硬化の進展を早めることに加え、短期的な血圧変動を大きくするため、血管が脆くなり、脳動脈瘤の発生や破裂のリスクを高めます。
その他、高コレステロール血症は、動脈硬化を促進する原因となるので、注意が必要です。
糖尿病も血管を傷つける疾患なので同様です。
生活習慣の改善が重要といえるでしょう。
まとめ
今回の記事では、くも膜下出血とは?その原因と危険因子を解説しました。
くも膜下出血は脳の神経細胞を損傷させる疾患なので、後遺症が残ったり、場合によっては死に至ったりする危険な疾患です。
後遺症が残った場合は、神経を再生させると改善が望めますが、根本的な治療は無いのが現状です。
そのため、新たな治療法として、再生医療に期待が持てます。
脳や脊髄の損傷に対して、「ニューロテック®」と呼ばれる「神経障害が治ることを当たり前にする取り組み」も盛んです。
ニューロテックメディカルでは、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しております。
さらに、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「再生医療×同時リハビリ™」があります。
これらの治療法は、くも膜下出血の後遺症に苦しむ患者さんに対して期待が持てる治療となるでしょう。
よくあるご質問
- くも膜下出血の原因となる因子は何ですか?
- 多くの場合、脳の血管にできた瘤のような部分である脳動脈瘤が破れることが主な原因です。
脳動脈瘤ができる原因は完全に解明されていませんが、高血圧、喫煙、遺伝などが要因と報告されています。 - くも膜下出血の原因は遺伝子ですか?
- 主な原因は脳動脈瘤の破裂ですが、遺伝的要因も重要です。
家族歴のある人はリスクが高くなります。
脳動脈瘤の約6〜20%は遺伝による動脈壁の異常が原因とされています。
ただし、遺伝子だけでなく、高血圧や喫煙などの因子も発症に大きく関与しているため、生活習慣の改善も重要です。
<参照元>
・くも膜下出血(SAH)|MSDマニュアル:
https://www.msdmanuals.com/
・脳血管障害・脳卒中|e-ヘルスネット:
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-006.html
・くも膜下出血(SAH)について|東京メディカルクリニック:
https://www.c-takinogawa.jp/column/018.html
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