脊髄損傷による感覚障害について | 再生医療|脳梗塞・脊髄損傷の後遺症を幹細胞治療で改善|ニューロテックメディカル

脊髄損傷による感覚障害について

           

投稿日:
読み終わる時間は約 < 1


この記事を読んでわかること

脊髄損傷で感覚障害が起こる原因がわかる
脊髄損傷の病態別に生じる感覚障害の違いがわかる
感覚障害の症状を知れる


脊髄損傷によって内部を走行する感覚の伝導路が障害されると、感覚障害が出現します。
脊髄損傷の程度や部位によって感覚障害の出方も異なり、転倒や褥瘡のリスクを増加させるため注意が必要です。
この記事では、脊髄損傷による感覚障害について、そのメカニズムや病態別の症状について詳しく解説します。

脊髄損傷の種類と感覚障害の関係

脊髄損傷の種類と感覚障害の関係
一言に脊髄損傷といっても、その損傷の程度によって大きく2つに大別されます。

  1. 完全損傷:損傷部位以下の運動、感覚機能が完全に消失
  2. 不完全損傷:脊髄の一部が損傷し、脊髄損傷部位以下のなんらかの運動もしくは感覚機能が残存している状態

このうち、不完全損傷はその損傷の仕方によって下記のような病気が含まれます。

  • 中心性脊髄損傷:脊髄の中心部のみ障害される
  • Brown Sequard(ブラウン セカール)症候群:脊髄の左右片側だけ障害される
  • 前脊髄症候群:脊髄腹側約2/3が障害される
  • 後脊髄症候群:脊髄背側約1/3が障害される

これらの脊髄損傷はそれぞれ損傷部位が異なるため、感覚障害の出現様式もさまざまであり、その病態を理解するためには感覚の伝達経路を理解することが肝要です。
まず、上肢や下肢の皮膚になんらかの感覚(熱さや痛み)が加わると、末梢神経に刺激が伝達され、その刺激は末梢神経から脊髄後角を介して脊髄に入ります。
下肢の感覚は腰髄に、体幹の感覚は胸髄に、上肢の感覚は頸髄に入り、左右反対側に交叉しながら脳に向かって上行して伝達されます。
この時、上肢からの感覚は脊髄のより中心部を走行し、下肢に近い感覚ほど脊髄の外側を走行すると考えられています。
また、感覚の種類によっても左右交差する部位は異なり、下記の通りです。

  • 痛覚・温度覚:流入した脊髄レベルで左右交差し、その後上行する
  • 深部感覚・触覚:流入してから上行し、脳幹レベルで左右交差する

最終的に脳の視床と呼ばれる部位に集約され、大脳皮質に刺激が入ることで痛みや熱さを近くするわけです。
そのため、完全損傷であれば熱さや痛み、深部感覚など全ての感覚が左右ともに失われます。
一方で、不完全損傷の場合はその疾患によって感覚障害の出方も変わります。
例えば、中心性脊髄損傷では脊髄の中心部のみ障害されるため、感覚障害は下肢よりも上肢で強いです。
脊髄の左右片側だけ障害されるBrown Sequard(ブラウン セカール)症候群の場合、深部感覚・触覚は左右同側が障害されますが、温痛覚は左右反対側が障害されます。
次に、脊髄腹側約2/3が障害される前脊髄症候群の場合、脊髄背側約1/3だけが保たれるため、脊髄背側約1/3を走行する位置覚および振動覚は保たれていますが、それ以外の感覚は障害されます。
逆に、後脊髄症候群の場合は位置覚および振動覚が優位に障害されるため注意が必要です。

不全麻痺と完全麻痺の違い

先述した、脊髄損傷の程度による完全損傷と不完全損傷の分類と同様、出現する麻痺の程度によって不全麻痺と完全麻痺に分類されます。
頚椎の完全麻痺なら四肢麻痺に、腰椎の完全麻痺なら下肢麻痺となります。
一方で、不全麻痺であれば一部の機能が残存するため、なんらかの運動が可能となる可能性もある点が違いです。

感覚障害の一般的な症状と影響

上記で記したように、感覚はその性質によって伝達経路にも違いがあり、疾患によってどの感覚が障害されるか異なります。
感覚障害は、主に下記のように細分化されます。

  • 温痛覚
  • 触覚
  • 位置覚や振動覚

これらが障害されることで痛みや熱さがわからなくなったり、触れられている感覚が消失することもあるため、褥瘡や転倒のリスクが増加する可能性もあり注意が必要です。
また、感覚の低下以外に、感覚神経が障害されることで正常とは異なる感覚を感じることもあります。

  • 感覚過敏(hyperesthesia)
  • 異常感覚(dysesthesia)
  • 錯感覚(paresthesia)
  • 神経痛(neuralgia)

どれも日常生活の質を低下させる可能性があるため、医療機関での治療が重要です。

脊髄損傷による感覚障害のまとめ

今回の記事では、 脊髄損傷による感覚障害について詳しく解説しました。
脊髄損傷による感覚障害は損傷の程度や部位によって症状は多彩ですが、どれも日常生活に与える影響は少なくないため、注意が必要です。
特に、深部感覚が障害されると転倒リスクが高まり、さらに脊髄損傷が悪化する可能性もあります。
現状、症状の緩和目的で薬物療法やリハビリテーションが行われますが、根治には至っておりません。
一方で、最近では「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
ニューロテックメディカルでは、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「神経再生医療×同時リハビリ™」によって、これまで改善が困難であった感覚障害の改善が期待できます。

よくあるご質問

脊髄損傷になると感覚が麻痺するのはなぜ?
四肢や体幹からの感覚の情報は末梢神経から脊髄に伝達され、脊髄を上行して脳の視床・大脳皮質へと入力され知覚されます。
そのため、脊髄損傷を受けると正常に脳に刺激が伝達されず感覚障害が生じます。

脊髄損傷になると痛みを感じなくなるの?
脊髄を完全に損傷すると、そのレベルよりも下位の痛みや熱さ、深部感覚などを完全に感じられなくなります。
しかし、不完全損傷の場合、神経障害性疼痛などの痛みを感じる可能性があるため、注意が必要です。

<参照元>
・日本脊髄外科学会:http://www.neurospine.jp/original62.html#:~:text=脊髄損傷の程度は,症候群等に分かれます%E3%80%82
・J STAGE:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jkpt/5/0/5_0_11/_pdf
・日本神経学会:https://www.neurology-jp.org/Journal/public_pdf/051090699.pdf
・日本整形外科学会:https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/spinal_cord_injury.html

関連記事


あわせて読みたい記事:脊髄損傷における痛みについて

外部サイトの関連記事:馬尾症候群の診断と治療



脳卒中・脊髄損傷のご相談
3ステップで簡単フォーム

  • お名前
  • Email・TEL
  • 年齢・内容

お名前をご記入ください


  • お名前
  • Email・TEL
  • 年齢・内容

メールアドレス

電話番号

※携帯電話へショートメッセージでご連絡させていただく場合がございます。




  • お名前
  • Email・TEL
  • 年齢・内容

年齢と地域の選択

ご相談内容を入力

送信前にプライバシーポリシー(別タブが開きます)を必ずご確認下さい。




※送信後にページが移動します。確認画面はありません。


貴宝院 永稔【この記事の監修】貴宝院 永稔 医師 (大阪医科薬科大学卒業)
脳梗塞・脊髄損傷クリニック銀座院 院長
日本リハビリテーション医学会認定専門医
日本リハビリテーション医学会認定指導医
日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


再生医療の治療 各地クリニックの案内

YouTubeチャンネル

脳卒中や脊髄損傷など再生医療に関する情報はこちらでもご覧頂けます。
脳卒中ラボ

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

ニューロテックメディカル・リハビリセンター

おすすめ記事

(腰椎損傷 下肢不全麻痺|30代 MK様)

おすすめ記事

最近の記事

  1. 脳梗塞の頭頂葉障害による感覚や認知機能への影響と治療法

  2. 喫煙は脳梗塞の危険信号!今すぐ禁煙すべき理由を徹底解説

  3. 毎日飲める!脳卒中予防に効果的な最強ドリンクとは?

【再生医療×リハビリテーションの可能性】オンライン講演会 Vol.1

ピックアップ記事

  1. 脳腫瘍の余命はどのくらいか

  2. 不治の病とも言われる脊髄損傷への最新治療とは

  3. 脳出血後でも長生きできるのか?

おすすめ記事

  1. オイルが脳卒中リスクを減らすのは本当なのか?

  2. 脳梗塞後の四分の一盲(クアドランタノプシア)とは

  3. 脳卒中の理学療法の重要性と脳卒中認定理学療法士の役割

クリニックのご案内

脳梗塞・脊髄損傷クリニック

脳卒中・脊髄損傷の後遺症の
       お悩みや治療のご相談
お気軽にお問い合わせ下さい

0120-955-573

[電話受付]【月~土】9:00~18:00/日祝休