歯髄幹細胞が脳卒中後の神経再生に与える影響とは? | 脳梗塞・脊髄損傷後遺症の幹細胞治療|ニューロテックメディカル

歯髄幹細胞が脳卒中後の神経再生に与える影響とは?

           

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この記事を読んでわかること

歯髄幹細胞の特性がわかる
歯髄幹細胞と他の幹細胞の違いがわかる
歯髄幹細胞の最新の知見がわかる


これまで脂肪由来幹細胞や骨髄由来幹細胞が脳卒中の治療に使用される幹細胞として主流でしたが、近年では歯髄幹細胞が新たに注目されています。
また、他の幹細胞とは採取方法や増殖能力、神経細胞への分化能など異なる特性を持っています。
そこでこの記事では、歯髄幹細胞が脳卒中後の神経再生に与える影響について解説します。

歯髄幹細胞の特性と神経細胞への分化能力

歯髄幹細胞の特性と神経細胞への分化能力
歯を守る象牙質のさらに奥に存在する、神経細胞と血管の集合体である歯髄には、歯髄幹細胞と呼ばれる幹細胞が豊富に存在しています。
歯髄幹細胞は他の幹細胞(骨髄由来幹細胞・脂肪由来幹細胞など)と同様、自己複製能と多分化能を持ち合わせており、体内の損傷した臓器や組織の細胞に分化・増殖することで機能や構造を代償します。
一方で、歯髄幹細胞の他の幹細胞と異なる特性は下記の通りです。

  • 比較的採取しやすい
  • 遺伝子が傷つきにくく、ガン化しにくい
  • 自己複製能が高い

歯髄幹細胞は、親知らずや矯正で抜歯した歯や乳歯などから採取できるため、骨を穿刺して採取する骨髄由来幹細胞や、腹部の脂肪組織から採取する脂肪由来幹細胞と比較して容易に採取できます。
また、歯は表層をエナメル質や象牙質によって守られているため、歯髄幹細胞は損傷しにくく、遺伝子が傷つきにくくガン化しにくい点もメリットです。
さらに、歯髄幹細胞は骨髄幹細胞よりも自己複製能が高く、特に乳歯は組織再生能が高いことが報告されています。
また、歯髄幹細胞は神経堤由来の細胞集団であり、神経細胞への分化・誘導に高い反応性を示すことが示唆されているため、神経細胞に分化できる可能性が高いです。
実際に、Arthurらの報告によれば、歯髄幹細胞は神経細胞への分化も可能であり、特に幹細胞による治療効果が期待される難治性の神経疾患に対しても新たな治療法となりうる可能性を示唆しています。

脳卒中後の神経障害に対する再生医療の現状

脳卒中後の神経障害に対する再生医療の現状
脳卒中後の神経障害に対する再生医療においては、国内でもさまざまな治験が実施されています。
たとえば、札幌医科大学附属病院では、自身の骨組織から採取した骨髄由来間葉系幹細胞を用いてラクナ梗塞を除く脳梗塞を対象に、治験薬の安全性と有効性を確認するための治験が実施されており、その結果が待たれるところです。

また、北海道大学では慢性期脳出血の後遺症である手足の麻痺に対し、札幌医科大学附属病院と同様に骨髄由来間葉系幹細胞を用いて、症状改善の有効性や安全性を評価する治験が実施されています。

骨髄由来間葉系幹細胞は神経細胞への分化能が高いことが知られているため、国内での治験では採取の侵襲性が高いにも関わらず骨髄由来間葉系幹細胞を用いられることが多く、そのため歯髄幹細胞を用いた治験は報告が少ないです。
また、より低侵襲に採取できる脂肪由来間葉系幹細胞を用いた研究も散見され、ラットにおいては脂肪由来幹細胞治療が脳卒中の動物モデルで血管新生と神経新生を促進することが報告されています。
以上のことからも、現在脳卒中に対する再生医療では骨髄由来間葉系幹細胞、もしくは脂肪由来間葉系幹細胞が主流であり、全世界で多くの治験が実施されているのが現状です。

臨床応用に向けた研究と今後の展望

一方で、名古屋大学では歯髄幹細胞をドーパミン産生細胞に分化誘導することに成功しており、脳梗塞モデルのマウスを対象に行った実験では神経再生効果も認めています。
またそれと同時に、完全脊髄損傷モデルのマウスを対象に行った実験では神経損傷周囲のアポプトーシスを抑制し、神経軸索破壊や髄鞘破壊を最小限度にとどめる効果や、それによって軸索の伸長を促す効果も認めています。
以上のような研究が今後も進めば、難治性神経疾患への新たな治療として歯髄幹細胞を用いた再生医療が確立される日も遠くはないでしょう。

まとめ

今回の記事では、歯髄幹細胞が脳卒中後の神経再生に与える影響について詳しく解説しました。
歯髄幹細胞は従来の脂肪、もしくは骨髄由来幹細胞と比べて採取しやすく、また増殖能力も高いため、新たな幹細胞として注目されています。
現在はまだ取り扱っている医療機関や治験も少ないですが、今後更なる知見が得られれば再生医療の主流となる可能性もあります。
また、ニューロテックメディカルでは、「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
「ニューロテック®」では、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
また、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「同時刺激×神経再生医療Ⓡ」によって、これまで改善困難であった脳血管疾患に伴う神経学的後遺症の改善が期待できます。

よくあるご質問

歯髄幹細胞の効果は何ですか?
歯髄幹細胞の効果は、投与することで損傷した組織の機能改善が見込めます。
特に、他の骨髄由来幹細胞よりも増殖能力が高いことが知られており、より高い再生効果が期待できます。

歯髄再生治療のデメリットは?
歯髄再生治療のデメリットは、実際に行っている医療機関が国内では非常に少ない点です。
また、自由診療であるため、全額自費で診療費用が高額になる傾向に可能性があり、注意が必要です。

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    1:歯髄由来の間葉系幹細胞による組織再生|J STAGE:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jeajournal/31/3/31_155/_pdf
    2:脳梗塞再生医療|札幌医科大学附属病院:https://web.sapmed.ac.jp/saisei/stroke.html
    3:脳出血に対する再生医療等製品 HUFF-01 の研究開発 ~医師主導治験 RAINBOW-Hx 研究、第 1 例目の投与終了~|北海道大学病院:https://www.huhp.hokudai.ac.jp/wp-content/uploads/2024/06/20240607_press.pdf
    4:歯髄幹細胞の神経分化能の検証とその治療応用|厚生労働科学研究成果データベース:https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/17739

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    PROFILEこの記事の監修
    貴宝院 永稔
    貴宝院 永稔 医師
    (大阪医科薬科大学卒業)
    • 脳梗塞・脊髄損傷クリニック 総院長
    • 日本リハビリテーション医学会認定専門医
    • 日本リハビリテーション医学会認定指導医
    • 日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
    • ニューロテックメディカル株式会社 代表取締役

    私たちは『神経障害は治るを当たり前にする』をビジョンとし、ニューロテック®(再生医療×リハビリ)の研究開発に取り組んできました。
    リハビリテーション専門医として17年以上に渡り、脳卒中・脊髄損傷・骨関節疾患に対する専門的なリハビリテーションを提供し、また兵庫県尼崎市の「はくほう会セントラル病院」ではニューロテック外来・入院を設置し、先進リハビリテーションを提供する体制を築きました。
    このブログでは、後遺症でお困りの方、脳卒中・脊髄損傷についてもっと知りたい方へ情報提供していきたいと思っています。


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