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小脳萎縮症の治療とリハビリテーション

この記事を読んでわかること小脳萎縮症ではどのような症状が起こるか。
小脳萎縮症にはどのような治療法があるのか。
小脳萎縮症のリハビリテーション方法について。


小脳萎縮症は、小脳の組織が減少する状態のことです。
様々な原因によって引き起こされる神経変性疾患の一種であり、遺伝的な要因や環境要因が関与することがあります。
小脳萎縮症には根本的な治療法はありませんが、症状を和らげる薬物治療やリハビリテーションが大切になります。

小脳萎縮症の治療可能性と現状

小脳萎縮症の治療可能性と現状
小脳とは、大脳の後方下部に位置しており、大きさは大脳の約1/10程度の臓器です。
約千億個程度と非常に多くの神経細胞からなります。
小脳の主な働きとしては、運動の制御をすることです。
視覚や触覚など、さまざまな感覚情報と脳から筋肉に向かう運動指令を統合しており、運動をスムーズにするために欠かせない臓器です。

さて、この小脳が何らかの原因で萎縮してしまうと、小脳の細胞が徐々に失われることにより、平衡感覚や運動調節が障害されます。
例えば、歩く際にふらついたり、手が震えたり、またろれつが回らないなどの症状が現れます。
小脳が進行性に萎縮してしまう病気としては、脊髄小脳変性症や、多系統萎縮症などがあります。
特に、脊髄小脳変性症の場合は、その約3分の2は遺伝性ではありません。
しかし、発症に関しては原因となる遺伝子がわかってきています。

一方で、治療方法には限界があり、現在のところ根治治療は存在しません。
しかし、症状の管理と進行を遅らせるために治療が行われています。
主な治療法としては、薬物療法があり、これにより症状の緩和が期待できます。
例えば、運動失調に対しては、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)製剤であるプロチレリン酒石酸塩、TRH誘導体であるタルチレリン水和物という薬が使われます。
また、足のツッパリ感やめまい、震えに対しては、ベータ遮断薬や抗てんかん薬が用いられることがあります。

また、遺伝性の小脳萎縮症の場合、遺伝子治療が治療可能性として研究されていますが、まだ実用化には至っていません。
このように、治療法は症状を管理し、患者の生活の質を向上させることに焦点を当てています。

効果的なリハビリテーション方法

リハビリテーションは、小脳萎縮症患者の機能的回復と自立支援に不可欠です。
物理療法、作業療法、言語療法が主に行われます。
物理療法では、バランスや歩行の訓練を通じて、患者の運動能力の改善を図ります。
作業療法では、日常生活動作(ADL)のサポートや改善を目指し、患者がより自立した生活を送れるように支援します。
言語療法は、発話や嚥下障害がある場合に重要となります。
また、脊髄小脳変性症の中には遺伝性の両方の下半身麻痺の方がいます。
この方達に対しては、歩行リハビリテーションとしてHAL医療用下肢タイプによる「歩行運動処置(ロボットスーツによるもの)」があります。
これは、2023年10月から、追加保険適用になっています。
これらのリハビリテーションは、患者の状態に応じて個別に計画され、継続的にリハビリ専門の医師や作業療法士などの医療スタッフが評価をし、調整して行われていきます。
また、患者と家族への教育も重要な役割を果たし、疾患の理解を深め、日常生活での対応策を学ぶ機会を提供します。

日常生活でのサポートとご家族へのアドバイス

小脳萎縮症患者とその家族は、日常生活における多くの困難に直面してしまうかもしれません。
家の中での安全対策、例えば滑りやすい床への対策、手すりの設置、階段の使用を避けるための生活空間の再配置などが重要です。
また、患者が自立して生活するためには、日常生活動作のサポートが必要になる場合があります。

家族には、患者の状態に対する理解と、時に忍耐力が求められるでしょう。
サポートグループやカウンセリングサービスの利用が、情報共有や精神的なサポートを得るための有効な手段となり得ます。
また、家族が患者のリハビリテーションプログラムに積極的に関わることも、患者の回復に貢献することが示されています。

まとめ

小脳萎縮症は現在のところ根治治療がないものの、症状の管理と患者の生活の質の向上を目指した治療とリハビリテーションが可能です。
効果的なリハビリテーションと日常生活でのサポートは、患者の自立を促し、家族への負担を軽減します。
患者と家族が疾患について正しく理解し、適切なサポートを受けることが、より良い生活を送るための鍵となります。

小脳が萎縮し、神経が損傷を受けた場合には根本的な修復は難しいとされてきました。
そこで、私たちニューロテックメディカルでは脳卒中や脊髄損傷、神経障害の患者さんに対する『脳の治る力を高める治療』を、リニューロ®と定義しました。
リニューロ®は、同時刺激×神経再生医療、骨髄由来間葉系幹細胞、神経再生リハビリにて『脳の治る力を高める治療』です。
最近では、理化学研究所で脊髄小脳変性症の患者からiPS細胞を樹立し、小脳プルキンエ細胞を分化誘導させ、病態の一部を再現することに成功したという研究もあります。
今後も、ますます再生医療の発展に期待が持たれるところですね。

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Q&A

脊髄小脳変性症のリハビリにはどんな内容がありますか?
脊髄小脳変性症の中には遺伝性の両方の下半身麻痺の方がいます。
この方達に対しては、歩行リハビリテーションとしてHAL医療用下肢タイプによる「歩行運動処置(ロボットスーツによるもの)」があります。

小脳萎縮の予後は?
小脳萎縮の予後は、それぞれの病気のタイプによって大きく異なります。
症状はゆっくりと進みます。
急に症状が悪くなることはありませんが、呼吸や血圧の調節など自律神経機能の障害や、 末梢神経障害によるしびれ感などを伴うことがあります。

<参照元>・言語機能における「小脳」の役割を解明 ~脳のメカニズム理解に新たな視点を提供 学校法人 東海大学:
https://www.tokai.ac.jp/news/detail/post_409.html
・皮質性小脳萎縮症とは何か.神経治療.2018;35:320-325.:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnt/35/3/35_320/_pdf/-char/ja
・多系統萎縮症(1)線条体黒質変性症(指定難病17):
https://www.nanbyou.or.jp/entry/221
・脊髄小脳変性症(多系統萎縮症を除く)(指定難病18):
https://www.nanbyou.or.jp/entry/4879
・プレスリリース 患者由来iPS細胞による脊髄小脳変性症の病態再現 日本医療研究開発機構:
https://www.amed.go.jp/news/release_20161102.html

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