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球脊髄性筋萎縮症(SBMA)のリハビリテーションの役割

この記事を読んでわかること球脊髄性筋萎縮症とは何か
球脊髄性筋萎縮症の症状
球脊髄性筋萎縮症のリハビリテーションの具体例


球脊髄性筋萎縮症は、脳の一部や脊髄の運動神経細胞に障害が起こり、顔や舌、手足の筋肉が萎縮し、筋力が低下していく病気です。
進行性の病気で症状は緩徐に進行します。
当院は症状に応じたリハビリテーションを提供し、その方の機能をなるべく維持できるように関わっていきます。

球脊髄性筋萎縮症とは

球脊髄性筋萎縮症とは

球脊髄性筋萎縮症とは、脳の一部や脊髄の運動神経細胞に障害が起こり、顔、舌、手足の筋力が徐々に萎縮し、筋力が低下する病気です。
成人男性にのみ発症する遺伝性の病気で、女性は発症しません。
日本では、人口10万人あたり1~2人程度の患者がいると推定されています。
球脊髄性筋萎縮症は、指定難病対象疾患に分類されます(指定難病1)。

球脊髄性筋萎縮症の原因

球脊髄性筋萎縮症の原因は、性染色体の一つであるX染色体上にあるアンドロゲン受容体遺伝子の繰り返し配列が延長することが原因です。
男性のみ発症し、女性がこの遺伝子を持っていても発症せず保因者となります。
この繰り返し配列が長い程、発症年齢が早くなり、重症化する傾向にあるのです。

球脊髄性筋萎縮症の症状

球脊髄性筋萎縮症の症状には以下のようなものがあります。

  • 舌が萎縮する
  • 飲み込みにくくなる
  • 手足の力が入らなくなる
  • 手が震える
  • 顔がぴくつく
  • 乳房が女性のように膨らむ

主な症状は咽頭の筋力低下と筋萎縮で、進行は緩徐です。
初期症状には両下肢近位の筋力低下があり、立ち上がりにくい、歩きづらい、転びやすいといった症状が見られます。
顔や首に力が入ると筋肉のぴくつきが強くなる現象も特徴的で、口周囲に目立ちます。
通常、30~60歳頃の発症が多いとされ、徐々に筋力が低下し、発症10年程度で嚥下障害が顕著となり、発症15年程度で車椅子生活を余儀なくされることが多いです。
誤嚥性肺炎など呼吸器感染症が直接の死因となるケースが多いといわれています。

球脊髄性筋萎縮症のリハビリの目的

球脊髄性筋萎縮症を根本的に治すような治療法は見つかっていません。
リハビリの目的は、その時の症状に合わせた運動療法を行ったり、歩行障害が出現している方に対しては装具や歩行器、車いすの導入を支援します。
身体機能維持を図り、日常生活の自立度を低下させないようリハビリ介入します。

球脊髄性筋萎縮症のリハビリの種類と方法

球脊髄性筋萎縮症のリハビリは、その方の症状に合わせたリハビリを実施します。
以下に、リハビリの種類と方法を紹介します。

運動療法

初期症状として、四肢近位筋の筋力低下があり、起き上がりにくい、歩きにくいなどの症状を自覚します。
これらの症状に対しては、以下のような下肢筋力トレーニングを行う必要があります。

下肢筋力トレーニング

  1. 足上げ運動
    仰向けにて膝を伸ばしたまま足を30度程度持ち上げ、10秒保持、その後ゆっくり下ろします。
    反対の足も同様に行います。
  2. ブリッジ運動
    仰向けで両膝を立て、お尻を持ち上げて10秒保持、その後ゆっくり下ろします。
  3. ゴムチューブにて股関節外転運動
    仰向けにてゴムチューブを左右の腿を囲うように結び、股関節の外転運動を行います。
    外転したら10秒保持、その後ゆっくり戻します。

※1〜3の回数は無理のない範囲で行いましょう。

嚥下訓練

飲み込みの異常やむせが見られる嚥下障害も出現する可能性があります。
誤嚥性肺炎を引き起こす危険性があるため、嚥下訓練はとても重要です。

嚥下訓練

  1. 舌の運動
    舌をべーと出したり、舌をのどの奥の方へ引く。
    口の両端をなめるように舌を左右に動かす。
    鼻の下、顎の先を触るように舌を上下に動かす。
  2. 首の運動
    後ろに振り返る運動を左右で行う。
    左右に首をかしげる。
    左右に首回しを行う。

※食べる前に行い、むせを減らしたり、食べものを飲みこみやすくしましょう。

構音訓練

初期症状でしゃべりにくさが出現する場合があります。
舌や喉の筋力が弱くなると、意図した音をうまく発することが出来なくなるのです。
声を出しやすくするために、呼吸訓練、発音訓練を行います。

呼吸・発音訓練

  1. 呼吸訓練
    お腹が膨らむように鼻から息を吸って、お腹が凹むようにゆっくりと長く口から息を吐きます。
  2. 発音練習
    声に出して新聞や本を読みます。はっきりした口調で読むように意識します。

ロボットスーツHAL®

HAL®医療用下肢タイプは、装着者の身体運動を支援する機器です。
装着者が身体を動かそうとすると、脳から脊髄〜運動ニューロンを介して筋肉に神経信号が伝わり、筋骨格系が動作します。
このとき、微弱な生体電位信号が皮膚表面に現れます。
機器に内蔵された様々なセンサーから得られた情報と、皮膚表面に貼り付けられた電極を通して得られた情報とを用いて、下肢の動きをアシストします。
HAL®医療用下肢タイプは、神経難病患者などにおける起立動作・歩行障害の改善を目的としています。
保険診療での適用が認められているのは緩徐進行性の神経・筋疾患であり、特定医療費(特定難病)受給者証を持っている方に限られます。
球脊髄性筋萎縮症は保険適用対象疾患です。

球脊髄性筋萎縮症のリハビリ期間と継続的な取り組み

球脊髄性筋萎縮症は緩徐に進行するため、継続的に長期間リハビリを実施することが望ましいです。
外来リハビリの他に自主練習を行うことも有効です。
継続的に毎日自主練習にて筋力訓練を行ったり、散歩や自転車などその方の症状に合わせた運動を取り入れると、筋力向上や歩行能力の向上が短期間で見られるという報告があります。
逆に、自主練習をしない場合は能力低下が見られ、歩行能力が低下したとの報告もあります。

まとめ

球脊髄性筋萎縮症は緩徐な進行であり、長期に渡ってリハビリを行う必要性があります。
病院でのリハビリの他、自主練習で毎日取り組むことで効果が得られやすく、身体機能の維持を図ることが出来ます。
ニューロテックメディカルでは、脳卒中・脊髄損傷を専門として、脳脊髄損傷部の治る力を高める治療『リニューロ®』を提供しております。
また、『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』をニューロテック®と定義し、生命の再生を促す再生医療を取り入れています。
再生医療だけではなく、リハビリも行うことで(生医療×同時リハビリ™)、より治る力を高めていくのです。
ご興味のある方は、ぜひご連絡ください。

Q & A

球脊髄性筋萎縮症の治療法は?
男性ホルモンの分泌を抑えるリュープロレリン酢酸塩が、進行抑制治療として承認されています。
12週に1回皮下注射して治療しますが、完全に進行を止める薬剤ではないことと、性機能低下、抑うつ等の副作用もあることから、使用に関しては慎重に決める必要があります。
球脊髄性筋萎縮症のリハビリの禁忌は?
筋力トレーニングの際にはその方にとって負荷が強すぎないように注意しましょう。
過負荷になると身体的負担が大きくなってしまいます。

<参照元>・SBMAの会:
https://sbma.jp/sbma.html
・日本神経学会:
https://www.neurology-jp.org/public/disease/sbma.html
・難病情報センター:
https://www.nanbyou.or.jp/entry/234

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