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脊髄損傷で麻痺になる部位別のリハビリ方法とは

この記事を読んでわかること
脊髄損傷の髄節レベルでの運動レベルと日常生活レベル
損傷レベル別の訓練内容
脊髄損傷者の予後


脊髄が損傷されると、運動麻痺、感覚障害、自律神経障害、排泄障害などが生じます。
脊髄損傷は損傷された髄節レベルによって麻痺の程度が異なり、運動や日常生活レベルも様々です。
この記事では、脊髄損傷の髄節レベル別のリハビリ内容について説明しています。
また、予後についても説明していますので、ぜひ最後までご覧ください。

脊髄損傷リハビリテーションの部位別訓練と種類

脊髄損傷リハビリテーションの部位別訓練と種類
脊髄が損傷されると、障害された部位より下へ脳からの指令が伝わらなくなる他、下からの信号が脳へ伝わらなくなります。
そのため運動麻痺、感覚障害、自律神経障害、排泄障害などが生じます。
脊髄は中枢神経に分類され、神経細胞が一度損傷されるとその再生は困難であり、後遺症がその障害の程度によって残ります。

損傷レベル別の麻痺の程度と日常生活レベル

脊髄の損傷されたレベルにより、運動麻痺や感覚障害の分布が異なります。
麻痺の重さは脊髄の損傷の程度によります。
各髄節レベルでの麻痺の程度と運動レベル、日常生活レベルの目安を表1で説明します。

表1

  運動レベル 麻痺の程度 日常生活
仙髄L
腰髄S
S3-S5 会陰部の痺れ 短下肢装具で歩行、杖歩行、実用的な歩行も可能
L2-S2 足の筋力低下と痺れ
胸髄T T12-L1 股関節から下の麻痺と感覚消失 長下肢装具で杖歩行、実用的には車椅子
T9-T11 下肢の麻痺、臍から下の感覚消失 上肢はおよそ正常に動かせる
普通型車椅子でADL自立
T5-T8 下肢・下部体幹の麻痺、胸郭から下の感覚消失
T2-T4 下肢・体幹の麻痺、乳首から下の感覚消失
頚髄C C8-T1 指を曲げることが出来るが、握力は低下していることあり 普通型車いすでADL自立
C7-C8 肘を伸ばすことが出来る 普通型車椅子でADL一部介助〜自立、入浴可能
C6-C7 手関節の伸展が可能 更衣、ベッドと車椅子間の移乗、車椅子駆動、が可能
C5-C6 肘をわずかに曲げられるが、伸展は困難 装具、補助具を使用して食事、整容可能。
電動車椅子、平地での車椅子駆動が可能
C4 呼吸に使われる筋の麻痺 全介助、食事は装具を用いて一部可能
仙髄L
腰髄S
S3-S5 会陰部の痺れ 短下肢装具で歩行、杖歩行、実用的な歩行も可能
L2-S2 足の筋力低下と痺れ
胸髄T T12-L1 股関節から下の麻痺と感覚消失 長下肢装具で杖歩行、実用的には車椅子
T9-T11 下肢の麻痺、臍から下の感覚消失 上肢はおよそ正常に動かせる
普通型車椅子でADL自立
T5-T8 下肢・下部体幹の麻痺、胸郭から下の感覚消失
T2-T4 下肢・体幹の麻痺、乳首から下の感覚消失
  C1-C3   全介助、呼吸器使用

また、日常生活において、以下のような排泄障害が見られます。

  • 排尿障害
    排尿障害には、尿を膀胱に溜める障害と、出す障害があります。
    脊髄損傷は、その両方が合併するのが普通です。
    膀胱に尿が上手く溜められないと、膀胱が異常な収縮を起こして尿失禁が起こります。
    膀胱の異常な収縮により膀胱に高い圧がかかり、徐々に膀胱が変形します。
    そして、腎臓に負担がかかり、腎機能障害を引き起こして、透析になる危険性さえもあるのです。
  • 排便管理
    脊髄を損傷すると、直腸の感覚が鈍くなったり、肛門括約筋を自分の意志でコントロールできなくなります。
    その結果、便を溜められずに失禁してしまったり、便が貯まっても便意が生じず、腹圧がうまくかからずに便を排出できなくなるのです。

損傷レベル別訓練の目安

脊髄損傷は損傷レベルによって残存機能が違い、訓練内容も変わってきます。
以下に、部位別の訓練内容をご紹介します。

高位頚髄損傷(C4以上)

呼吸機能の低下がある場合、呼吸の管理状態に応じた呼吸訓練を行います。
発声障害がある場合は、コミュニケーション機器を利用するなどのコミュニケーション手段の確立が必要です。
頭・頸部の動きや呼気など残存部位によって、電動車椅子や環境制御装置、食事介助用ロボット、パソコンの操作が可能となります。
三角筋や上腕二頭筋などが残存していればポータブルスプリングバランサー、モービル・アーム・サポートなどの上肢装具を使用した上肢のコントロールが可能となり、食事や整容動作が出来るようになることがあります。

C5以下の頸髄損傷

訓練は上腕三頭筋が残存しているかいないかで大きく分かれます。上腕三頭筋が残存していると、プッシュアップ動作ができ、新しい動作能力の拡大が期待できるからです。
いずれのレベルにおいても肩甲帯の十分な可動性の確保と C4、5レベルの筋力増強・スキル向上が重要となります。
また、麻痺している体幹・下肢のコントロール能力の向上も身体の動作能力獲得には重要です。
機能回復には上肢機能の再教育や新しい動作パターンの獲得が必要な障害レベルと捉えましょう。

胸・腰髄損傷

上肢の骨折などがなければ、上肢機能は障害されていないことが多いです。
プッシュアップなどの新たな運動パターンを学習し、獲得するためには、上肢機能の向上、肩甲帯の可動性の拡大、肩甲帯周囲筋の筋力強化が重要になります。
目立った阻害因子がなければADLは早期に自立し、体幹・下肢へのアプローチ、歩行補助具の導入などによって起立、歩行訓練を進めていきます。

完全麻痺と不全麻痺の違いとリハビリテーション

脊髄損傷の完全麻痺とは、損傷した脊髄より下の運動機能や感覚機能が低下します。
肛門周囲の感覚も消失し、肛門括約筋を自分で締められない状態となります。
不全麻痺とは、運動機能や感覚機能の低下はありますが、肛門周囲の感覚はあり、肛門括約筋を自分で締められる状態です。
脊髄損傷者の多くは不全損傷です。
特に、高齢者の中心性頸髄不全損傷の方が多く見られます。
高齢者の脊髄損傷は頚髄損傷が多く、明らかな骨傷がなく軽微な外力による過伸展損傷を受傷機転としている場合が多いと報告されています。
症状は、筋緊張の不均衡が顕著でそれによる二次的な関節可動域制限です。
治療としては、筋の収縮だけでなく弛緩を促し、筋緊張のコントロールを促通します。
一時的に筋緊張が低下することによって立位・歩行能力が低下することがありますが、その後の上下肢コントロールは協調的になっていきます。

脊髄損傷のリハビリ治療から半年程度で期待できる改善とは

脊髄中で離断または変性した神経は通常回復せず、機能障害が永続的となります。
圧迫された神経組織は、受傷後1週間以内に運動または感覚が部分的に戻れば、順調な回復が予想されます。
受傷後、1から3ヶ月の時期は、特に回復期と言われ、不全麻痺の脊損の多くはここで回復できる神経部分が回復し、麻痺が回復します。
受傷後3から4ヶ月を過ぎればほぼ慢性期になり、胸髄、腰髄損傷者の多くは、排泄訓練や日常生活のための訓練を終え、在宅生活に戻ります。
麻痺の回復は、この後も徐々に6ヶ月から1年以上にわたって進みますが、6ヶ月を過ぎると大きな回復が見られなくなり、リハビリテーション終了時期とされています。
受傷後1年以上過ぎると、麻痺がほぼ一定の状態になり、これ以上回復しないとみなされる時期ですが、この後まったく回復しないというわけではありません。
しかし、多くの脊損者にとっては、この状態がほぼ一生涯にわたって続きます。

まとめ

脊髄損傷は損傷レベルによって、また、完全麻痺か不全麻痺かによって症状も様々であり、予後も様々です。
完全損傷の場合は障害が永続的に続くとされ、残存部位によっては電動車椅子や環境制御装置を取り入れる必要もあります。
ニューロテックメディカルでは、脳卒中・脊髄損傷を専門として、脳脊髄損傷部の治る力を高める治療『リニューロ®』を提供しております。
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Q&A

脊髄損傷による麻痺にはどんな種類がありますか?
脊髄損傷は完全麻痺と不全麻痺があります。
完全麻痺は損傷部位よりも下の運動や感覚が全くなくなってしまうものです。
不全麻痺は脊髄の損傷がまだらな状態で、運動や感覚が部分的に残っている状態です。

対麻痺のケアはどうすればいいですか?
両下肢に麻痺があるため、上肢でプッシュアップして移動するなど生活動作を主に上肢で行うことになります。
筋力トレーニングや関節可動域訓練は必要に応じて計画的に行う必要があります。

<参照元>・日本脊髄外科学会:
http://www.neurospine.jp/original62.html
・大阪府 脊損についての医療的知識:
https://www.pref.osaka.lg.jp/keikakusuishin/kankou/sekisonnbyoutai.html
・理学療法学 第23巻第 3号「脊髄損傷者の加齢に伴う障害の変化」:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/23/3/23_KJ00001307705/_pdf

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