・失語症ゲームの種類
・失語症ゲームを行うこと期待できる効果
失語症は、「話す」「聞く」「読む」「書く」などの言語機能が上手く働かなくなってしまいます。
ミュニケーションが難しくなると、日常生活に大きな支障をきたし、ストレスがかかります。
この記事では、失語症者が楽しくリハビリできるようなリハビリゲームを紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
失語症とは
失語症とは、大脳が損傷されて、正常に獲得されている言語機能が失われることをいいます。
大脳が損傷すると、「話す」「聞く」「読む」「書く」などの言語機能が上手く働かなくなってしまいます。
家族へ伝えたいことが上手く伝えられず、イライラしてしまい家族に当たってしまうこともあるようです。
家族もまた、理解してあげられないと悩み、ストレスに感じることもあるでしょう。
退院後も継続した言語訓練が必要ですが、家族や仲間と楽しくゲーム感覚で言語訓練を継続していけると苦にならずに継続できるのではないでしょうか。
失語症のリハビリゲームの種類
失語症は「話す」「聞く」「読む」「書く」などの言語機能が上手く働かなくなってしまいます。
これらの機能に対してアプローチできるゲームを取り入れることで、楽しく言語機能の回復に向けて取り組めます。
連想ゲーム(話す)
リハビリ手法の呼称練習です。
お題から連想される物の名前をできるだけ沢山答えます。
(例)お題:お正月の遊びといえば?
答え:凧あげ、羽子板、駒まわしなど
単純ではありますが、呼称訓練は日常生活に般化されるといわれています。
なかなか答えられない時は、頭文字や文字数などヒントを出すと答えやすくなるため、工夫してみましょう。
お絵描き・ジェスチャーゲーム(読む)
単語や短文を読み、発話・書字を使わずに伝達するゲームです。
絵を描いたり、ジェスチャーで伝達するなど、意思疎通の方法は問わずに行います。
言葉以外で表現する方法を楽しみ、獲得します。
目・耳で問題を理解する能力が必要なので、軽度の失語症者向けのゲームです。
絵カードお絵描き(書く・聞く・話す)
失語症友の会など集団の場で行うゲームです。
複数のグループに分かれて、配られた絵カードを模写します。
描いた絵を隣のグループに渡し、今度はその絵を見て、何の絵か考えて単語を書きます。
スタッフはその単語にちなんだ質問をし、答えてもらいながらグループで色々な会話をします。
絵カードビンゴ(書く・聞く)
30枚程度の絵カードから9枚を選んでマス目に名称を書きます。
読み上げられた単語があれば〇を付けていきます。
絵カードを使用することで、失語症者の視覚的な認識能力が刺激されます。
絵や画像は、言葉よりも直感的に理解しやすいため、敷居が低く始めやすいのも特徴です。
カラオケ(話す)
失語症があっても、歌唱能力が保たれている方が多くいます。
会話は難しくても思い出の曲が流れると口ずさむことができるのです。
何の歌を歌っているかクイズ形式で行ったり、リレー形式で歌う順番を引き継いで複数人で歌うなど、ゲームとしてカラオケを取り入れると楽しめます。
歌うことが難しい時は、鼻歌で参加しましょう。
文字並べゲーム(読む)
文字を書いたカードを並べて、単語を作ります。
文字を視覚的に認識し、それを意味のある単語に組み合わせていく過程で、脳の言語認識機能が刺激されます。
失語症のリハビリゲームの選び方
失語症には様々な種類があり、症状も様々です。
症状に合わせてゲームを選ぶと効率的に言語訓練が出来ます。
今回は、沢山ある失語症の中で、運動性失語と感覚性失語におけるゲームの選び方を例にご紹介します。
運動性失語
運動性失語の方の多くは、文字理解は比較的保たれていますが、呼称能力(物の名前を言う)が障害されています。
呼称能力を向上させるには、書字とその音読を練習し、その後呼称の練習を取り入れます。
「書く」「読む」「話す」のゲームを取り入れると良いです。
呼称能力が障害されているため、「話す」といっても呼称レベルでのゲーム内容が望ましいです。
感覚性失語
感覚性失語の方の訓練は聴覚的理解(文字・音声を聞いて理解する)が主体です。
文字、単語、絵カードを見ながら何度もお手本の音声を聞き、単語の音読、呼称の練習をします。
呼称ができるようになったら、徐々に長い単語にし、短文、長文へ進めます。
「聞く」「読む」「話す」のゲームを取り入れると良いです。
聴覚的理解が苦手なため、最初から文章レベルの内容を取り入れるのではなく、文字レベルから徐々に単語へ、そして文章を取り入れる内容にしましょう。
失語症のリハビリゲームの効果
失語症のリハビリゲームを行う際は、継続的に行うと効果が得られます。
家族と行う、失語症友の会などの集まりで集団で行うなど、継続的に行える機会を作ることが大切です。
言語機能の改善が見られると、「自宅で電話にでてみようかな。」「買い物に出かけてみようか。」といったように、日常生活の活動の場面が広がります。
閉鎖的な環境に閉ざされるのではなく、外に出向いて見るのも楽しいですね。
失語症のリハビリゲームの注意点
失語症のリハビリゲームを行う際、ゲームを楽しく進めるために以下の点に注意して行いましょう。
注意点
- その方のレベルに合わせた難易度にする。
(難しすぎるとイライラしたり、出来ないことに悲観的になってしまうことがあります。) - 集団で行う時は、失語症の重症度に差があるため、その方のレベルに応じてスタッフや仲間でヒントを出すなど、工夫する。
- ゲームを行う際、表現が難しい抽象的な出題で、失語症者を戸惑わせたり困らせたりしないようにする。
- 楽しく継続できるように、関わる家族やスタッフはゲームの流れを見ながらアシストする。
まとめ
失語症は、ある程度の長期間継続的に訓練を行うことがとても大切です。
楽しく継続的に訓練を行うために、リハビリゲームを取り入れるのがおすすめです。
言語機能の改善が見られると前向きになり、生活における活動の場を広げられる可能性があります。
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よくあるご質問
- 失語症はどのくらいで回復しますか?
- 脳血管障害による失語症は、約12か月で40%改善するといわれています。
軽症であれば発症後2週間、重症であれば10週間が最も回復率が高いとされています。
- 失語症の方とのコミュニケーション方法は?
- 話しかけるときはゆっくりと具体的な内容で話しかけましょう。失語症者が話している時は、話をさえぎらずにじっくりと最後まで聞きましょう。
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<参照元>
・大田区失語症支援の会「ひまわり会」:
https://www.kyoudou.city.ota.tokyo.jp/G0000590/
・失語症友の会「あいおの会」:
https://atami.iuhw.ac.jp/pdf/aio/aio20190813.pdf
・学研ココファン:
https://www.cocofump.co.jp/articles/byoki/16/#26
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