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脳梗塞後の痙縮とリハビリの重要性

この記事を読んでわかること
痙縮とはなにか、その原因が分かる
痙縮と拘縮の症状の違いが分かる
痙縮に対してのリハビリ方法と、その有効性が分かる


脳梗塞の後遺症は運動障害や高次脳機能障害、嚥下障害が見られることがあります。
運動障害のなかで「痙縮」という症状があります。
痙縮は身体が強ばってしまい、歩行や日常生活動作に支障をきたすことがあるのです。
この記事では、痙縮の症状やメカニズム、痙縮に対してのリハビリ手法について詳しくご紹介します。

脳梗塞後の痙縮とは

脳梗塞後の痙縮の特徴
脳梗塞の後遺症として見られる運動障害の1つに痙縮があります。
痙縮とは、意思とは関係なく身体の筋肉の緊張が異常に高まった状態で、手や足がつっぱったり曲がったりしてしまう状態のことです。
痙縮には、以下のような特徴が見られることがあります。

痙縮の特徴

  • 手指が強く握ったままになってしまい、開きづらい
  • 肘が曲がってしまい伸びづらい
  • 足の指が曲がってしまう

痙縮により上記のような姿勢が長く続くと、筋肉が固まって関節運動が制限されてしまう(拘縮)状態となる可能性があります。
また、痛みが出現することもあり、立位や歩行が不安定となってしまう可能性も考えられます。

痙縮のメカニズム

痙縮は、意識的な筋肉の収縮や運動を起こす際の神経経路である錐体路の異常です。
この部分が障害されることで筋肉の緊張に影響が出ます。
筋肉や腱を急激に伸張させると反射的に強く力が入ってしまったり、意識して動かそうとすればするほど力が入り筋肉を強ばらせて動かしにくくなるという特徴があります。

痙縮と拘縮の違いとその理解

痙縮と似たような症状で拘縮があります。
痙縮と拘縮の区別が難しいと考える方もいると思われるため、痙縮と拘縮の違いについて解説します。

拘縮とは

拘縮とは、関節が動かないことにより、線維化(皮膚、骨格筋、靭帯、関節包などの軟部組織が壊死して糸のような組織に置き換わり、伸び縮み能力が失われる)することで関節可動域制限が引き起こされ固定することをいいます。

痙縮と拘縮の違い

脳梗塞後の症状として痙縮が見られます。
痙縮により筋肉の緊張が高まった状態が継続的に続くと、肘が曲がったままで伸びない、指が曲がったままで伸びないという動かない状態(不動)が続きます。
不動の状態が長期間続くことで関節が線維化し、関節可動域に制限が出て関節が固まってしまうのです(拘縮)。
痙縮による二次的症状として拘縮が見られると捉えることが出来ます。
拘縮の要因は痙縮とその後の筋力低下によるという報告もあります。

脳梗塞患者の痙縮に対するリハビリ方法と効果

ストレッチ
脳梗塞後の痙縮に対する実際の具体的なリハビリ方法と、期待できる効果を以下に解説します。

持続伸長(ストレッチ)

筋の持続伸長(ストレッチ)は、筋の短縮や関節拘縮を予防し、改善するうえでとても重要です。
療法士による徒手的な持続伸長以外に装具を用いて行うこともあります。著しい痙縮がある場合は限界がありますが、不良肢位の矯正には有効であり、機能改善が得られることが多いのです。

装具療法

痙縮による筋力の不均衡のために四肢が不良肢位となり、そのままの状態が続くと拘縮へつながる可能性があります。
装具を活用することで変形矯正、拘縮予防、持続的なストレッチによる痙縮抑制が期待できる他、動作能力の向上も期待できます。

FES(機能的電気刺激)

麻痺した手足の筋肉に、コンピューター制御された電気刺激を与えて、麻痺筋を収縮させることで、痙縮を改善し、随意運動の機能を向上させ、ADL動作(日常生活動作)を再建することが可能といわれています。

振動刺激

脳梗塞後の筋肉の強ばりを和らげる方法の1つに振動刺激があります。
痙縮抑制効果があり、伸張反射や腱反射といった筋緊張を制御する脊髄反射が抑制されるなど、神経回路に作用するという機序が多く聞かれます。
痙縮筋に振動刺激を与えて強ばりを和らげることで、その後のストレッチが行いやすくなり、日常生活動作も行いやすくなります。

姿勢の修正

上に挙げてきた治療法ももちろん大事なのですが、座位や立位の姿勢を修正することもとても重要なポイントです。
脳梗塞で片麻痺になると、姿勢がまっすぐ保持できず、左右に偏ってしまうことがあります。
すると、バランスをとろうと身体が力んでしまい、痙縮している筋の緊張がより高まってしまうことがあるのです。
両足をしっかり床に着ける。体幹の傾きをまっすぐに修正するなど、姿勢を修正して、過度な緊張の高まりを防げるように療法士と一緒にリハビリに取り組みましょう。

まとめ

脳梗塞後の痙縮は、自分の意思とは関係なく手足がつっぱったり曲がったりしてしまいます。
その状態が長期間続くと、関節そのものが硬くなる拘縮につながる危険性もあります。
リハビリにより痙縮を和らげることで、日常生活を行いやすくしていくことができますが、脳梗塞後遺症そのものの根治は困難です。
そこで、障害された神経を治療する方法として注目を集めているのが再生医療です。
再生医療は「自分自身の治そうとする力(自己治癒力)」を最大限に引き出す方法です。
専門的なリハビリを同時に行うことで(神経再生医療×同時リハビリ™)、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高め相乗効果を期待することが出来ます。
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よくあるご質問

脳梗塞になると痙縮するのはなぜですか?
脳梗塞になると、錐体路が障害されます。
錐体路とは運動を支配する神経の主要経路のことです。
この部位が障害を受けると、常に筋肉が過剰に収縮した状態(緊張した状態)になってしまうことがあり、これを「痙縮」と呼びます。

痙縮と拘縮の違いは何ですか?
痙縮は筋肉の緊張が高まった状態が継続的に続き、上肢や下肢が強く曲がったり、つっぱってしまう状態のことをいいます。
拘縮は関節が痙縮や筋力低下が原因で長期間動かせない状態になることで、関節そのものが硬くなって動かなくなることをいいます。

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<参照元>
・日本リハビリテーション医学会:_pdf :https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/45/9/45_9_591/_pdf
・脳神経外科(痙縮治療) | 独立行政法人 国立病院機構 埼玉病院 :https://saitama.hosp.go.jp/service/neurosurgery_spasticity_treatment.html
・日本ケアサプライ:【疾病】関節拘縮の基礎知識 | 日本ケアサプライ:https://www.caresupply.co.jp/media/media211028




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