・脊柱管狭窄症の症状を悪化させる動作
・長時間の立位や座位が腰部に与える影響
・日常生活動作で行ってはいけない動作と修正点
脊柱管狭窄症では脊柱管と呼ばれる神経の通り道が狭くなってしまうことで症状が悪化します。
脊柱管は体幹の動きによって狭くなったり、広くなったりするため、姿勢によっては脊柱管狭窄症の症状を悪化させてしまう恐れがあります。
この記事では、脊柱管狭窄症の方がしてはいけない動作や日常生活動作の改善策などを解説します。
症状を悪化させる可能性がある動作とは?
脊柱管狭窄症とは脊柱管や椎間孔が狭くなってしまうことで、神経組織の障害や血流の障害が起こる疾患と言われています。
脊柱管は背骨(脊椎)の中を通っている脊髄の通り道であり、脊柱管狭窄症ではこの脊柱管が圧迫されることでしびれや痛み、運動麻痺などの症状が出現します。
(参照サイト:腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン2021)
また、脊柱管は脊椎の姿勢によって狭まったり、広がったりすることが知られています。
脊柱管は体幹を後ろに反らした時に狭まり、逆に前に倒した際に広がります。
そのため、脊柱管狭窄症の方がしてはいけない動作は体を大きく後ろに反らすような動作になります。
他にも無理に腰をひねったり、横にねじったりするような動作は脊柱管を圧迫してしまうため、脊柱管狭窄症の方は避けた方が良いとされています。
腰に負担がかかるような動作を行ってしまうと症状が悪化することがあるため注意をする必要があります。
具体的な動作は後ほど紹介します。
長時間の座位や立位が及ぼす負担について
脊柱管狭窄症の方がしてはいけない動作の一つに長時間の座位や立位があります。
長時間、同じ姿勢を取り続けることで腰には大きな負担がかかります。
特にお尻をずらして骨盤が後ろに傾いた姿勢やパソコン作業を行う際に背中を丸めた姿勢などは腰へ負担がかかりやすく注意が必要です。
これらの姿勢は脊椎の横にある脊柱起立筋が引き伸ばされた状態になり、腰痛の原因になります。
また、作業を行う際に腰を反った状態で行うと脊柱管が圧迫されやすい姿勢になります。
この状態が長時間続くと神経や血管が圧迫され、脊柱管狭窄症の症状を悪化させてしまうことがあります。
座位だけでなく、同じ立位姿勢を長時間取り続けることも脊柱管狭窄症の悪化原因となります。
立位姿勢の中でも腰を反らした状態でお腹を前に突き出したような姿勢は、脊柱管を圧迫するため、脊柱管狭窄症の方がしてはいけない姿勢です。
脊柱管狭窄症の方は体幹を前傾すると脊柱管の圧迫が取れるため、少し体を前傾させている姿勢で立位の保持をする方が多いことが知られています。
(参照サイト:腰痛疾患に対するリハビリテーション|J STAGE)
しかし、この姿勢も脊柱起立筋に対して強い負荷がかかる姿勢のため、長時間取り続けてしまうと腰痛の原因になることがあり注意が必要です。
さらに体幹が前傾している状態で歩行を行うと、股関節や膝関節を曲げた状態で歩く必要があるため、これらの関節の摩耗の原因になることもあります。
脊柱管狭窄症では長時間同一の姿勢をとることで症状を悪化させたり、腰痛などの他の問題が出現する可能性があるため、注意が必要です。
日常生活で避けるべき姿勢と動作の具体例
日常生活動作では脊柱管狭窄症を悪化させてしまう何気ない動作が多数あります。
特に注意が必要な動作は起き上がり、重いものを運搬する際、床のものを拾い上げる場面などです。
起き上がりの際に真っ直ぐ腰を起こすように起き上がると過度に腰椎を伸展し、症状を悪化させてしまう可能性があります。
負担を少なく起き上がるためには、仰向けの状態のままではなく横向きになり、肘に体重を乗せながら起き上がる方法がおすすめです。
この方法であれば腰椎に無理な伸展や捻り動作を加えることなく起き上がることができます。
重いものを運搬する際に、身体から少し離れた位置で持ったり、リュックの中に重いものを入れて運搬することは脊柱管狭窄症の方がしてはいけない動作になります。
この動作では、背筋に無理な力が加わり腰痛の原因になるだけでなく、リュックが重いと腰椎を過度に引っ張り過伸展してしまう恐れがあります。
そのため、できるだけ重い荷物は運搬しないことが望ましいですが、運搬する際はできるだけ身体の近くで持つことやリュックではなく手提げのバッグを使用することが望ましいです。
床のものを拾い上げる場面では、膝を伸ばしたまま腰を屈めて拾ってしまう方は多数います。
しかし、腰を屈める動作を行うと腰部の脊柱起立筋に強い負荷がかかり、腰痛の原因になることがあります。
床のものを拾う際は膝を曲げ、腰を屈めないように拾うようにしましょう。
まとめ
この記事では脊柱管狭窄症でしてはいけない事と日常生活の注意点について解説しました。
脊柱管狭窄症では腰を過度に反らしたり、捻る、横に倒すなどの動作を行ってしまうと症状を悪化させる恐れがあります。
長時間座位や立位などで同一の姿勢をとってしまうと症状を悪化させる恐れがあるだけでなく、腰痛の原因になってしまうこともあります。
日常生活で行う何気ない動作でも脊柱管狭窄症の症状を悪化させてしまうこともあり注意が必要です。
脊柱管狭窄症で神経を損傷してしまった後の脊髄の治療は確立されていませんが、再生医療にはその可能性があります。
今後、神経再生医療×リハビリテーションの治療の研究は進んでいきます。
私たちのグループは神経障害は治るを当たり前にする取り組みを『ニューロテック®』と定義しました。
当院では、リハビリテーションによる同時刺激×神経再生医療を行う『リニューロ®』という狙った脳・脊髄の治る力を高める治療を行なっていますので、ご興味のある方はぜひ一度ご連絡をお願いします。
よくあるご質問
- 脊柱管狭窄症の人は何をしてはいけないですか?
- 脊柱管狭窄症の人が最もしてはいけない動作は腰を大きく反らす動作です。
腰を大きく反らすことで脊柱管が狭くなり、症状が悪化してしまう可能性があります。
また、腰を捻るような動作もしてはいけません。 - 脊柱管狭窄症の人は歩いたほうがいいですか?
- 脊柱管狭窄症の方が運動を行うことで症状や身体機能の改善を認めることが報告されており、運動として取り組みやすい歩行は推奨されます。
しかし、歩行を行う中で間欠性跛行と呼ばれる症状を認めた場合は運動を中止し休憩を取るようにして下さい。
<参照元>
・(1)腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン2021:https://minds.jcqhc.or.jp/
・(2)腰痛疾患に対するリハビリテーション|J STAGE:https://www.jstage.jst.go.jp/article/spinalsurg/31/1/31_12/_pdf/-char/ja
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