・神経疾患になぜリハビリが必要なのか?
・脱髄性疾患に特化したリハビリテーション
・脱髄性疾患は治るのか?予後と生活の質
今回は脱髄性疾患の後遺症に合ったリハビリテーションとはについて解説します。
脱髄性疾患とは、神経を覆っている髄鞘が損傷または破壊される疾患です。
個々の患者によって症状や病態が異なるため、個人の状態に合わせたリハビリテーションが必要です。
そのため、理学療法、作業療法、心理的支援などを組み合わせた多面的アプローチが必要です。
神経疾患になぜリハビリが必要なのか?
この記事では神経疾患になぜリハビリが必要なのか?について解説します。
神経疾患は、脳や脊髄、末梢神経など、神経系に障害が起こる病気の総称です。
そのため、運動、感覚、認知など広範に影響を与えます。
リハビリテーションは、障害された神経の機能を回復させて、生活の質を向上させます。
具体的には、運動、感覚、認知などの機能回復を目指し、以下の方法があります。
まず、運動機能の回復です。
神経疾患により筋力低下や麻痺、協調運動の障害が生じると、日常生活の動作が困難になります。
理学療法を通じて筋力を鍛え、バランスや歩行を改善させます。
筋力トレーニングや関節可動域の拡大を目指すエクササイズも改善に寄与します。
次に、感覚機能の改善です。
疼痛を伴うことも多いため、理学療法や作業療法によって感覚の回復を目指します。
さらに、認知機能回復も重要です。
多くの神経疾患は、記憶、集中力、判断力などの認知機能に影響を与えることが多々あります。
そのため、認知リハビリテーションにより、これらの機能を刺激し、脳の適応能力を促進します。
加えて、心理的ストレスに対処する心理療法を行うことで、治療への積極的な取り組みを促します。
脱髄性疾患に特化したリハビリテーション
この記事では脱髄性疾患に特化したリハビリテーションについて解説します。
脱髄性疾患は、筋力低下、しびれ、麻痺、運動障害、感覚障害、認知機能障害などさまざまな症状を起こすのが特徴です。
したがって、リハビリテーションは多方面からのアプローチが必要です。
まずは、運動機能の改善が中心となります。
筋力低下や協調運動障害に対して、理学療法が用いられます。
具体的には、筋力トレーニングや関節の可動域を広げるエクササイズは、筋肉の萎縮を防ぎ、動作のスムーズさを回復するのに効果的です。
また、バランス訓練や歩行訓練は、転倒のリスクを減少させ、日常生活の質を高めることにつながります。
感覚障害にも対処が必要です。
髄により感覚が鈍くなったり、異常を感じたりする場合、作業療法によるリハビリテーションを行います。
これにより、感覚機能の改善に加え、神経適応性の向上にもつながります。
その他、しばしば、記憶力、集中力、計画能力などの認知機能の障害が起こるため、認知リハビリテーションが求められます。
具体的には、パズルや記憶力を高めるゲーム、集中力を養うタスクなどを行うことにより、、脳の働きが改善した成功例が報告されています。
脱髄性疾患は治るのか?予後と生活の質
この記事では脱髄性疾患は治るのか?予後と生活の質について解説します。
脱髄性疾患は、神経を覆う髄鞘が損傷または破壊される疾患の総称です。
代表的な疾患として、多発性硬化症、慢性炎症性脱髄性多発神経炎があります。
原因や病状の進行状態にもよりますが、一般的に完治が難しい疾患です。
しかしながら、適切な治療と管理により、症状のコントロールや生活の質の向上は可能です。
疾患ごとの特徴です。
多発性硬化症は、再発と寛解を繰り返す進行性の疾患ですが、早期に診断され、適切な治療を行うと、進行を遅らせることが可能です。
治療として、免疫抑制薬やステロイドが用いられます。
一方、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチーは、より緩やかに進行し、治療に対する反応も良好な場合が多いです。
治療では、ステロイド、免疫グロブリン療法、血液浄化療法が有効です。
いずれの疾患も、院内および日常生活におけるリハビリテーションにより生活の質の改善が望めます。
リハビリテーションは、運動機能の維持・回復だけでなく、自立性を高めます。
また、家族やコミュニティの支援によって、社会参加を促すことで生活の質を高めることができます。
まとめ
今回の記事では、脱髄性疾患の後遺症に合ったリハビリテーションとはについて解説しました。
脱髄性疾患は神経が損傷することによりさまざまな神経障害を起こすことが特徴です。
完治が難しい疾患でもあります。
しかしながら、損傷した神経を再生することが可能となれば、症状は改善します。
そのため、損傷した神経を蘇させる再生医療は期待が持てます。
脳や脊髄の損傷に対して、「ニューロテック®」と呼ばれる「神経障害が治ることを当たり前にする取り組み」も盛んです。
脳梗塞・脊髄損傷クリニックでは、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しております。
さらに、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「神経再生医療×同時リハビリ™」があります。
これらの治療法は、脱髄性疾患の後遺症に苦しむ患者さんに対して期待が持てる治療となります。
よくあるご質問
- 脱髄の治療法は?
- 脱髄疾患は、免疫系の異常が関与することが多いため、ステロイドや免疫抑制剤が使用されます。
急性期では、血漿交換や免疫グロブリン療法が効果的です。
症状の管理には、リハビリテーションと薬物療法を組み合わせ、症状の進展を遅らせることを目指します。 - CIDPとMSの違いは何ですか?
- CIDP(慢性炎症性脱髄性多発神経炎)とMS(多発性硬化症)は、どちらも脱髄性疾患です。
でも、障害される神経部位が異なります。
CIDPは末梢神経が病変部位のため、主に手足の筋力低下や感覚障害を起こします。
一方、MSは中枢神経が病変部位のため、運動、視覚、バランス感覚、認知機能に関する障害が起こります。
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<参照元>
・MSDマニュアル:https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/07
・難病情報センター:https://www.nanbyou.or.jp/entry/4089
・日本赤十字医療センター:https://www.med.jrc.or.jp/tabid/798/Default.aspx
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