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頚椎症性脊髄症の治療後のリハビリとその重要性

 この記事を読んでわかること
・頚椎症性脊髄症の概要
・頚椎症性脊髄症のリハビリの必要性


頚椎症性脊髄症は、首の頚椎が変形または損傷し、その結果、脊髄が圧迫される状態を指します。
この圧迫は、脊髄や神経根に影響を与え、さまざまな症状を引き起こすことがあり,しびれや痛み、運動障害などの症状が出る病気です。
診断は、症状の評価、身体検査、画像診断(MRIやCTスキャンなど)によって行われ、治療方法には、物理療法、薬物療法、場合によっては手術が含まれます。

頚椎症性脊髄症とは

椎間関節
脊髄は脳から延長した神経の束であり、中枢神経の一部です。
脊椎(頚椎、胸椎、腰椎、仙椎、尾椎に分けられます)の中の脊柱管を通って、全身へと繋がる末梢神経へ連絡します。
頚椎症性神経根症は、頚椎の脊柱管が加齢性変化により脊髄圧迫された状態で、不安定性や外傷が加わって脊髄麻痺を発症してしまう疾患の総称です。
50歳以降で男性に多い疾患と報告されています。

頚椎症性脊髄症の症状

頚椎症性脊髄症の主な症状
主な症状は以下の通りです。

  • 四肢のしびれ:損傷されたレベルより下の範囲で障害が出ます。しびれを「ビリビリ」などの痛みとして感じることもあります。
  • 運動麻痺・歩行障害:頚髄は上肢の筋肉を支配していますので、頚髄損傷では上肢の運動麻痺が出現します。また、頚髄を損傷すると、損傷を受けたレベルより下の範囲で障害が出るので、頚髄損傷では自ずと下肢の運動麻痺も出ます(一部の脊髄損傷では出ないこともあります)。
  • 手指の巧緻運動障害:中心性頚髄損傷だと歩行はできたとしても、上肢、特に手を用いた細かい動作がしにくくなることがあります。
  • 膀胱直腸障害:排尿・排便は仙髄レベルでの支配を受けているので、それより上位の頚髄損傷では排尿や排便に障害が出ることがあります。
    重症例や症状が進行する症例では手術が推奨されています。
    軽症については保存療法が摂られることもありますが、症状が進行してしまった際には予後不良になること、そもそも軽症の判断基準が明確でないことから注意深い観察を要し、時に手術を行う場合もあります。

頚椎症性脊髄症のリハビリの内容と効果

頚椎症性脊髄症は手術療法を行ったからといって、必ずしも症状の全てが消失するわけではありません
術後も上記のような症状が残ることがあり、その中で自宅生活や社会復帰を目指すためにはリハビリテーションが必要になります。
頚椎症性脊髄症は障害を受けたレベルや症状の種類や程度の個人差が小さくありません。
よって、明確に「これをすれば、これだけ良くなり、確実にこれができるようになる」といったものは少なく、個人に応じて目標とリハビリテーションプログラムを立てることが重要となります。

  • 運動療法:他動的、自動的な運動や徒手療法だけでなく、トレッドミルでの立位、機能的電気刺激を併用することで効果が得られます。
    報告ではFIM(Functional Independence Measur:日常生活動作がどの程度自身でできるかの指標)が39-51%も改善するという報告もあります。
  • 歩行訓練:不全麻痺で歩行できる、もしくはできそうな方では歩行機能改善に向けた訓練が有効です。
    より高強度(最大心拍数の70-85%程度)のトレーニングが高い効果があると言われていますが、高齢者や高血圧などの基礎疾患がある方も多いので、強度については専門家の助言がある方がよいでしょう。
  • 痙縮の治療:運動療法や経頭蓋磁気刺激療法(Transcranial Magnetic Stimulation)などで痙縮を落とすことは生活の質を保つことに有効とされています。経口筋弛緩薬やボツリヌス療法も選択肢の一つです。
  • 神経刺激療法:経頭蓋直流刺激(transcranial Direct Current Stimulation:tDCS)や反復経頭蓋磁気刺激療法(repetitive Transcranial Magnetic Stimulation:rTMS)は確実性の高いエビデンスはないものの、治療法としての可能性を期待されています。

まとめ

頸椎症性脊髄症などの中枢神経系の疾患は重篤な後遺症がありつつも、これまでは一度損傷すると回復は難しいとされていました。
どれだけ悩んだとしても対症療法や地道なリハビリテーションをするしかなかったのです。
近年では再生医療による神経再生に期待が寄せられています。
再生医療とは間葉系幹細胞やiPS細胞などを用いて、損傷された臓器・細胞を修復させようとする治療法です。
頸椎症性脊髄症に絞った研究は多くありませんが、脊髄損傷全体で見ると間葉系幹細胞を用いた再生医療が多く研究されています。
当院では脊髄損傷の後遺症に対し、ニューロテック®という骨髄由来間葉系幹細胞を用いた再生医療を行っています。
更に独自のリハビリプログラムを用いた神経再生医療×同時リハビリ™でより期待に応えられるような工夫をしています。
今後も研究が行われ、後遺症に悩む方が少しでも減る世の中を期待したいものです。

よくあるご質問

頸椎症のリハビリ期間はどれくらいですか?
頚椎症性神経根症では保存療法で、85%以上が8-12週で症状軽快が得られるのでその期間のリハビリが望ましいでしょう。頚椎症性脊髄症では重症例、進行例では手術をしても後遺症がある場合があり、長期間のリハビリが必要になります。

頚椎症は完治しますか?
頚椎症性神経根症では保存療法で、85%以上が8-12週で症状軽快が得られると報告されています。頚椎症性脊髄症では重症例、進行例では早期の手術療法が行われますが、後遺症が残る例も多くあります。

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<参照元>
頚椎症性脊髄症診療ガイドライン2020(改訂第3 版) :https://minds.jcqhc.or.jp/docs/gl_pdf/G0001232/4/Cervical_spondylotic_myelopathy.pdf
Developing Peri-Operative Rehabilitation in Degenerative Cervical Myelopathy [AO Spine RECODE-DCM Research Priority Number 6]: An Unexplored Opportunity?: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8859699/




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