・長時間のデスクワークがおよぼす影響について
・脊柱管狭窄症における趣味や仕事のリスクについて
・趣味や仕事の選び方のポイント
脊柱管狭窄症は背骨を通る神経が圧迫されることで腰や足のしびれや痛みが出現し、歩行が困難となる場合があります。
背骨に負担のかかるような姿勢や動きにより症状が悪化していくことがあり、普段の仕事や趣味において注意が必要となります。
この記事では脊柱管狭窄症の症状における仕事や趣味の影響について詳しく説明します。
目次
長時間のデスクワークが引き起こす問題点
脊柱管狭窄症は加齢や姿勢不良、過度な負荷によって脊髄や脊髄から出る神経根が圧迫されることで下肢のしびれや痛み、歩行障害などの症状が出現します。
長時間のデスクワークでは脊柱にかかる負担が増大し、症状を悪化させてしまう可能性があるため注意が必要です。
長時間のデスクワークが引き起こす問題点には以下のようなものがあります。
長時間の同一姿勢による脊柱への圧力
長時間のデスクワークによる座位姿勢保持により、脊柱に持続的な圧力が加わり神経や血管を圧迫し、症状を増悪させてしまう可能性があります。
基本的には脊柱狭窄症では脊柱を反らす動きにより脊柱管が狭まり症状が増悪しますが、座っている姿勢は立っている姿勢よりも椎間板にかかる圧力が1.4〜1.8倍大きくなるといわれており、長時間の座位姿勢保持では椎間板が圧迫され脊柱自体の変形を助長することで症状が増悪する危険性があるため注意が必要です。
血行不良による下肢のしびれや痛み
長時間の同一姿勢を続けることで血行不良を引き起こす可能性があります。
神経も血液により栄養供給されているため、血行不良により神経へ十分な栄養が供給されないことで下肢のしびれや痛みが生じることが考えられます。
坐骨神経痛の影響
坐骨神経は腰椎と腰椎の間から出てくる神経がまとまって臀部を通って下肢へ走行する神経です。
そのため、長時間の座位姿勢保持により臀部が持続的に圧迫されることで坐骨神経も圧迫される可能性があります。
特に椅子に深く腰をかけずに浅く座った姿勢を保持しているとより臀部が圧迫されます。
脊柱管からの圧迫と臀部での圧迫により症状がより強く生じる可能性があります。
体に負担をかける趣味や運動のリスク
脊柱管狭窄症において、症状を増悪させないために脊柱管が狭くなり神経が圧迫されるような動きや坐骨神経が圧迫されるような負荷がかからないように気をつけていく必要があります。
例えばジャンプ動作や物を持ち上げるような動作、背骨を大きく捻る動作、同一姿勢を保持し続ける必要のある趣味や運動は避けるようにしましょう。
また、体と体が強く接触するようなコンタクトスポーツなども脊柱に大きな負担がかかります。
症状を考慮した仕事や趣味の選び方のポイント
脊柱への負担を考慮した姿勢や動きがとれる仕事や趣味を選ぶことが症状を増悪させないために重要なことです。
長時間立ちっぱなしであったり座りっぱなしではなく、立ち座りのバランスがとれること、デスクワークでもときどき立つことができたり姿勢を自由に変えたりできること、重たい物を持ち上げたり運んだりすることが頻回にないことなどが選ぶポイントになります。
身体が冷えることで血行が悪くなるため、長時間の外での作業であったり、倉庫など足元から冷えたりするような環境は注意が必要です。
寒い時期の釣りやスキーなども腰から下肢の冷えの原因になります。
また、ヨガやピラティス、ストレッチなど比較的負荷をコントロールできる身体を動かせる趣味を選ぶのも良いでしょう。
軽い運動としてウォーキングも良いですが、脊柱管狭窄症では歩いていると下肢のしびれが強くなり座ったり前傾姿勢で休憩したりすると症状が軽減するという間欠性跛行という症状がみられることがあります。
この場合は杖やシルバーカーを利用することでやや前傾位を保持したまま歩くことが可能で症状が出現しにくくなります。
自転車であれば腰への負担や神経への圧迫も少ない状態で運動できますのでエアロバイクなどを利用するのも良いでしょう。
まとめ
今回は脊柱管狭窄症を抱える人が避けるべき仕事や趣味について解説しました。
長時間のデスクワークや身体に負担がかかるような趣味は症状の増悪につながる可能性があるため注意が必要です。
長時間同じ姿勢を続けないこと、衝撃の少ない運動や趣味を選ぶこと、身体を冷やさないことがポイントです。
また、脊柱管狭窄症の治療には手術と保存療法があります。
多くの場合はまず保存療法が選択され、主にリハビリと薬物療法になります。
保存療法で効果が期待できない場合には手術も選択肢の1つとなります。
手術により下肢のしびれや痛みの改善が期待できますが、必ずしも症状がとりきれるとは限りません。
そして、感染のリスクや術後のリハビリなど手術による負担もかなり大きなものとなります。
そこで、最近ではもう1つの選択肢として再生医療が注目されています。
再生医療は、これまで難しかった損傷した組織や神経自体の修復を促進させることで症状の改善が期待できます。
再生医療とリハビリを組み合わせることで組織の修復と運動機能の改善が同時に得られることで効果を最大限に引き出すことができます。
最近では「ニューロテックⓇ」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んに行われています。
神経の再生を促す再生医療とリハビリを組み合わせた「同時刺激×神経再生医療Ⓡ」によって、今まで難治であった神経障害の改善が期待できます。
再生医療も治療法の選択肢の1つになります。
よくあるご質問
- 脊柱管狭窄症でやってはいけない仕事は?
- 立ち仕事やデスクワークなど同一姿勢が長時間続く仕事、重い物を持ち上げたり運んだりする仕事、背骨を捻るような動きのある仕事は脊柱に負担がかかり症状が増悪してしまう可能性があります。
- 脊柱管狭窄症は難病指定ですか?
- 脊柱管狭窄症のうち腰椎の脊柱管のみが狭くなる腰部脊柱管狭窄症は難病に指定されていません。
頚椎、胸椎、腰椎の広範囲にわたり脊柱管が狭くなる広範脊柱管狭窄症は難病に指定されています。
<参照元>
・腰痛の理学療法|J STAGE:https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/27/8/27_KJ00001308649/_pdf/-char/ja
・運動療法の問題点とその対策:https://mhlw-grants.niph.go.jp/
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