・頸椎椎間板ヘルニアの枕選びのポイント
・日常生活における注意点
頸椎椎間板ヘルニアは不良姿勢が原因となり症状が出現することがあります。
頸部の姿勢を修正するためのストレッチや筋力トレーニングを行ったり、頸部に負担がかからないような枕選びもとても重要です。
また、日常生活で気を付けるポイントもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
頸椎椎間板ヘルニアとは
頸椎椎間板ヘルニアとは、椎骨と椎骨の間にある椎間板の組織が壊れ、脊髄や神経根が急激に圧迫されることによって様々な症状が生じる病気です。
30~50歳代に多く、椎間板の加齢現象が主な原因と考えられていますが、生まれつき椎間板が弱いことが原因の場合もあります。
近年、最も重要な原因と考えられるのが不良姿勢です。
パソコンやスマートフォンなどの使用により、首がクレーンのように前にでているクレーンネックが原因ともいわれています。
頸椎の椎間板は4~5キロもある頭を支えています。
不良姿勢により頭が前に突き出し、頭の重さが頸椎や椎間板に強い負荷を与え、加齢や生まれつきの椎間板の弱さが影響して頸椎椎間板ヘルニアを引き起こすのです。
頸椎椎間板ヘルニアの主症状は「しびれ」です。
最初は首の寝違えのような鈍痛・違和感が認められ、これに引き続き腕や手指の痺れ・痛みが出現します。
他に、腕や手の脱力が生じることもあります。
飛び出した椎間板の内容物が大きく、脊髄を圧迫すると、箸操作やボタンかけなどの巧緻動作(両手を使って行う細かい動作)が困難になったり、歩行障害が生じることもあります。
効果的なストレッチと筋力トレーニング
ストレッチや筋力トレーニングは、バランスの取れた筋活動を取り戻すために有効です。
頸椎椎間板ヘルニアの方は大きな動作で行うトレーニングは負担がかかりやすいため、負担の少ないトレーニングを行いましょう。
胸鎖乳突筋ストレッチ(座位姿勢)
- 右側の胸を両手で抑えて引き下げる
- 左側に顔を向けながら、斜め後方(左後方)に首を倒して10秒キープ
※反対も行い、3セット程度行います。
胸鎖乳突筋が緩むと、前方に倒れていた首が起こしやすくなり、猫背姿勢を予防します。
大胸筋ストレッチ(座位姿勢)
- 右手で左脇をつかみ、左肩を前後各10回程度回す。
※脇の硬いところ(大胸筋)をつまんで行います。
※反対側も行いましょう。
腕の痛みやしびれの症状の軽減に効果的で、巻き肩と猫背姿勢を予防できます。
僧帽筋下部の筋力トレーニング(座位姿勢)
- 背筋を伸ばして脇をしめる。
- 両肘を90度に曲げて肩甲骨を寄せるように、肘を後方に引き、10秒キープ。
背筋が伸びやすくなり、首や肩の負担が減り、症状がやわらぎます。
長時間のパソコン作業やデスクワークなどで姿勢が悪くなると、僧帽筋の筋力低下が起こり、不良姿勢になってしまいます。
僧帽筋の筋力を鍛えて、適切な姿勢を保てるようにしましょう。
頚部周囲筋の筋力トレーニング(座位姿勢)
- 背筋を伸ばし、右手を右のこめかみにあて、押し合いをする。首が曲がらないようにまっすぐ保った状態で10回。左も行う。
- おでこに手を当て押し合い、後頭部に手をあて押し合いそれぞれ10回行う。
頸部周囲の筋力向上、筋緊張改善、重怠さや疼痛の改善が期待できます。
ヘルニアのための適切な枕の選び方
頸椎椎間板ヘルニアは、自分に合った枕を使ったからといって治るということはありません。
しかし、症状を悪化させないためには頭を支えて首の負担を軽減する枕選びはとても重要といえます。
枕選びは以下の3つがポイントです。
枕の高さ
頸椎椎間板ヘルニアによる神経の圧迫は、頸部を曲げることで多少緩和されるため、肩から頭にかけての角度が10∼15度の傾斜になる高さがお勧めです。
また、顎を少し引いた姿勢になっていると、首をリラックスさせられます。
枕と首がぴったりフィットしていると首の負担を減らせるので選ぶ際の参考にしてください。
枕の硬さ
枕の高さが合っていても、枕が硬すぎたり柔らかすぎると寝ている時の姿勢が保てず、首を痛めたり肩こりを起こす可能性があります。
枕が柔らかすぎると、頭が枕に沈み込んで後頭部が圧迫される原因となります。
枕が硬すぎると、首のカーブが枕に合わず、枕と頸の間に隙間ができ、首や肩に負担がかかって肩こりの原因になるので注意しましょう。
枕の幅の広さ
寝返りの際に頭が枕から外れると、首を痛める原因になります。
症状が悪化する可能性もあるため、寝返りをうっても枕から頭が外れないようにしましょう。
枕の幅が頭3つ分位あると、左右に寝返りをうっても枕から頭が外れません。
ヘルニア患者が避けるべき行動や習慣
頸椎椎間板ヘルニアの症状が悪化しないように、日常生活で気を付けられることはあるでしょうか。
以下に、避けるべき行動や習慣をご紹介します。
下を向く姿勢、または上を向く姿勢を長時間続けない
下を向く姿勢、上を向く姿勢での作業が長時間続くと、必然的に首に負担がかかります。
特に、頸椎椎間板ヘルニアの方は症状の悪化につながりかねないので、30分に一度程度は休憩を入れるようにしましょう。
日常生活では勉強、読書、スマホ、パソコン操作、テレビを見る際に注意しましょう。
首に衝撃が加わるスポーツ
首に大きな衝撃がかかるスポーツは、椎間板ヘルニアの症状を悪化させる要因となります。
(ラグビー、柔道、スキー、アメフトなど)
頸部の症状が見られる方は、頸部に衝撃がかかるスポーツは控えるようにしましょう。
まとめ
頸椎椎間板ヘルニアは脊髄や神経根が圧迫されて起こる神経症状によって、痺れや痛みに悩むことの多い病気です。
頸部の姿勢を修正して、頸部症状がやわらぐよう、日常生活で取り入れられるトレーニングや環境の配慮を紹介してきました。
症状を悪化させないように、是非参考にしてください。
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よくあるご質問
- 頚椎間板ヘルニアの症状は?
- 首や肩甲骨や腕の痺れ・痛みが代表的な症状です。
症状が重篤化すると、手指の細かな動作が困難になったり、歩行障害が出現したりします。 - 頚椎ヘルニアがひどくなるとどうなる?
- 薬の内服や保存療法で改善が十分見られない場合、筋力低下や巧緻動作障害、歩行障害が見られる場合は、手術治療を検討します。
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<参照元>・日本脊髄外科学会:
http://www.neurospine.jp/original24.html
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