・リハビリを継続することで得られる効果
・ご夫婦で協力してリハビリをすることの重要性
・夫婦生活を円満にするために、協力体制を見直すポイント
脳梗塞後遺症により麻痺が残ると日常生活で不便なことが増え、様々な場面でご家族の支えが必要になることが多いでしょう。
この記事では、日常生活や自主リハビリ場面でどのように支えればいいのか、住環境をどう整えたらいいのか、夫婦生活の負担を軽減する外部のサポート体制などを解説します。
目次
脳梗塞後の夫婦生活を支えるリハビリとサポートの重要性
脳梗塞を発症すると何かしらの後遺症が残る場合が多く、自宅に退院後の生活に不便が生じることもあるでしょう。
運動麻痺や高次脳機能障害などの後遺症がある場合、継続的なリハビリが改善の鍵です。
日常生活はもちろんリハビリ場面など、様々な場面でご家族の支えは必要不可欠です。
この記事では、脳梗塞後の夫婦生活を支えるためのポイントを解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
身体機能の回復が夫婦生活を変える!リハビリでできること
脳梗塞は発症から6カ月を過ぎると回復が緩やかになるとされています。
しかし、近年の研究によると、中枢神経系には大きな可塑性があることが示されており、継続的なリハビリは後遺症の軽減につながる可能性があります。
体を動かすことは心身の健康維持に効果的!
リハビリでできることは、まず廃用症候群を予防することです。
麻痺などで体が動かしづらくなると、自然と日常生活での運動量が低下します。
すると筋力低下が起こり、体力が落ちてしまいます。
体力が落ち疲れやすさを感じやすくなると、さらに動くことが億劫になる…と負のループに入ってしまうのです。
さらに、体を動かさなくなると関節も固くなります。
そのため、上肢の麻痺であれば、両手を組んで腕を頭上まで上げたり、前方へ曲げ伸ばしたりして肩や肘の関節を動かす運動がおすすめです。
肩甲骨を上げ下げしたり、背骨に引きつけたりする動きは肩関節周りの緊張を緩和し、肩こりの予防にもつながるでしょう。
下肢の麻痺であれば、座って腿上げをしたり、膝伸ばしをしたり、つま先やかかと上げをすると良いでしょう。
体を動かすことは精神面でのリフレッシュにもつながり、ほどよい疲労感を得ることで睡眠の質も向上させる効果が期待できます。
継続的なリハビリは身体機能の維持につながる、そして家族の支えが大切
回復期病院を退院すると、それまでのような手厚いリハビリが受けられなくなります。
するとこれまでできていた運動が行いづらくなり、退院前に教えてもらっていた自主トレもする機会が減ってくる…ということは珍しくありません。
そんな時にご夫婦で協力し合ってリハビリをすることが大切です。
麻痺側肢を動かす際には、代償動作が入らず正しい動きを意識できるよう、ご家族にサポートしてもらうのもいいかもしれません。
歩行練習などでは、ご家族と一緒に歩くことでやる気にもつながります。
一人で黙々と自主リハビリをし続けることは難しくても、ご家族と一緒に麻痺側肢を動かしたり、一緒に歩いたりすることで、継続するハードルが下がるのです。
麻痺の程度によって改善の程度に差は生じますが、リハビリによって症状の改善につながることはあります。
さらに、脳梗塞の後遺症で生じるのは運動機能だけではありません。
失語症や注意障害、失認などの高次脳機能障害などでは、日常生活におけるご家族のサポートが欠かせません。
ご本人の症状に合わせて、住環境を整えたり、ご家族の関わり方を工夫することで、後遺症の改善が期待でき、生活のしやすくなりQOL(生活の質)が高まるのです。
リハビリを通じて身体機能を回復し、夫婦生活を再構築する
回復期病院からの退院後、これまで通りの生活といかないことも多いでしょう。
夫婦生活を円滑にするためには、一つ目に後遺症に合わせて暮らしやすい住環境を整えること、二つ目に継続的なリハビリで身体機能を回復することが重要でしょう。
住環境を整える際には、手すりの取り付けや段差の解消などの住宅改修も方法の一つですが、自室の位置をリビングに近くするなどして、ご家族にすぐに助けを求められるようにすることも大切です。
脳梗塞により麻痺や感覚障害などが生じると、今まで難なくできていたことが難しい動作に変わってしまいます。
起居や歩行動作など、これまでのようにできると思って挑戦したことが、思いがけず失敗してしまい転落や転倒といった怪我につながってしまうこともあるのです。
ちょっとした時にでもご夫婦でアイコンタクトを取り合い、声を掛け合うことで、思いもよらない事故を防ぎ、支え合うことで絆がより深まっていくことでしょう。
また、起居や歩行、食事やトイレ動作などの日常生活動作は、その動きをすること自体がリハビリの一環になります。
麻痺を考慮して動作をすることで、動き方のコツをつかんでくるのはもちろん、介助の回数をこなすことで介助者側もどのようにサポートすればよいのか、ポイントをつかめてくるでしょう。
さらに、一日の過ごし方がある程度固定化されるようになれば、自主リハビリの時間を組み込みやすくなります。
例えば、朝起きた後に座ってラジオ体操をする、朝食後に麻痺側上肢を動かす時間を設ける(後片付けがてらタオルサンディングを入れるなど)、午後にはリハビリがてらご夫婦で歩いて近所のスーパーへ買い出しに出かけるなど、無理のない簡単なリハビリを取り入れるようにするといいでしょう。
そのほか、指先のリハビリでは指折りをするなどの体操も効果的ですが、新聞を読んだり、日記を書いたり、洗濯物を干すなどの安全にできる家事をご夫婦でしてみたりと日常で取り入れることも可能です。
このリハビリは麻痺の改善はもちろん、高次脳機能障害の改善にもつながります。
後遺症を踏まえた生活スタイルを構築することが、慢性期のリハビリのコツです。
夫婦間でのサポート体制の見直しと協力の重要性
後遺症の改善のためには、ご夫婦で協力することが大切だと分かっていただけたと思います。
しかし、時には外部機関の手を借りたくなることもあるでしょう。
そんな時のために、サポート体制を見直しておくことが大切です。
定期的なリハビリを受けたい場合は、デイケアを利用するほか、自費リハビリも方法の一つです。
ご夫婦だけでの介護が大変な場合はホームヘルパーが訪問し入浴などの身体介護を実施する「居宅介護」を利用するといいでしょう。
介護保険の認定を受けておらず、PTやOT、STのほか医師などの専門職に介護にまつわる相談をしたい方には、自宅に訪問して相談に乗る「訪問指導」があります。
「訪問指導」は定期的にリハビリを受けられるサービスではないので、ご注意ください。
そのほかにも、ご家族がご病気で介護できない時やどうしても外出しないといけない時など、ご自宅にお一人にするのが心配な時には、一時的に施設入所できる「ショートステイ」もあります。
このように、ご夫婦での生活を円滑に進めるためには、様々なサービスを活用していくことが大切です。
もちろん、ご夫婦で協力し合って生活することは大前提ですが、双方に負担がかからないようにするために、活用できるサービスがないかを把握し、取り入れてみることをおすすめします。
まとめ
脳梗塞の後遺症の改善のためには、手足を動かすなどの自主リハビリは欠かせません。
しかし、発症から6カ月を過ぎると医療機関での集中的なリハビリは受けられず、自主リハビリでは期待したほどの改善は難しいという方も多いでしょう。
しかし、近年の再生医療の発達により、慢性期でも後遺症の改善が期待できるようになってきています。
ニューロテック、脳梗塞脊髄損傷クリニックでは、脳卒中・脊髄損傷を専門に、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』と神経再生リハビリ®を提供しております。
神経再生リハビリ®は、磁気刺激や電気刺激を入力し、神経回路を興奮させた状態で反復訓練を実施することで、特定の神経回路の強化や再構築を図れ、麻痺の改善につながります。
脳梗塞発症から時間が経ってしまい、麻痺などの後遺症が残ってしまったけれど、もっと改善したいという方はぜひ一度再生医療を検討してみてはいかがでしょうか。
よくあるご質問
- 脳梗塞のリハビリの重要性は?
- 痺側肢を積極的に動かさないと関節拘縮や筋力低下が進みやすく、身体がより動かしづらくなったり、痛みや不快感が生じたりと、身体機能の低下が進んでしまいます。
そのため、回復期を過ぎた後でも、自分でできる運動を無理のない範囲で定期的に取り入れることが大切です。 - 脳梗塞の理学療法の目的は何ですか?
- 麻痺側肢については、麻痺の改善はもちろん、筋力強化を図るなど廃用症候群を予防することが大切です。
それに加え、立位や歩行訓練、階段昇降やトイレ動作などのADL訓練を実施し基本的な日常生活動作の改善を目指します。
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<参照元>
・特定非営利活動法人 ドリーム「脳卒中障害者と家族のための初めの一歩ガイドブック~社会参加を支援するサービス・施策・支援機関~」:https://npo-dream.org/books/guidebook/
・公益社団法人 日本卒中協会「脳卒中で入院した方・ご家族にお伝えしたいこと」:https://www.jsa-web.org/patient/5181.html
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