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失読症と言語障害を持つ患者の日常生活の工夫

この記事を読んでわかること失語症に対して家族が行えるサポート方法がわかる
失語症のサポートツールがわかる
失語症を支える家族の重要性が理解できる


脳梗塞などの後遺症によって失語症が残ってしまった場合、読み書きや発声などの機能が障害され、日常生活に大きな支障をきたします。
大きく改善する事は稀であり、失語症の症状とは本人や家族が一緒にうまく向き合っていく必要があります。
そこでこの記事では、失語症に対して日常的に行えるサポート方法や、サポートツールを紹介します。

日常生活での読み書き能力のサポート

日常生活での読み書き能力のサポート
脳卒中などによる後遺症の1つに、失語症があります。
右利きの人の場合、多くは左大脳半球に言語中枢があり(左利きなら右大脳半球であることが多い)、これがなんらかの病気で障害されることで生じる症状です。
読む・話す・聞く・書くなどの言語に関する基本的な能力が障害され、口や発声に関わる筋肉に麻痺がなくてもうまく話せなくなるため、他者とのコミュニケーションに支障をきたします。
失語症の方はコミュニケーション能力に障害がありますが、健常な人と同じように大人としての自覚や判断力を持っています。
そのため、相手の話にしっかり耳を傾け、ゆっくり話す、要点を文字で伝えるなど、相手に伝わりやすい方法を意識してコミュニケーションをとる様に、心がけましょう。
具体的には、下記のようにコミュニケーションを取りましょう。

  • 会話は簡潔に、短い言葉で内容を伝える
  • 漢字よりも仮名を使う
  • 身振りも踏まえて効果的に視覚に訴える

また、自宅でも簡単にできる日常生活での読み書き能力のサポート方法は下記の2つです。

  • 刺激促進法&遮断除去法
  • CIAT

刺激促進法&遮断除去法

刺激促進法とは、わかりやすく言えば反復練習です。
例えば、うまく文字を書けない場合は使い慣れているであろう、自分の名前や住所を読み書きさせて、言語能力の回復を促します。
具体的には、下記のようなサポートです。

  • 本人の名前や住所を聴かせて促す。
  • 最初の一文字もしくは、1画だけ書いて、続きをかけるように促す。
  • それでもダメなら目の前で書いて、本人に真似て書くように促す(模写)

また、刺激促進法の進化版と言えるのが遮断除去法です。
遮断除去法では、比較的良好に保たれている言語能力でまずは反復刺激し、そこからより低下した言語能力での反復刺激に移行する手法であり、この方法の方がより効果的であることがWeiglらによって報告されています。
例えば、書く能力が低下している場合、最初からいきなり名前を書かせるのではなく、まずは名前を反復して読ませ、その後、書かせることでより良い効果が得られるというものです。

CIAT

CIATとは、constraint‒induced therapyの略で、片側上肢の麻痺患者において、健側の上肢の使用を制限して麻痺側上肢を強制的に使用させるリハビリテーションの技法のことです。
この技法は失語症においても代用でき、可能な限り指差しやジェスチャーでの表現を控えさせ、最大限口頭での言語の表出を求めることを集中的に行います。
家族もそれに協力することで、より効果は得やすいでしょう。

コミュニケーションのための代替手段とツール

失語症の方とよりスムーズにコミュニケーションを取るために、最近では多くの代替ツールが開発されています。

  • コミュニケーションノート
  • 簡易筆談器
  • ICレコーダー
  • 文字スキャナー
  • ワープロなどの振り仮名機能

コミュニケーションノートとは、失語症の方がよく使う言語やイラストなどを記載したノートで、それを指差すだけでも簡単なコミュニケーションが取れます。
また、書く能力が維持されている場合、文字を何度も書いたり消せる簡易筆談器は非常に便利です。
次に、うまく話すことができない場合は、ICレコーダーで事前に入力した音声を使ってコミュニケーションを取るのも良いでしょう。
読む能力が不十分な場合、文字を文字スキャナーに読み上げてもらったり、ワープロの振り仮名機能で漢字に振り仮名を振ってもらう事で読み取れるようになります。
これらのツールは比較的簡単に購入できるため、ぜひ一度試してみると良いでしょう。

家族の協力による理解と忍耐の重要性

失語症は一度発症すると基本的に大きく改善するような事はないため、一緒に暮らす家族の協力が必須ですが、家族にとっても介護や協力がストレスとなってしまう事は多いです。
特に、脳卒中契機で発症した失語症の場合は、介護する家族も比較的高齢であることから意思疎通困難に伴う苛立ち・不安・社会的孤立、最悪の場合自殺を考えるほどのストレスに晒される方もいます。
そこで、失語症の方とともに生活するためには、しっかり失語症のことを理解し、本人を傷つけないように本人のペースに合わせた会話やリハビリを行う事が重要です。
そうすることで、本人との良好な関係性を築くことができ、長期的に見れば互いに少ないストレスで暮らすことができます。
どうしてもストレスで苦しい時は、ひとりで抱え込まず、言語聴覚士に相談したり、自治体などが行なっている患者会・家族会に参加して同じ環境の人と話すなど、周囲の人や制度を頼るようにしましょう。

まとめ

今回の記事では、失読症と言語障害を持つ患者の日常生活の工夫について詳しく解説しました。
失読症によって日常生活に大きな支障をきたすため、一緒に暮らす家族によるサポートは必要不可欠です。
また、最近ではコミュニケーションを支えるサポートツールも多くあるため、ぜひ活用すると良いでしょう。
一方で、最近では「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
ニューロテックメディカルでは、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「神経再生医療×同時リハビリ™」によって、これまで改善が困難であった失読症や言語障害の改善が期待できます。

よくあるご質問

失語症の患者にはどう接したらいいですか?
失語症といえど、必ずしも言語に対する理解能力が失われている訳ではないため、本人の尊厳を傷つけるような態度は控えるべきです。
相手の話に耳を傾け、相手の伝えたいことを理解しようとする姿勢が何よりも重要です。

言語障害の方とのコミュニケーションの取り方は?
言語障害の方とのコミュニケーションの取り方は、相手により伝わるように、ゆっくり簡潔に言葉を伝えましょう。
また、相手が理解できない時は文字や図、イラスト、ジェスチャーなどを用いて伝えることも重要です。

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<参照元>
・J STAGE:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnt/33/3/33_362/_pdf/-char/ja
・千葉県言語聴覚士会:
https://chiba-st.com/wp-content/uploads/失語症者災害支援リーフレット.pdf
・J STAGE:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sjpr/44/2/44_215/_pdf/-char/ja
・J STAGE:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/pacjpa/71/0/71_1PM060/_pdf/-char/ja




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