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幹細胞点滴治療とリハビリテーションの相乗効果

この記事を読んでわかること
幹細胞治療の概要がわかる
幹細胞治療の概要がわかる
幹細胞点滴治療とリハビリテーションの相乗効果を理解できる


これまで改善の困難であった脳や神経の病気による後遺症に対して、最近では幹細胞治療が非常に注目されています。
一方で、従来の治療法であるリハビリテーションと併用することでより効果的であることが、近年の研究で明らかになってきています。
この記事では、幹細胞点滴治療とリハビリテーションの相乗効果について詳しく解説します。

幹細胞点滴治療の基礎とその役割

幹細胞点滴治療の基礎とその役割
皆さんは「幹細胞点滴治療」という治療をご存知でしょうか?
幹細胞点滴治療とは、その名の通り、幹細胞を点滴から身体に投与するという治療法ですが、この幹細胞には「損傷した臓器の細胞を優先的に再生し、機能や形態を再生させる効果」があります。

幹細胞の能力

幹細胞の3つの能力
これは、幹細胞に下記のような能力があるためです。

  • 多分化能:さまざまな系統の細胞に分化できる能力
  • ホーミング効果:損傷した部位に優先的に駆けつける能力
  • 自己複製能:自身のDNA情報をコピーして、全く同じコピー細胞を複製する能力

例えば、輸血で点滴から体内に投与される赤血球や白血球・血小板は、すでに分化しきった細胞であるため、体内でほかの細胞に分化することはあり得ず、赤血球は赤血球としての機能しか果たしません。
一方で、理想的な幹細胞はありとあらゆる細胞に分化できるため、脳が損傷していれば脳細胞に、心臓が損傷していれば心筋細胞に分化するわけです。
さらに、幹細胞の特性であるホーミング効果によって、損傷部位から分泌されるサイトカインなどのシグナルを感知して、優先的に損傷部位に遊走することが知られています。
しかし、無事に損傷部位に幹細胞が到着し、その細胞に分化したとしても、組織として再生するには大量の細胞数が必要であり、少数の幹細胞だけでは組織としての再生は叶いません。
幹細胞は高い自己複製能を有しているため、自己複製を繰り返し、十分な細胞数になることで組織の再生を目指します。
これら3つの効果によって、幹細胞は損傷した部位の修復と機能の再生を目指せるわけですが、幹細胞治療にはほかにも副次的効果があります。
骨髄や脂肪組織から採取した幹細胞は、その後培養して増殖させてから体内に戻しますが、この培養の上清液には幹細胞から分泌されたサイトカインが豊富に含まれているのです。
含まれるサイトカインには、損傷した組織への血管新生・抗炎症作用など、組織再生に有効であり、上清液と幹細胞を一緒に投与することでさらに高い効果が期待できます。

リハビリテーションの基本とその重要性

脳梗塞や脳出血による麻痺やしびれなどの後遺症に対して、現状ではリハビリテーションが唯一の改善策です。
リハビリテーションは行う時期によって、下記の3つに分類され、それぞれの目的も異なります。

  • 急性期:病状が安定化するまでの期間
  • 回復期:病状が安定し、最も高いリハビリ効果を得られる期間
  • 維持期:家庭や社会生活に復帰した後の期間

以前までは急性期は安静にしておくことが基本でしたが、現在では急性期から積極的なリハビリを行うことが予後にとって重要であると認識されています。
また、回復期のリハビリでは障害された神経回路の再構築が最も進む時期であり、失われた動作の再獲得や、筋力の維持・向上などを目指す時期です。
維持期では、自宅に退院した後も継続してリハビリを行い、機能の維持・向上を目指します。

幹細胞点滴治療とリハビリテーションの組み合わせによる効果

幹細胞点滴治療について、上記ではその役割や理論を紹介しましたが、実際のところ、幹細胞点滴単独でいかなる後遺症も改善するかというと、そうではありません。
幹細胞点滴治療を行って、あとは寝て待てば全ての機能が回復するという夢のような治療法ではなく、リハビリテーションと並行して初めてその真価が発揮されます。
実際に、脳梗塞患者10名を対象にリハビリ併用の効果を検証した石合らの研究では、10例中5例で幹細胞治療後の明らかな神経機能の改善を認めています。
また、慶應義塾大学の研究によれば、慢性期の脊髄損傷モデルマウスにヒトiPS細胞由来神経幹/前駆細胞を移植し、リハビリテーションを併用することで、運動機能や組織学的所見を回復させることに成功しました。
リハビリテーションの併用により、移植された幹細胞の生存率が向上し、神経細胞への分化が促進されたそうです。
その結果、幹細胞の移植単独よりも、リハビリ併用の方が優れた運動機能回復を示すことが判明しました。
以上のことからも、両者の治療法を組み合わせることが予後にとって重要です。

まとめ

今回の記事では、 幹細胞点滴治療とリハビリテーションの相乗効果について詳しく解説しました。
幹細胞点滴治療は一見夢のような治療法にも感じられますが、単独で後遺症から解放してくれるわけではありません。
ただし、近年の研究によってリハビリテーションと併用することで相乗効果が得られることもわかってきました。
更に、これらの狙った神経回路の治る力(可塑性)を向上させるには、幹細胞点滴と同時のタイミングで狙った神経回路を刺激していくこと(特許取得済み)が有効であることが分かってきました。
また、ニューロテックメディカルでは、「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
「ニューロテック®」では、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
また、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「同時刺激×神経再生医療Ⓡ」によって、神経学的後遺症のさらなる改善が期待できます。

よくあるご質問

幹細胞点滴治療の効果は何ですか?
幹細胞点滴治療の主な効果は損傷した臓器や組織の修復・再生です。
また、幹細胞の培養液に含まれる、幹細胞から分泌されたサイトカインには、血管新生や抗炎症作用などの副次的効果も認められます。

幹細胞再生治療はどんな効果があるのですか?
幹細胞再生治療は、これまで改善困難であった神経や脳などの臓器の再生・修復を期待できる治療法です。
現在もなお開発が進んでおり、今後も幹細胞再生治療の適応範囲の拡大が期待されます。

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<参照元>
・J STAGE:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/56/3/56_56.227/_pdf
・回復期リハビリテーション.net:https://kaifukuki.doctorsfile.jp/rehabilitation/
・J STAGE:https://www.jstage.jst.go.jp/article/resja/37/1/37_6/_pdf/-char/ja
・慶應義塾大学:https://www.keio.ac.jp/ja/press-releases/2023/2/3/28-135209/




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