・早期リハビリテーションとは
・早期リハビリテーションの効果
・リハビリを実施する上で家族が治療に参加する重要性
脳出血、脳梗塞により麻痺症状が出現します。
早期リハビリは発症や手術から48時間以内に開始し、廃用症候群に陥らないように2〜3週間は強化的に行うことが重要です。
リハビリは患者の疾患や身体状況に合わせて治療プログラムが組まれ、早期ADL自立に向けて個別治療を行います。
この記事では、早期リハビリについての重要性、リハビリで重要となる関わりについて説明します。
早期リハビリテーションの目的と効果
世界保健機構によると、リハビリテーションとは「環境との相互作用に最適な機能を維持したり、獲得するために、障害を経験したりまたは経験する可能性がある人々を支援する一連の手段」と定義されています。
早期リハビリテーションというと、発症、手術後早期から行われる運動というイメージが強いですが、
- 呼吸機能
- 摂食嚥下機能
- 排泄機能
- 精神機能
- 認知機能
など様々な機能を維持、改善、再獲得するための様々な取り組みを早期から行うことが「早期リハビリテーション」といえます。
発症、手術後にベッド上安静期間があると、身体を動かす機会が極端に減少します。
身体を動かさないでいると、発症から48時間以内に筋肉が変性したり、筋量が減少し、その症状は2∼3週間のうちに最大となります。
このことを考慮すると、早期リハビリは発症や手術から48時間以内に開始し、その後2∼3週間は強化的に行うべきといえるでしょう。
では、早期リハビリテーションは身体機能や日常生活動作能力の向上に効果的なのでしょうか?
早期離床、早期リハビリテーション介入(四肢自動・他動運動、早期ADLトレーニング)群は未介入群と比べて退院時のADL能力に差は見られなかったという報告があります。
しかし、介入群は退院時のBarthel Indexが有意に改善し、退院時の機能的自立度が改善したそうです。
個別化された治療計画の立案
病気や怪我を発症し、手術などの治療を経てリハビリテーションが開始されます。
医師からリハビリテーションの指示が出され、その方の病状に応じて理学療法士、作業療法士、言語聴覚士がリハビリテーション治療計画を立案します。
リハビリ介入時は、医師に病状やリスクを確認し、リハビリ介入します。
また、看護師に病棟における様子を情報収集してその方の早期離床、早期ADL開始に向けての計画を立案するのです。
ベッド上安静のため、リハビリ介入時に関節可動域制限や筋力低下などの廃用症候群を併発している場合が多く見られます。
廃用症候群を併発すると、その後の運動において支障をきたす可能性があるため、まずはベッド上での関節可動域訓練や筋力訓練を実施します。
また、徐々にベッドの傾斜を上げていき、座位保持の時間を徐々に伸ばし、耐久性の向上を図ります。
その方のADL状況に合わせてベッド上座位や車椅子座位でのADL訓練を実施し、実際のADL場面での動作の評価・訓練を行います。
例えば、トイレ動作は実際の病棟の環境にて立ち上がりや移乗、下衣の上げ下げなど動作練習を行います。
病棟生活でのADL自立に向け、看護師と協力して現状のADL能力を最大限生かせるよう、リハビリで訓練した動作を看護師にも確認してもらい、実際の病棟生活でのADL方法として取り入れてもらうのです。
介助が必要な場合は介助のポイントを看護師や介護士に伝え、安全に行えるように情報を共有します。
こうして、その方の身体機能、ADL能力に合わせた個別治療を行い、機能の改善に合わせてADL方法もその都度病棟スタッフと協力して変更していきます。
家族のサポートと治療への参加
病棟でのリハビリテーションを経て、退院に向けて働きかける時期には、家族のサポートも大切になってきます。
退院に向けて自宅の環境に合わせた日常生活動作が必要となってくるのです。
例えば、トイレ環境において便座とドアの位置関係により、便座への移乗方法は変わってきます。
手すりの位置、移乗方法、その後の下衣の上げ下げの一連動作を安全に行えるようになる必要があります。
一連動作の中で介助が必要な場合は、実際に家族に来てもらって介助方法を指導することがあります。
実際の環境に合わせた動作を家族に見てもらい、介助方法、介助のポイント、気を付けるポイントを共有し、患者の退院後を見据えたADL動作獲得に向けて患者、家族、スタッフにて訓練をするのです。
また、食事においては嚥下機能に問題がある場合、食形態を工夫する必要性が出てくる場合もあるでしょう。
その際は、嚥下状態を評価し、食形態を調整します。
患者が安全に飲み込める食形態を家族に伝え、退院後の食事に関してのアドバイスを行います。
このように、退院すると家族が患者のADLについて把握し、サポートする場面が見られるため、入院時からリハビリスタッフと共に患者の身体機能を把握し、関わり方を共有していくことが大切と言えるでしょう。
まとめ
病気を発症したり、怪我を受傷してからなるべく早期にリハビリテーションを開始することが重要と言われています。
廃用症候群などの二次障害を併発すると、その後の身体機能やADL能力の回復を阻害してしまう可能性もあるので、早期リハビリは積極的な介入をしていく必要があるのです。
また、退院に向けては家族のサポートも重要と言えるでしょう。
患者が中心となって、家族、医療スタッフと協力して退院に向けて働きかけていきます。
疾患によっては、機能的な回復が困難と言われている場合もあり、残された機能を最大限に活用して日常生活動作を行えるように働きかける場合もあります。
治癒が困難と言われている疾患において、近年は再生医療が注目を浴びています。
ニューロテックメディカルでは、脳卒中・脊髄損傷を専門として、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しております。
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再生医療だけではなく、リハビリも同時に行うことで(神経再生医療×同時リハビリ®)、より治る力を高めていくのです。
ご興味ある方は是非、お問い合わせください。
よくあるご質問
- 早期リハビリの目的は?
- 病気発症後、手術後はベッド上安静期間があることが多く、廃用症候群に陥る危険性があります。
早期リハビリは患者に生じうる廃用症候群を予防することにより、早期にADLを獲得すること、早期に社会復帰を目指すことが目的となります。 - 早期リハビリのメリットは?
- 早期リハビリを行うことにより、肺炎・尿路感染・深部静脈血栓症・褥瘡などの合併症の予防、関節可動域制限や筋力低下などの廃用症候群の予防ができます。
積極的にリハビリ介入し、ADLの自立度の向上を目指します。
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<参照元>・日本集中治療医学会:
https://www.jsicm.org/pdf/soki_riha_1805.pdf
・杏林医会誌 47巻1号 「理学療法士の視点から見た早期リハビリテーションの実際」:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kyorinmed/47/1/47_55/_pdf/-char/ja
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