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仙髄損傷後の排尿・排便障害に対する効果的な対処法とリハビリの役割

この記事を読んでわかること
排泄障害に対する具体的な対処方法
排泄障害に対するリハビリテーションの目的と方法
医療チームにおける排泄ケアの関わり


仙髄障害を発症すると排尿や排便障害など、排泄に関わる障害が出現します。
代表的な症状としては尿閉や便秘、便失禁などです。
排泄に関わる障害があると日常生活や社会復帰に大きな影響を与えるため、対処法の確立は必須です。
この記事では仙髄損傷後の排尿・排便障害に対する効果的な対処法とリハビリの役割について解説します。

間欠導尿や排便管理などの具体的な対処法の紹介

間欠導尿や排便管理などの具体的な対処法の紹介
脊髄神経は背骨の中を通っている神経で、高さによって上から頸髄、胸髄、腰髄、仙髄、尾髄の5つに分かれます。
仙髄とは、骨盤の後面にある仙骨の高さの脊髄神経のことを指し、お尻やふくらはぎの筋肉などを動かし、同部位の感覚情報を伝え、排尿や排便をコントロールする役割があります。
交通事故などによって仙髄が損傷してしまった場合、尿が出なくなる尿閉や尿・便の失禁などの症状が出現することがあります。
排尿障害が出現してしまうと、交感神経が過剰に働いてしまう自律神経過反射、尿路感染症、腎不全などの障害が起こることがあります。
そのため、排尿障害が出現した場合は対処方法を検討する必要があります。
尿閉などの排尿障害が出現した場合、まずは障害の程度の評価から行います。
腹部に強い圧をかけないと尿が出せない高圧排尿や排尿後に尿が膀胱内に残る残尿の量が多い場合は、尿路の管理方法としてカテーテルを使用した排尿方法を検討します。
最も検討される方法は清潔間欠導尿です。
この方法は患者本人もしくは介護者が、消毒された清潔な尿道カテーテルを定期的に尿道に通し、排尿を行う方法です。
本人が行う場合は作業療法士や看護師と一緒に練習を行います。
間欠導尿はカテーテルを留置しないため、尿路感染症のリスクが低く、不意な抜去などでの尿道損傷が起こりにくいことがメリットです。
逆にデメリットは、手技が難しく習得するまで時間がかかったり、そもそも獲得ができないことがある点、尿道にカテーテルを挿入する際に尿道壁を損傷する可能性がある点、消毒ができていないと尿路感染症を引き起こす可能性がある点などがあります。
間欠導尿の手技が獲得できないなどの問題がある場合は、留置カテーテルを使用した排尿方法を選択します。
カテーテルを留置する場合は尿道カテーテル留置か手術で皮膚の上から直接膀胱にカテーテルを入れる経皮的膀胱カテーテル留置の2種類方法があります。

仙髄の障害では排便障害に対しても工夫が必要です。
排便が自己ではできない場合、浣腸や摘便などを行う必要があります。
排便障害は直腸性便秘と大腸性便秘があり、直腸性便秘では直腸まで便が降りてきているため浣腸や摘便で対応が可能です。
大腸性便秘では大腸の動きの低下によって直腸まで便が降りてきていない状態のため、下剤などを併用する必要があります。

排尿障害や排便障害は生活に密接に関係しているだけでなく、医療的にもコントロールをする必要があるため、どのような方法でコントロールを行うか必ず専門職と相談するようにしましょう。

リハビリテーションによる機能回復と生活の自立支援

仙髄損傷による排尿障害や排便障害はリハビリテーション専門職、特に作業療法士が関わることが重要です。
しかし、リハビリを行なっても排尿障害や排便障害そのものは治療することができません。
尿意や便意を感じることができる方は、薬剤による調整などを行い、カテーテルや浣腸などを行わずに自然排尿・排便をできるようになることがあります。
尿意や便意を感じることができない場合、そもそも自己での排尿が困難であったり、排尿間隔が空きすぎるなどの問題が生じるリスクが高く、カテーテルを使用した排尿方法や浣腸・摘便を行う排便管理が推奨されています。
作業療法士は尿道カテーテルの挿入方法や浣腸・摘便の行い方などを一緒に練習し、自立して排尿・排便コントロールを行えるようになることを目指してリハビリを行います。
また、場合によってはトイレ内の環境を調整したり、自助具等を作成して排泄の自立を促します。
自己での排泄動作の確立が難しい場合は家族に協力を依頼することもあります。
排泄に関わる動作の獲得は社会復帰や自宅での生活に直接関わるため、作業療法士とリハビリを行うことは非常に重要です。

医療チームとの連携による総合的なサポート体制の構築

仙髄損傷を発症後すぐは医師もしくは看護師によって尿道カテーテルを留置します。
全身状態が落ち着くと、尿便意の有無や日常生活動作能力によってどの排泄方法がその方にとって最善であるか医療チームと患者本人で検討します。
医療チームはチームの方針を決定する医師、療養上の世話を行う看護師、日常生活動作をみる理学療法士、排泄方法の検討と練習を行う作業療法士、退院後のサービス調整を行う社会福祉士など様々な職種で構成されています。
チーム間で方針をまとめ、患者と方法を共有し、決定された方法を作業療法士と練習し病棟でも行えるように看護師と確認を行います。
排泄方法が確立し、日常生活動作が行えるようになっていれば自宅などに退院します。
退院後も必要であれば訪問看護や訪問リハビリテーションを利用して医療的なケアを受けることができます。
医療ケアは排泄の手技の確認や自立して排尿・排便が行えない場合、訪問看護師による尿道カテーテルの留置や浣腸・摘便などのケアを行います。
このように入院中に医療チームが総合的に関わるだけでなく、退院した後でも継続して医療ケアを受けることができ、患者一人一人に合わせた医療ケアを選択することができます。

まとめ

この記事では仙髄損傷後の排尿・排便障害に対する効果的な対処法とリハビリの役割について解説しました。
仙髄障害を発症すると排泄に障害が出現し、間欠カテーテル導尿や浣腸・摘便などを使用した排泄コントロールが必要になることがあります。
作業療法では、自立して排泄のコントロールができるように方法を検討したり、実際の動作を練習します。
排泄の障害に対しては多職種の医療職で構成された医療チームが関わり、入院中だけでなく退院後の生活も支えます。
仙髄損傷で神経を損傷してしまった後の脊髄神経の治療は確立されていませんが、再生医療にはその可能性があります。
今後、神経再生医療×リハビリテーションの治療の研究は進んでいきます。
私たちのグループは神経障害は治るを当たり前にする取り組みを『ニューロテック®』と定義しました。
当院では、リハビリテーションによる同時刺激×神経再生医療を行う『リニューロ®』という狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療を行なっていますので、ご興味のある方はぜひ一度ご連絡をお願いします。

よくあるご質問

脊椎損傷者の排尿ケアはどうすればいいですか?
脊髄損傷者の排尿ケアは腹圧をかけてしっかり尿が出せるならトイレでの自然排泄、難しい場合はカテーテルを使用した排尿になります。
カテーテルは間欠カテーテル導尿と尿道カテーテル留置があり、対象者の状態や症状に合わせた方法が選択されます。

過活動膀胱は完治しますか?
脊髄損傷における過活動膀胱は急性期から回復期にかけて改善することもありますが、改善度合いは人によって異なります。
症状が残ってしまった場合は薬物療法によって、改善・軽減させることができるため、かかりつけ医に相談が必要です。

<参照元>
1脊髄損傷における下部尿路機能障害の診療ガイドライン[ 2019 年版 ]http://japanese-continence-society.kenkyuukai.jp/
2脊髄損傷の排便マニュアルhttps://www.rehab.go.jp/application/files/4815/2039/6868/07_29_01_PDF3.7MB.pdf

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