・廃用症候群の症状がわかる
・廃用症候群に対するリハビリについて理解できる
・廃用症候群における食事の重要性がわかる
長期間の安静などによって筋肉や骨が萎縮してしまい、心身にさまざまな症状をきたした状態を廃用症候群と呼びます。
放置すれば悪循環に陥り、最悪の場合寝たきりに陥ってしまうため、状態改善のためには早期から適切な食事と、適切な負荷のリハビリが肝要です。
この記事では、廃用症候群の効果的なリハビリや運動の重要性について解説します。
見逃してはいけない廃用症候群の症状
猿やオランウータンには尻尾がありますが、人類は通常、尻尾は認めません。
これは進化の過程で使う必要がなくなり、退化していったからだと考えられており、実際には名残として尾骨と呼ばれる骨は残っています。
このように、使用頻度や必要性が少ない筋肉や骨は萎縮していくわけですが、これは現代人においても同様です。
病気になって長期的に入院している場合や、脳梗塞などで麻痺が生じている場合など、過度な安静や活動性の低下によって、心身の機能にさまざまな支障が生じた状態を廃用症候群と呼びます。
廃用症候群で生じる主な症状は下記の通りです。
- 骨や筋肉の萎縮
- 関節の拘縮
- 心肺機能の低下
- 静脈血栓症
- 褥瘡
- うつなどの精神障害
- 見当識障害
初期には筋肉が萎縮して筋力が低下し、進行すれば体動低下によってさらに身体活動が低下していく悪循環に陥り、心肺機能や血管系・神経系にまで悪影響を及ぼし、最終的には寝たきりに陥ります。
特に高齢者では、気づかぬうちに症状が進行して歩行や体動困難に陥ることがあるため、できる限り日常生活から体を動かすように意識しておくと良いでしょう。
リハビリが廃用症候群に与える影響
なんらかの病気によって安静を余儀なくされ、廃用症候群に陥ってしまった場合、早期からリハビリを行うことが重要です。
リハビリの内容は廃用症候群によって失われた機能によっても異なりますが、多くの場合は下肢の筋力低下が目立つため、歩行訓練などによる下肢の筋力向上を目指します。
また、より効果的なリハビリを行うためには、患者のモチベーションやコンディション、リハビリを行う環境などが整っていないといけません。
廃用の程度にもよりますが、1週間に少なくとも2〜3日、できれば1日の中で2回以上に分けてリハビリを行うことで、効果とモチベーションを維持しやすくなります。
運動機能が向上してくれば徐々に負荷を上げ、日常生活への復帰を目指すことが重要です。
また最近では、一般的な理学療法に加えて、より効果を高めるために加圧トレーニングを併用することもあります。
加圧トレーニングでは上腕や大腿部に加圧トレーニング専用ベルトを巻いて圧着し、大腿で約200mmHg、上腕で約100mmHgの圧をかけてリハビリを行います。
加圧して筋肉への血流を制限することで、筋繊維をより効果的に刺激することができ、筋力の改善に効果的です。
廃用症候群を改善するための栄養管理と運動のバランス
廃用症候群を早期から改善するためには、理学療法などの運動を行うだけでは不十分であり、並行して栄養管理を行っていくことも重要です。
廃用症候群による活動性の低下によって、約9割の方が低栄養に陥ると報告されており、そのままでは理学療法の効果が得られにくいため、栄養管理が必要となります。
具体的には、筋萎縮予防のために十分量のタンパク質やアミノ酸を含む食事を摂取することが重要です。
また摂取カロリーが少ない状態でリハビリを行うと、消費カロリーの増加によってむしろ低栄養が悪化してしまうため、1日の消費カロリーよりも250〜700kcal程度多くカロリー摂取することが重要です。
まとめ
今回の記事では、廃用症候群の効果的なリハビリや運動の重要性について詳しく解説しました。
特に高齢者では廃用症候群が起こりやすく、数日の安静でも歩行や体動が困難に陥ってしまうこともあるため、日常から身体の活動レベルを高く保つことが重要です。
一度廃用症候群に陥ってしまった場合は、早期からのリハビリと適切な食事摂取が重要ですが、改善は困難であることも少なくありません。
そこで、最近では脳や神経の再生を目指す再生医療の発達も注目されています。
さらに、ニューロテックメディカルでは、「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
「ニューロテック®」では、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
また、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「同時刺激×神経再生医療Ⓡ」によって、改善の難しい廃用症候群からの筋力向上も期待できます。
よくあるご質問
- 廃用症候群のリハビリの目的は?
- 廃用症候群に対するリハビリの目的は、筋力の改善や症状の進行を予防することです。
また、リハビリによって人との関わりを持つことも、うつ状態や見当識障害の進行を予防する観点で重要です。 - 廃用症候群を改善するにはどうしたらいいですか?
- 廃用症候群を改善するためには、早期から適切な負荷のリハビリテーションを行い、身体活動レベルを高く保つことが重要です。
また、低栄養に陥るとリハビリ効果が損なわれるため、十分なカロリー摂取も重要です。
関連記事
このページと関連のある記事
2024.08.01
廃用症候群は簡単な運動で予防出来る?!
脳卒中を発症すると何かしらの後遺症が残りやすく、発症前よりも運動機会が減ってしまう方が大半です。臥床時間が長くなると廃用症候群が進んでしまうことも珍しくありません。そのため、意識的に体を動かす習慣をつけることが大切です。この記事では姿勢別にリハビリ運動をまとめ、片麻痺等がある方でも安心して出来る運動...
<参照元>
・健康長寿ネット:https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/rounensei/haiyo-shokogun.html
・J STAGE:https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/41/4/41_KJ00009498096/_pdf
・J STAGE:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspen/28/5/28_1045/_pdf
コメント