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橋出血の後遺症とリハビリテーションの選択肢

この記事を読んでわかること
橋出血による呼吸機能障害への対策について
橋出血による四肢麻痺や運動障害を改善する具体的な方法について
橋出血による嚥下障害や言語障害の克服支援について


橋出血は脳幹の一部である橋で生じる出血で、呼吸機能障害、四肢麻痺、嚥下障害、言語障害など多岐にわたる後遺症が生じる可能性があります。
この記事ではこれらの後遺症への対応方法やリハビリプラン、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などの専門セラピストによる訓練や家族、周囲の人の支援などについてわかりやすく解説しています。

呼吸機能障害への対策とリハビリプラン

呼吸機能障害への対策とリハビリプラン
橋は脳幹の一部で多くの重要な身体機能を制御する部位であり、呼吸をコントロールする神経経路にも関与しています。
そのため、橋で出血が生じると後遺症として呼吸機能障害が生じる可能性があります。
呼吸機能障害への主な対策として人工呼吸器、呼吸筋のトレーニング、姿勢矯正などがあります。

人工呼吸器

橋出血では呼吸困難など重度の呼吸機能障害を引き起こす可能性があり、その場合には人工呼吸器による呼吸管理が必要となることがあります。
症状が落ち着き自力で呼吸ができるようになれば人工呼吸器を外します。

呼吸筋とレーニング

呼吸機能を改善させるために、呼吸に必要な筋肉のトレーニングをします。
息を吸う筋肉(吸息筋)には横隔膜、胸鎖乳突筋、斜角筋、外肋間筋、僧帽筋などがあり、息は吐く筋肉(呼息筋)には腹横筋、内腹斜筋、外腹斜筋、腹直筋、内肋間筋などがあります。
肺は自力で膨らんだり萎んだりすることはなく、これらの筋肉が作用し胸郭を広げたり閉じたりすることで肺が膨らんだり萎んだりします。
横隔膜の上下運動によって胸郭を動かす腹式呼吸や肋間筋の働きで胸郭が前後左右に動く胸式呼吸などのトレーニングが効果的です。

姿勢矯正

頭が前に出て猫背のような姿勢になると胸郭が広がりにくく、肺に入る空気の量が少なくなります。
また、横隔膜が働きにくくなり呼吸の効率が悪くなります。
肋骨周りや腹部の筋肉、背中の筋肉のストレッチなどを行い、姿勢を修正することで呼吸機能が改善しやすくなります。

リハビリプラン

呼吸機能の改善には理学療法士や作業療法士による個別のリハビリプランが必要となります。
それぞれの状態に合わせ、必要なリハビリメニューを実施することで呼吸機能が改善しやすくなります。
また、人工呼吸器を使用している場合でも、適切なリハビリを実施していくことで自然な呼吸への移行が可能となります。

四肢麻痺や運動障害を改善する具体的な方法

手足を動かす神経は大脳から脊髄を通りますが、その間にある脳幹の一部である橋も通っていくため、橋出血によりこの神経経路が障害されると四肢麻痺(両手足の麻痺)や運動障害が生じることがあります。
そのため、継続的なリハビリテーションが重要となります。
筋力や関節可動域、協調性の改善を目的とした運動療法や姿勢制御の改善を目指す姿勢制御トレーニング、歩行機能の改善を目指す歩行パターンの再学習や日常生活に必要となる動作を反復する運動学習などを行います。

橋出血による嚥下障害や言語障害の克服支援

橋出血による嚥下障害や言語障害の克服支援
橋出血では嚥下機能や言語機能に関連する神経にも影響を与えるため、これらの機能に障害が生じる可能性があります。

嚥下障害

嚥下とは口に入れた食べ物を飲み込むことをいいます。
この食べ物を飲み込む機能に関する神経に橋が関連しているため、橋出血では嚥下機能に影響を及ぼします。
この嚥下機能に障害が生じると食事がとりづらいだけでなく、食べ物が食道ではなく気道に入りやすくなり誤嚥性肺炎を引き起こす可能性が高まります。
そのため、嚥下障害に対するリハビリテーションが重要となります。
食べ物をしっかりと飲み込めなくなると口の中に食べ物のカスが残り、細菌の増殖を招くため、まずは口の中をきれいに保つ口腔ケアが必要となります。
そして、嚥下を行いやすくするために首や肩、胸郭、口腔器官などの運動をしていきます。
特に肩や首、胸郭の動きに制限があると嚥下を妨げることにつながるため可動域の維持、改善は重要となります。
また、言語聴覚士による専門的なリハビリの他に家族など周囲の支援も必要となります。
食材をペースト状や刻み食に変更したり、食事中にむせたり嘔吐したりなど誤嚥のサインを見逃さないように見守ることが非常に大切となります。

言語障害

発音がしにくかったりろれつが回らなかったりと言葉を発する機能に障害が生じることがあります。
言語聴覚士の指導のもと、発声練習や呼吸の練習、口や舌の体操などを行います。
また、家族や周囲の人の理解も必要となります。
なるべく静かな場所でゆとりをもって話を聞いたり多少聞き取りにくさがあっても言い直しを求めたり指摘したりせず、話題の前後関係から言いたいことを推測するように心がけると安心して話をすることができます。
声に出して意思を伝えることが難しい場合は会話を強要せず、文字で書いたり身振り手振りのジェスチャーで意思表示をしたりすることも必要です。

まとめ

橋出血による後遺症は、日常生活の多岐にわたり大きな影響を及ぼします。
個別に合わせた適切なリハビリテーションを行うことで症状の改善や生活の質を向上させることが可能です。
呼吸機能障害、四肢麻痺、嚥下障害、言語障害などそれぞれの症状に応じた個別のリハビリプランを作成し、継続的に取り組むことが重要です。
また、これまでは一度損傷した脳細胞や神経細胞はもとに戻ることはないとされており、主な治療はリハビリテーションで機能回復を目指すことでした。
しかし、最近では損傷した神経自体を修復させて機能回復を目指す再生医療が注目されています。
「ニューロテックⓇ」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んに行われています。
神経の再生を促す再生医療とリハビリを組み合わせた「同時刺激×神経再生医療Ⓡ」によって、今まで難治であった橋出血による後遺症の改善が期待できます。
再生医療も治療法の選択肢の1つになります。

よくあるご質問

橋出血の後遺症は?
橋出血の後遺症は出血の程度や治療のタイミングなどによって個々に異なりますが、呼吸機能障害や四肢麻痺、運動失調、感覚障害、認知機能障害、嚥下障害、言語障害など多岐にわたります。

橋出血で運動麻痺になる症状は?
橋は大脳と脊髄の間にあり、神経線維の束が通っています。
そのため、橋に障害が生じると身体の半身が麻痺となる片麻痺や両側の手足に麻痺が起こる四肢麻痺、歩行困難や姿勢保持の障害が起こります。

<参照元>
橋出血の臨床的応用|J STAGE:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke1979/7/1/7_1_50/_pdf
呼吸筋の運動学・生理学とその臨床応用|J STAGE:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/21/8/21_KJ00001306887/_pdf

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