こんにちは。
ニューロテックメディカルリハビリセンターの矢野です。
今回は、気になる文献をわかりやすく解説したいと思います。
病気や怪我、加齢など、様々な理由で運動機能は低下してしまいます。
その回復を目指すのがリハビリテーションであり、大きく急性期・回復期・慢性期に分けられます。
脳卒中の方にとって発症直後は、脳が変化しやすい時期であるため、入院中の早期リハビリテーションは重要となります。その後、退院をして発症から数カ月、数年経過してもリハビリテーションはとても重要です。
・症状が変わらないことでリハビリの効果が感じられず、入院中と比べて運動量が減っていませんか?
・後遺症により諦めることが増えていませんか?

しかし!!
アメリカの研究で発症から6か月以上経過した脳卒中患者様を対象にしたこのような研究結果があります。
~中等度・重度の慢性脳卒中の上肢機能向上にとって長期集中リハビリの必要性~
【論文名】
Long-Dose Intensive Therapy Is Necessary for Strong, Clinically Significant, Upper Limb Functional Gains and Retained Gains in Severe/Moderate Chronic Stroke.
【対象】
- 初めて、片方の脳が脳卒中となり6か月以上経過した方
- 麻痺側の手首を上げる(背屈)筋肉の動きが少しでも感じられる
- 体調が安定しており、他に痙攣や頭痛等(神経学的症状)がないこと
【方法】
- 治療は1 日に合計5 時間、週5日を12週間(約3か月)集中的なリハビリテーションを実施。
- リハビリ内容は、電気刺激、ロボット等を用いた運動学習
【評価】
- 脳卒中に対する機能障害の評価としてFMAを用いて評価を行った。
※Fugl-Meyer Assessment(FMA)片麻痺機能評価(日本でも用いられる評価表。点数が低いほど重症)
【結果】
- 治療途中(約1か月半)でFMA(手や腕の機能)+4.7改善
- 治療後(約1か月半後)にはFMA(手や腕の機能)+5.1改善
- 全体的に約3か月もの間でFMA(手や腕の機能)+9.8も向上しました
- 最低でもFMA+4.25の改善で効果があるとされており、今回の結果ではその2倍の点数であった。
※さらに治療終了から3か月後の追跡調査でも、治療で得られた結果は集中的リハビリを終了した後でも維持されていたという結果でした。
※詳しく知りたい方は、こちらのURLをご参照ください
【https://jrxra.org/wp-content/uploads/2024/07/group_newsletter_vol1.pdf】
【この文献からわかること】
- 脳卒中から半年以上経っても、リハビリを継続すれば回復の可能性がある。
- 集中的リハビリを終了した後でも維持されていた。

小さな改善でも、それを積み重ねることで確実に前進し、日常生活のしやすさが広がっていきます。その積み重ねが、より自分らしい生活や社会復帰といった大きな変化につながっていくのです。
また、集中的なリハビリは費用がかかることもありますが、社会復帰の可能性や介護の負担軽減を考えると、将来に向けた大切な投資といえるでしょう。

しかし、回復には個人差があります。その期間や段階も様々ですが、諦めずにリハビリを続けて行うことがとても大切です。
私たち、ニューロテックメディカルリハビリセンターは脳卒中患者様に限らず、脊髄損傷や神経変性疾患など様々なご病気をお持ちの方に対して集中的・継続的リハビリテーションをご提供できますのでいつでもご相談お待ちしております。
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