運動機能への影響:四肢麻痺や歩行障害の実態
感覚障害や嚥下障害など日常生活への影響
後遺症と向き合うためのリハビリテーションの重要性
脳幹は、呼吸や心拍の調整、運動機能や感覚の伝達など、生きるために欠かせない働きを担う重要な部分です。
このため、脳幹出血が起こると、運動機能、感覚機能、言語機能に深刻な影響を及ぼします。
手足の麻痺、言葉がうまく話せない、飲み込みが難しい、などの症状が出ます。
さらに、血圧や呼吸に影響を与え、命に関わることもあります。
運動機能への影響:四肢麻痺や歩行障害の実態

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この記事では、運動機能への影響:四肢麻痺や歩行障害の実態について解説します。
脳幹は手足の運動を制御する神経の通り道であり、ここで出血が起こると、神経伝達が障害され、筋肉を適切に動かすことが難しくなります。
そのため、脳幹出血後の運動障害は深刻なことが多く、四肢麻痺や歩行障害が起こります。
四肢麻痺は、出血の部位や範囲によって障害の程度が異なり、全く動かせなくなるケースもあれば、わずかに動かせるが力が入らない場合もあります。
また、脳幹は左右の運動機能に関与するため、両側の手足に影響が及ぶことも少なくありません。
歩行障害は、麻痺による筋力低下や、脳幹が関係する姿勢制御や平衡感覚の障害によって起こります。
引きずるような歩き方になったり、ふらつきで歩行が安定しなくなったりするのが特徴です。
特に、小脳や前庭神経との連携が障害されると、体のバランスを保つことが難しくなるため、転倒のリスクも高まります。
また、筋肉の協調運動がうまくいかないため、意図しない方向に手足が動くこともあります。
これらの障害により、日常生活において、自立的な移動が難しくなり、介助が必要になる場合も多いです。
感覚障害や嚥下障害など日常生活への影響
この記事では、感覚障害や嚥下障害など日常生活への影響について解説します。
脳幹出血によるこれらの障害は、日常生活に大きな影響を及ぼします。
感覚障害は、手足のしびれや温度・痛みの感覚が鈍くなる症状として現れ、怪我をしても気づきにくくなったり、歩行時に足裏の感覚が不安定になるため転倒のリスクが高まったりします。
また、感覚の異常によって衣服の着脱や物をつかむ動作に違和感を覚えることが多く、細かい作業が難しくなることがたびたびあります。
また、脳幹には嚥下を司る神経が集中しているため、出血によってこれらの神経が障害されると、食べ物や飲み物を飲み込む機能が低下するため、むせやすくなります。
加えて、食べ物や飲み物が気道に入ることで肺炎を引き起こす誤嚥性肺炎の危険性が高まります。
このような状態になると、食事をとること自体が負担となり、栄養不足や脱水状態になることもあるため、注意が必要です。
さらに、感覚障害と嚥下障害が同時に起きることで、食事や日常動作が一層困難になり、介助が必要になる場合もあります。
後遺症と向き合うためのリハビリテーションの重要性
この記事では後遺症と向き合うためのリハビリテーションの重要性について解説します。
脳幹出血後の後遺症の改善に向けてのリハビリテーションは極めて重要です。
脳幹出血によって生じた麻痺、感覚障害、嚥下障害、歩行障害などは、日常生活に大きな影響を及ぼし、自立した生活が難しくなることがたびたびあります。
しかし、適切なリハビリを行うことで、残存する機能を最大限に活用し、回復を促すことが可能です。
運動機能の回復には、理学療法が重要な役割を果たします。
手足の麻痺がある場合、筋肉の萎縮を防ぐために可動域訓練を行い、徐々に筋力を取り戻していきます。
また、歩行障害がある場合には、バランス訓練や歩行補助具を活用しながら、自立した移動を目指します。
また、嚥下障害に対しては、言語聴覚士による嚥下訓練が行われます。
誤嚥を防ぐための飲み込み方の指導や、食事の形態を工夫することで、安全に栄養を摂取できるようにします。
さらに、感覚障害による日常生活への影響を軽減するために、作業療法を取り入れ、衣服の着脱や食事動作の訓練を行うことも有効です。
一般的に、脳幹出血後の回復には時間がかかることが多く、根気強くリハビリを継続することが大切です。
まとめ
今回の記事では、脳幹出血の後遺症と生活への影響について解説しました。
脳幹出血は脳を栄養する血管が破れることにより起こりますが、脳出血の中では予後が悪い疾患です。
さまざまな後遺症が残るとともに、命にも関わります。
壊死した脳神経が再生すると、後遺症は軽減しますが、現在の治療ではなかなか難しいのが現状です。
そのため、再生治療が注目されています。
ニューロテック®は、「神経障害は治るを当たり前にする」ことを目的とした取り組みです。
その代表的な治療法であるリニューロ®は、「狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療」を提供します。
リニューロ®では、同時刺激×神経再生医療®により、神経回路の再構築を促進します。
さらに、骨髄由来間葉系幹細胞を用いることで、神経修復の可能性を高めます。
また、神経再生リハビリ®を併用することで、神経回路の強化をサポートします。
脳梗塞脊髄損傷クリニックなどでは、リニューロ®を提供し、神経障害の改善を目指しています。
これらの治療法は、脳幹出血後の後遺症に苦しむ患者さんに対して期待が持てる治療となるでしょう。
よくあるご質問
- 脳幹出血の後遺症の症状は?
- 手足の麻痺やふらつきが生じ、歩行や細かい動作が難しくなります。
また、舌や喉の動きが制限され、言葉がはっきり話せない、飲み込みが悪いなどの症状が起こります。
さらに、脳幹は呼吸や血圧の調整を担っているため、呼吸が乱れたり、血圧が不安定になったりすることがあります。 - 脳幹出血は回復しますか?
- 出血の程度や障害された部位によって異なります。
重症の場合は生命の危険が高く、後遺症が残ることが多いです。
でも、軽度であればリハビリを通じて機能回復が望めます。
ただし、呼吸や血圧の調整機能が損なわれると、回復には長期間を要するのが一般的です。
<参照元>
(1)脳梗塞、脳出血(脳出血)|KOMPAS:https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000326.html
・脳血管障害・脳卒中|e-ヘルスネット厚生労働省:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-006.html
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