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片麻痺者の下肢のリハビリ自主トレーニング

この記事を読んでわかること
脳卒中後遺症者の筋力トレーニングの必要性と具体的な内容
バランストレーニングの具体的方法
下肢のストレッチの具体的方法


脳卒中片麻痺患者は麻痺側の痙性により、自分の意思とは関係なく手足が曲がったり、突っ張ったりしてしまうことがあります。
身体能力の低下につながる可能性があるため、自主練習を行い、身体機能の低下を予防する必要があります。
この記事では、麻痺側下肢の自主練習方法を具体的に提示しています。
ぜひ、参考にしてみてください。

下肢の筋力を強化するエクササイズ

脳卒中の後遺症患者に対して、筋トレは実施すべきではないという考えが以前はありました。
しかし、近年では、筋力トレーニングを実施することで筋力増強の効果が得られ、痙縮の悪化はないとの研究報告がありました。
痙縮とは、筋肉が緊張して硬まってしまい、意思とは関係なく手足が曲がったり伸びたりしてしまう症状のことです。
強く痙縮が見られる状態で無理に関節を動かそうとすると痛みが出現することがあるので、痙縮の状態をコントロールしながら、無理のない負荷量で筋トレを実施する必要があります。
身体の状態に合わせたトレーニング方法を選択し、筋力を増強して、身体を動かしやすくしましょう。
ここでは、下肢の筋トレメニューをご紹介します。

太腿あげ運動

太もも上げ・膝伸ばし運動

【目的】 歩く動作で足を前方に振り出す際に必要となる、股関節の付け根の筋肉の強化。
【姿勢】 椅子に座った姿勢。背もたれに寄りかからない。
【方法】 ゆっくり腿を上げて下げる。左右交互に10回程度行う。
【注意点】 腿を上げる際は、膝が外を向かないようにする。

膝伸ばし運動

【目的】 立ったり座ったりするときに使われる腿前面の筋肉の強化。
【姿勢】 椅子に座った姿勢。
背もたれに寄りかからない。
【方法】 膝をぴんと伸ばす。
左右下肢それぞれ10回行う。
膝を伸ばした状態で数秒間保持するのも良い。
【注意点】 足のつま先が外を向かないようにする。

足閉じ運動

足閉じ運動・つま先上げ運動

【目的】 骨盤や膝を安定させる内腿の筋肉を強化し、歩行フォームを改善させる。
【姿勢】 椅子に座った姿勢。背もたれに寄りかからない。
【方法】 両腿の間にボールを挟み、ボールをつぶすようにゆっくりと足を閉じ、緩める。
10回程度行う。
【注意点】 足の裏は床に着けた状態で行う。

つま先上げ運動

【目的】 歩くときにつま先を上げる下肢前面の筋肉の強化。
【姿勢】 椅子に座った姿勢。背もたれに寄りかからない。
【方法】 踵をしっかり床につけて、麻痺側のつま先をゆっくり上げ下げする。
麻痺側だけで持ち上げるのが困難な場合は両足にて行う。
10回程度を目安に行う。
【注意点】 足がぐらぐらしないようにする。

下肢のバランス感覚を養うトレーニング

脳卒中後遺症者は、転倒リスクがあります。転倒して骨折などの怪我をしてしまう危険性もあるため、立った姿勢を安定させるバランス訓練は非常に重要です。
下肢のバランス感覚を養うことは、歩行の際の安定性を向上させるために必要となります。
下肢だけでなく、骨盤や体幹の安定性が保てることも非常に重要です。

ブリッジ運動

骨盤の傾斜運動・ブリッジ運動

【目的】 麻痺側下肢の内転筋・外転筋を強化し、下肢の安定性を強化する。
【姿勢】 仰向け、両膝を立てる。
【方法】 3秒かけてお尻を持ち上げ、3秒かけて下ろす。
10回程度を目安に行う。
【注意点】 足の裏は床にしっかり着ける。運動時足が伸びてしまわないようにする。

骨盤の傾斜運動

【目的】 左右の骨盤への重心移動を行い、座位バランスの向上を図る。
【姿勢】 端座位、または、背もたれに寄りかからないで椅子座位
【方法】 片方の座骨に体重を乗せ、反対側の臀部を少し浮かせる。
反対方向も行う。左右交互に5回程度を目安に行う。
【注意点】 胸と頭は垂直を保つ。

立ち座り

立ち座り・膝抱えストレッチ

【目的】 麻痺側の下肢に体重をかけてバランスを取れるようにする。
【姿勢】 椅子座位
【方法】 前のテーブルに手をついて、ゆっくり立ち上がる。
この時、麻痺側の下肢にも体重が乗るように意識して行う。
座る時はおじぎをするようにゆっくり座る。この立ち座りを10回目安に行う。
【注意点】 立ちあがったら体幹をしっかり伸ばす。

下肢の可動域を広げるストレッチ

脳卒中になると、自身ではコントロールできないまま身体が力んでしまったり動いてしまうことがあります。
また脳の神経の過剰興奮による筋緊張の異常亢進などにより、筋肉が固くなることもあります。
身体がつっぱったり硬くなってしまった場合は、リラックスさせたり、もみほぐすなど様々な方法で対応する必要があります。

膝抱えストレッチ

【目的】 お尻から腿裏にかけての筋肉を伸ばす。
【姿勢】 仰向け
【方法】 膝を抱えて、膝を胸に近づける。
10秒保持を2セット行う。
【注意点】 膝を胸に近づける際は、しっかり呼吸する。

大腿裏ストレッチ

膝抱えストレッチ・足の指ストレッチ

【目的】 足全体の後ろ側にある筋肉を伸ばす。
【姿勢】 椅子座位
【方法】 ストレッチする足を前に伸ばし、踵を着けてつま先を天井に向けた姿勢になる。
つま先を触るように体を前に倒す。
つま先まで届かない場合は、足首をタッチする。
【注意点】 ストレッチしている間は、しっかり呼吸する。

足の指ストレッチ

【目的】 足の指の曲がって硬くなってる筋肉を伸ばす。
【姿勢】 椅子座位
【方法】 麻痺側の足を上にして足を組み、足の指先を反り返らせるようにしてストレッチする。
【注意点】 足の指の曲がる力が強い時は、ゆっくりと伸ばすようにストレッチする。

まとめ

脳卒中発症後、入院時のリハビリはもちろん、退院後の継続したリハビリはその方の機能を維持、向上させるためにとても重要となります。
退院後は通所リハビリなどの利用もありますが、入院時と比べるとリハビリの頻度は減ってしまいます。
自主練習を継続的に行い、身体機能の低下を防ぐことが非常に重要となるため、今回ご紹介したような練習を参考に、自主練習を行いましょう。
脳卒中により損傷された脳は基本的には回復が困難といわれています。
そこで、再生医療が治療の選択肢として近年注目を浴びています。
脳梗塞・脊髄損傷クリニックでは、脳卒中・脊髄損傷を専門として、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しております。
また、『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』をニューロテック®と定義し、生命の再生を促す再生医療を取り入れています。
再生医療だけではなく、リハビリも同時に行うことで(神経再生医療×同時リハビリ™)、狙った脳や脊髄の治る力を高めていくのです。
ご興味ある方は是非、お問い合わせください。

よくあるご質問

片麻痺になると足に力が入らなくなりますか?
麻痺の重症度にもよりますが、自分の意思で力を入れられなかったり、力を調整できなくなってしまうことがあります。
例えば、痙性症状は、筋肉が緊張し硬くなってしまい、手足が曲がったり、突っ張ってしまいます。

麻痺側の手足を使わないとどうなる?
脳の損傷部は基本的には完治しないですが、麻痺側の手足を使うと、脳の別の機能が代償して動くようになろうとします。
しかし、手足を使わないと代償的なネットワークの再構築が得られず、「不使用の手足」となってしまいます。

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<参照元>
・順天堂大学 自宅でできる症状別・疾患別運動プログラム:
https://www.juntendo.ac.jp/academics/faculty/hs/about/homeprogram/
・日本理学療法士協会 自宅でできる自主トレーニングのご紹介:
https://www.juntendo.ac.jp/academics/faculty/hs/about/homeprogram/

<あわせて読みたい記事>運動失調症の治療とリハビリ




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