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ワレンベルグ症候群のリハビリと長期ケア計画

この記事を読んでわかること
ワレンベルグ症候群の病態がわかる
ワレンベルグ症候群の症状がわかる
ワレンベルグ症候群に対するリハビリの重要性や内容がわかる


ワレンベルグ症候群とは、脳血管の一部の解離や梗塞によって、延髄外側が虚血に陥る病気です。
出現する症状が多岐にわたり、特に嚥下障害や感覚障害は日常生活動作に与える影響が大きいため、長期的なリハビリによる機能改善が重要です。
そこで、この記事ではワレンベルグ症候群のリハビリと長期ケアについて詳しく解説します。

ワレンベルグ症候群に対するリハビリテーションとその重要性

ワレンベルグ症候群に対するリハビリテーションとその重要性
ワレンベルグ症候群とは別名、延髄外側症候群と呼ばれ、延髄外側を栄養する動脈に解離や梗塞が生じて、延髄外側の神経細胞が障害されてさまざまな神経症状をきたす疾患です。
1895年にドイツ生まれの医師であるAdolf Wallenbergが初めて症例を報告し、その名前をとって名付けられました。
延髄は脳からの運動の刺激を身体に伝え、また身体からの感覚の情報を脳に伝える、非常に重要な役割を担っている部位です。
さらに、自律神経や脳神経の中枢も存在しており、延髄が障害を受けることでさまざまな症状が出現します。
ワレンベルグ症候群における代表的な症状は下記の通りです。

  • 突然の頭痛・めまい・ふらつき
  • 嘔気・嘔吐
  • Horner症候群(眼裂狭小・瞳孔縮小)
  • 損傷と同側の顔面の温痛覚障害
  • 損傷と同側の小脳失調
  • 構音障害・嚥下障害
  • 嗄声
  • 損傷と対側の体幹・上下肢の温痛覚障害

延髄の中でも外側部分には、感覚神経(とくに温痛覚)や、眼球に対する交感神経、嚥下や発声に関わる脳神経が位置しており、ここが障害されることで上記のようなさまざまな症状が出現します。
一方で、運動神経や感覚神経のうちの深部知覚については延髄外側には位置しておらず、障害されない点が特徴です。
これらの神経症状に対して重要なのは、リハビリテーションによる機能の維持・改善と社会復帰を目指すことです。
特に、嚥下障害が進行すれば誤嚥性肺炎によって死亡リスクが高まるため、リハビリテーションによる嚥下訓練が非常に重要となります。
具体的には、口腔内ケア・嚥下に関わる筋肉の運動訓練・食物を実際に摂取する摂食訓練などを行います。
また社会復帰を目指す上で、構音障害(うまく話すことができない症状)の改善は非常に重要な課題であり、言語聴覚士によるリハビリテーションが効果的です。
さらに、感覚障害は二次的外傷のリスクや、温痛覚障害に伴う入浴などのQOL低下を招く恐れがあり、身体に冷水や温水の刺激を与える訓練なども実施されます。

後遺症の症状に合った長期的なケア計画

ワレンベルグ症候群による神経障害は基本的に不可逆的であるため、後遺症として残った後は長期的なケア計画が重要です。
ケア計画を立てる上で重要な点は、多彩な神経症状をきたすワレンベルグ症候群発症者において、どの症状が社会復帰やADLの妨げになっているのかを把握し、その症状に見合ったリハビリを行うことです。
例えば、嚥下障害が強い場合、命の源である食事摂取が低下してしまうため、長期的に嚥下訓練を行い、少しでも機能の残存を図る必要があります。
また、ワレンベルグ症候群では感覚障害や小脳失調によってめまい症状が出やすく、それによってリハビリテーションそのものが阻害されることも少なくないため、めまいに対する運動療法を組み入れることも重要です。
以上のように、複数の神経症状が併発しやすいワレンベルグ症候群だからこそ、患者個々人にあったケア計画を立てることが肝要です。

幹細胞上清液を使用したワレンベルグ症候群への再生医療

ワレンベルグ症候群を発症すれば延髄外側が虚血に陥り、基本的に神経細胞は自身の能力で再生できないため、後遺症として症状が残ります。
現状、それに対する唯一の治療はリハビリテーションによる機能の維持・回復ですが、実は近年、ワレンベルグ症候群に対する幹細胞上清液を使用した再生医療が注目されています。
幹細胞上清液とは、自身の組織から採取した幹細胞を培養する過程で精製される上清液のことです。
幹細胞上清液には、細胞の機能回復や抗炎症作用などを有するさまざまなサイトカイン・成長因子・エクソソームなどが多く含まれており、損傷した細胞のより効果的な再生が期待できます。
リハビリテーションとの併用によってさらに高い効果が期待でき、今後の知見が持たれるところです。

まとめ

今回の記事では、ワレンベルグ症候群のリハビリと長期ケアについて詳しく解説しました。
ワレンベルグ症候群では、神経組織の中でも非常に重要な役割を担う延髄の外側が虚血に陥ることで、さまざまな神経障害を来します。
特に、嚥下障害やめまい・感覚障害は基本的な日常動作に影響を与え、社会復帰が遅れるだけでなく、命に関わる可能性のある後遺症でもあるため、早期から対策すべきです。
そこで、ニューロテックメディカルでは、「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
「ニューロテック®」では、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
また、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「同時刺激×神経再生医療Ⓡ」によって、これまで改善の困難であったワレンベルグ症候群の神経学的後遺症の改善も期待できます。

よくあるご質問

ワレンベルグ症候群のリハビリは?
ワレンベルグ症候群のリハビリの内容は出現する神経症状によっても異なりますが、主には嚥下訓練・言語訓練・発声訓練・歩行訓練などが挙げられます。
また、これらのリハビリとともに、急に機能低下したことに対する心理的サポートも並行して行う必要があります。

ワレンベルグ症候群の予後は?
ワレンベルグ症候群の予後は、発症する年齢や障害の程度によっても大きく異なります。
動脈の解離が原因で比較的若年で発症した場合は、比較的予後良好であることが多いです。

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<参照元>
・J STAGE:https://www.jstage.jst.go.jp/article/kyushuptot/2017/0/2017_165/_pdf/-char/ja
・J STAGE:https://www.jstage.jst.go.jp/article/kyushupt/2021/0/2021_5/_pdf/-char/ja




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