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頚椎後縦靱帯骨化症と胸椎後縦靱帯骨化症のリハビリ

この記事を読んでわかること
頚椎後縦靱帯骨化症と胸椎後縦靱帯骨化症の症状の違いがわかる
頚椎後縦靱帯骨化症と胸椎後縦靱帯骨化症の原因がわかる
頚椎後縦靱帯骨化症と胸椎後縦靱帯骨化症に対するリハビリを理解できる


頚椎、もしくは胸椎後縦靱帯骨化症は、原因不明に後縦靱帯が骨化することで近隣を走行する脊髄や神経が圧排され、さまざまな神経症状をきたす病気です。
後縦靱帯骨化症を放置すると麻痺やしびれなどの後遺症を残すため、注意が必要です。
この記事では、頚椎後縦靱帯骨化症と胸椎後縦靱帯骨化症の違いや病態について解説します。

頚椎後縦靱帯骨化症と胸椎後縦靱帯骨化症とは?

頚椎後縦靱帯骨化症と胸椎後縦靱帯骨化症とは?
頚椎後縦靱帯骨化症と胸椎後縦靱帯骨化症とは、どちらも脊椎後面を縦方向に走行する後縦靱帯が骨化・肥厚し、その後方に位置する脊髄を圧迫してしまう病気です。
脊髄は複数の脊椎や関節・靭帯・軟骨などで形成される脊柱管という空洞の中を縦に走行しており、上から順に頸髄・胸髄・腰髄・仙髄と分類されます。
このうち、骨化してしまう靭帯が頸髄を圧迫するなら頚椎後縦靱帯骨化症、胸髄を圧迫するなら胸椎後縦靱帯骨化症、腰髄を圧迫するなら腰椎後縦靱帯骨化症となるわけです。
脊髄は脳からの運動の指令を身体に、身体からの感覚の情報を脳に伝達する架け橋のような役割を担っているため、脊髄が骨化・肥厚した後縦靱帯に圧排されることで、その部位に応じたさまざまな神経症状をきたします。
胸髄が障害されると下肢や体幹に麻痺やしびれが生じますが、上肢の感覚神経や運動神経は頸髄から分岐するため、頚椎後縦靱帯骨化症の場合は四肢に麻痺やしびれが生じます。
さらに、脊髄の圧迫が高度になってくると仙髄が調節している排尿・排便の機能も障害される、いわゆる膀胱直腸障害が出現するため注意が必要です。
頸部のレントゲンを撮ると実に約3%で骨化を認め、若年者よりも50代の中高年男性で特に発症しやすいことが知られています。

頚椎・胸椎損傷と密接に関係する?2つの骨化症の意外な真実

先述したように、頚椎後縦靱帯骨化症や胸椎後縦靱帯骨化症は頸髄・胸髄を損傷し、さまざまな神経障害をきたします。
また厄介なことに、この2つの骨化症は比較的連続して発症することも少なくないです。
胸椎は通常12の小さな骨から成り立っていますが、胸椎後縦靱帯骨化症では下位よりも上位胸椎レベルで発症しやすく、連続性に肥厚した靭帯が頸椎後縦靱帯骨化症を併発することも少なくありません。
では、なぜ後縦靱帯が骨化してしまうのでしょうか?
後縦靱帯が骨化する原因は完全には解明されていませんが、頸椎も胸椎も下記のような複数の要因が絡み合って発症すると考えられています。

  • 遺伝的要因
  • 性ホルモンの異常
  • カルシウム・ビタミンDの代謝異常
  • 糖尿病
  • 肥満
  • 老化

クリティカルな原因が解明されていないため、根治的な治療法がなく、治療しにくい難病です。
一方で、これまでの研究では発症者の兄弟で後靭帯骨化症が認められる確率は約30%と高率であり、遺伝的要因が関与していることは明らかです。

また2023年には理化学研究所の研究で、後縦靱帯骨化症に関わる原因遺伝子「CCDC91」が同定されました。
上記のうち、糖尿病だけは自身の努力で対応できる要因のため、骨化の予防のためにも血糖値には注意すべきです。

希望の光!頚椎・胸椎損傷と共存するためのリハビリ

後縦靱帯骨化症は進行すれば麻痺やしびれなどの神経症状をきたし、治療が遅れれば後遺症として残ってしまいます。
そうなれば、歩行などの基本動作はもちろん、仕事や学業にも支障をきたすため、生活に与える影響が大きいです。
これらの症状に対し、現状ではリハビリテーションが唯一の治療となります。
麻痺やしびれによって手足を動かなくなると、筋力低下や関節の拘縮が進み、どんどん機能が低下してしまいます。
そこで、継続的にリハビリテーションを行うことで、機能の維持・改善を目指すことが後縦靱帯骨化症による後遺症と付き合っていく上では重要です。

まとめ

今回の記事では、頚椎後縦靱帯骨化症と胸椎後縦靱帯骨化症の基礎知識や違いについて詳しく解説しました。
後縦靱帯骨化症の厄介な点は根治する方法がなく、人によっては手術しても残った後縦靱帯が骨化してしまう可能性がある点です。
また手術そのもので神経や脊髄を損傷してしまう可能性もあり、後遺症が残ってしまう可能性もあります。
現状、後縦靱帯骨化症に関わる神経学的後遺症に対してはリハビリテーションが唯一の治療法です。
一方で、最近では脳梗塞・脊髄損傷クリニックでは、「ニューロテック®」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んです。
「ニューロテック®」では、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しています。
また、神経機能の再生を促す再生医療と、デバイスを用いたリハビリによる同時治療「同時刺激×神経再生医療Ⓡ」によって、後縦靱帯骨化症に伴う神経学的後遺症の改善が期待できます。

よくあるご質問

頸椎後縦靭帯骨化症は難病ですか?
頸椎後縦靭帯骨化症は国が定めるとろの指定難病です。
そのため、症状の程度や所得に応じて医療費助成がなされ、月々の自己負担額には上限が設定されています。
一方で、入院中の食事代等は全額自己負担となるため、注意が必要です。

胸椎後縦靱帯骨化症とはどんな病気ですか?
胸椎後縦靱帯骨化症とは、脊椎の中でも胸椎の後面を縦走する後縦靱帯が骨化することで、その後方に位置する胸髄が圧迫され、下肢の麻痺やしびれをきたす病気です。
進行すると膀胱直腸障害などの重篤な神経症状をきたすため、注意が必要です。

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<参照元>
・難病情報センター:https://www.nanbyou.or.jp/entry/98
・日本脊髄外科学会:http://www.neurospine.jp/original67.html
・理化学研究所:https://www.riken.jp/press/2023/20230403_2/index.html

<あわせて読みたい記事>頸椎椎間板ヘルニアの日常生活でのケア




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