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びまん性軸索損傷による高次脳機能障害のリハビリテーション

この記事を読んでわかること
びまん性軸索損傷は交通事故などによって発生する外傷性脳損傷の一つであることがわかる。
高次脳機能障害は、注意力や記憶力、感情のコントロールに影響を与えることがわかる。
高次脳機能障害に対するリハビリテーションには、認知機能の回復や作業療法、言語療法が有効であることがわかる。


びまん性軸索損傷(DAI)は、交通事故などの外傷により脳内の軸索が損傷を受けることです。
記憶や注意力、感情のコントロールに影響を与えることがあります。
本記事では、びまん性軸索損傷の基礎知識、高次脳機能障害との関係性、リハビリテーションの方法について解説し、症状の改善に向けたアプローチを紹介します。

びまん性軸索損傷の基礎知識

びまん性軸索損傷の基礎知識
びまん性軸索損傷(DAI)は、主に交通事故や転倒などの外傷性脳損傷の一つです。
脳内の神経線維(軸索)が広範囲にわたって損傷を受けることで発生します。
脳全体にわたる損傷が特徴であり、意識障害や昏睡状態に至るケースも多く、非常に深刻な状態を引き起こすことがあります。
CTやMRIなどの画像検査でも発見しにくいことがあり、見逃されやすい点も注意が必要です。
びまん性軸索損傷は、脳が激しく揺さぶられることによって、脳内の軸索が引き伸ばされることで発生します。
この損傷は一度に広範囲にわたり、個々の神経細胞にダメージを与えるため、全般的な機能低下を招きます。
脳が正常な情報伝達を行うためには、軸索が重要な役割を果たしていますが、これが損傷すると、記憶、注意力、感情のコントロールなどに影響が出やすくなります。

びまん性軸索損傷と高次脳機能障害の関係性

びまん性軸索損傷と高次脳機能障害の関係性
びまん性軸索損傷は、しばしば高次脳機能障害を引き起こします。
びまん性軸索損傷に関わらず、外傷性脳損傷による障害の特徴として、脳卒中などの疾患に比べると運動麻痺よりも高次脳機能障害が際立っていることなどがあります。
高次脳機能障害とは、主に思考や判断、計画立案などの高次機能に影響を与える障害であり、日常生活において大きな支障をきたします。
特に注意力、記憶力、判断力、社会的な行動の制御などに問題が生じることが多いです。
また、びまん性軸索損傷が広範囲にわたって神経回路に影響を及ぼすため、認知機能や感情の調整が難しくなることがあります。
たとえば、患者さんは以前できた簡単なタスクをこなすのに苦労したり、他者とのコミュニケーションに障害を感じることがあります。
また、感情のコントロールが効かなくなることで、怒りやすくなったり、気分が不安定になることもあります。
このような高次脳機能障害は、個々のケースで程度が異なりますが、多くの場合、生活の質に大きな影響を与えるため、早期の診断とリハビリテーションが重要です。
職場復帰などについての見通しについては、個別の症例によって大きく変わります。
そのため、専門医の判断を仰ぐ必要があります。

高次脳機能障害に対するリハビリテーションの方法

高次脳機能障害に対するリハビリテーション
高次脳機能障害に対するリハビリテーションは、早期から開始することで、症状の改善を促すことができます。
以下の方法がよく用いられます。

1. 認知機能リハビリテーション

認知機能を回復させるために、記憶力や集中力、注意力を鍛えるためのトレーニングが行われます。
専門のセラピストが個別のプログラムを組み、コンピュータを用いた訓練や実際の生活シーンを想定した訓練を通じて、患者の認知能力を高めることを目指します。

2. 作業療法

日常生活で必要となるスキルを再獲得するためのリハビリテーションが行われます。
食事や身だしなみ、買い物などの実践的な活動を通して、患者が自立した生活を取り戻せるようにサポートします。
作業療法士などが、患者一人ひとりの状況に応じた計画を作成し、日常のタスクを効率的に行うための方法を指導します。

3. 言語療法

言語能力やコミュニケーション能力に問題がある場合、言語療法士によるトレーニングが行われます。
発語や言語理解に困難がある場合でも、段階的に改善を図ることができます。
特に、対話スキルや感情表現の方法を学び直すことが多く、患者が社会復帰に向けて必要なスキルを身につけるための支援が行われます。

4. 心理的サポート

リハビリテーション中に患者は精神的な負担を感じることが多いため、心理的サポートも重要です。
心理カウンセリングやグループセラピーを通じて、患者の感情面の安定を図ることがリハビリテーションの成功につながります。
また、家族も同様にサポートを受けることで、患者とのコミュニケーションが円滑になり、回復のプロセスが促進されます。

まとめ

びまん性軸索損傷による高次脳機能障害は、日常生活に深刻な影響を与える可能性が高いものの、適切なリハビリテーションを受けることで、症状の改善や機能の回復が期待できます。
リハビリテーションは個々の患者の状況に応じたアプローチが必要であり、認知機能のトレーニングや作業療法、言語療法、心理的サポートなど、総合的な治療プランが求められます。
重要なのは、早期に専門家の診断を受け、適切な治療を開始することです。
家族や周囲のサポートも不可欠であり、患者が回復するための環境づくりに協力することが重要です。
リハビリテーションは一朝一夕で効果が出るものではありませんが、継続的に取り組むことで、徐々に日常生活への復帰が可能になるでしょう。
びまん性軸索損傷を含め、一度神経細胞が損傷を受けてしまうと、完全に修復することは難しいです。
そこで、当院ニューロテック、脳梗塞脊髄損傷クリニックなどでは、脳卒中・脊髄損傷を専門として、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しております。
リニューロ®では、同時刺激×神経再生医療®、骨髄由来間葉系幹細胞を用いて狙った脳や脊髄の治る力を高めた上で、神経再生リハビリ®を行うことで神経障害の軽減を目指します。
神経障害に対する再生医療にご興味のある方は、ぜひ一度ご相談くださいね。

よくあるご質問

びまん性軸索損傷は人格に影響しますか?
はい、びまん性軸索損傷は、人格や行動に影響を及ぼすことがあります。
特に感情のコントロールや社会的な判断力に変化が見られる場合があります。
これにより、以前とは異なる行動や性格の変化が起こることもありますが、リハビリテーションを通じて改善を目指すことが可能です。

びまん性脳損傷の予後は?
びまん性脳損傷の予後は、損傷の程度や早期の治療、リハビリテーションの開始時期に大きく依存します。
軽度の場合は機能回復が見込まれることもありますが、重度の場合は長期的な後遺症が残ることがあり、日常生活に支障をきたすこともあります。

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<参照元>
・外傷性脳損傷のリハビリテーション KOMPAS慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト:https://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000147.html
・高次脳機能障害者支援の手引き I リハビリテーションマニュアル|国立身体障害者リハビリテーションセンター(WHO指定研究協力センター):http://www.rehab.go.jp/application/files/4815/2039/6538/07_19_01_PDF2.2MB.pdf
・びまん性軸索損傷の一例 認知神経科学学会 ケーススタデイ:https://www.jstage.jst.go.jp/article/ninchishinkeikagaku1999/2/Special/2_Special_49/_pdf




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