・進行性核上性麻痺の症状を和らげるために日常生活で工夫することは?
・パーキンソン症候群や進行性核上性麻痺の患者様にとって適切な運動やリハビリが生活にどんな影響を与えるのか?
・パーキンソン症候群や進行性核上性麻痺の患者様を支える家族や介護者ができるサポートのポイントは?
パーキンソン症候群を呈する進行性核上性麻痺の患者様ができる限り快適に日常生活を送るためには運動療法を初めとするリハビリテーションは大切です。
適切な運動やリハビリによって転倒リスクの軽減や誤嚥の予防にもなります。
この記事ではさらに家族や介護者ができる生活のサポートについても詳しく解説します。
症状を和らげるための日常生活での工夫
進行性核上性麻痺(PSP)は発症すると進行が早く、発症後10年以内に死に至る病と言われており根本的な治療法はありません。
そんな進行性核上性麻痺の薬物療法ではパーキンソン病の治療薬や抗うつ薬などが用いられますが、効果は一時的なため日常生活では症状を和らげるための工夫が大切です。
進行性核上性麻痺の症状として姿勢反射障害による転倒リスクや眼球運動の制限、呂律や嚥下の障害、認知機能の低下、体幹の固縮などのパーキンソン症候群がみられます。
そのため初期では理学療法士や作業療法士による運動療法や言語療法士による言語療法などのリハビリテーションが重要となります。
(参照サイト:進行性核上性麻痺(指定難病5)|難病情報センター)
(参照サイト:進行性核上性麻痺|MSDマニュアル)
以下にパーキンソン症候群や進行性核上性麻痺の症状を和らげ、日常生活をより快適に過ごす工夫やリハビリテーションについてご紹介します。
- ストレッチや筋トレなどの運動療法を取り入れる
特に頚部や体幹の筋肉の硬直を防ぐための定期的なストレッチや筋力の低下を防ぐために適度な筋力トレーニングを取り入れましょう。
またリハビリテーションでは転倒予防のため、バランス感覚を養う訓練も行います。 - 転倒リスクを減らすために環境の整備を行う
転倒リスクを減らすために手すりの設置や躓きそうなものなど家の中の障害物を取り除き環境の整備を行いましょう。
特に普段使うものはご本人の近くにまとめて置くなど工夫することも重要です。
またトイレの際、慌てて動くと転倒リスクに繋がるため時間に余裕をもった誘導を心掛けることも大切です。 - 言語療法士の訓練を受ける
嚥下障害による誤嚥を防ぐために専門家の嚥下訓練を受けることや嚥下機能に合わせた食事形態への変更を行いましょう。
また言語障害がある場合は、言語療法士と協力して発声やコミュニケーション能力の向上を目指します。 - ストレスの管理を行う
進行性疾患のためできないことが増えていき、心理的にもストレスが多くなります。
患者様がリラックスできるリラクゼーション法や趣味の活動を通じてストレスを軽減できるようにしましょう。
(参照サイト:進行性核上性麻痺(指定難病5)|難病情報センター)
(参照サイト:進行性核上性麻痺(PSP)|兵庫県難病相談センター)
適切な運動やリハビリが生活に与える影響
適切な運動やリハビリテーションはパーキンソン症候群や進行性核上性麻痺の患者様の身体機能を維持することに役立ち、生活の質(QOL)向上に大きく寄与します。
例えば定期的なストレッチや筋力トレーニングは筋肉の硬直や筋力低下を防ぎ、関節の可動域を保つのに役立ちます。
またバランストレーニングを行ったり歩行訓練を行ったりすることで転倒リスクを軽減し、安全な移動手段を維持することができるでしょう。
さらに嚥下訓練を通じて嚥下障害の進行を遅らせることで誤嚥性肺炎のリスクを低減します。
加えて適切な運動やリハビリテーションを継続することで達成感や自己効力感が得られ、うつ症状や不安の軽減にも良い影響を与えることができます。
このように適切な運動やリハビリテーションを行うことでパーキンソン症候群や進行性核上性麻痺の患者様はより自立し充実した生活を送ることが可能となるでしょう。
(参照サイト:進行性核上性麻痺(指定難病5)|難病情報センター)
(参照サイト:進行性核上性麻痺(PSP)|兵庫県難病相談センター)
家族や介護者ができるサポートのポイント
パーキンソン症候群や進行性核上性麻痺の患者様を支える家族や介護者の役割は非常に重要です。
以下に家族や介護者ができるサポートのポイントについてご紹介します。
- 転倒リスクに対するサポート
まずパーキンソン症候群や進行性核上性麻痺の患者様を支える家族や介護者にとって大事なサポートは転倒リスクへの対策です。- 転倒予防のための声掛けや見守り、歩行の介助
- 自宅内の動線に手すりの設置や通路の確保
- 家具の角はクッションテープを使用して保護
- 高さが調節できるベッドを導入
- ゆとりをもった排泄の誘導
- 必要なら保護帽子を利用
- 誤嚥に対するサポート
誤嚥性肺炎のリスクを軽減するために誤嚥を予防するサポートも重要です。- ベッド上ではなくなるべく座った姿勢となるような食事姿勢の見直し
- 食事内容が見えるように配置を工夫
- 食事に集中できる環境設定
- 嚥下状態に合わせた食事形態の提供
- 口腔内の清潔を保持
- 食事時の一口量の調整
- 認知機能に対するサポート
進行性核上性麻痺では認知機能の低下は比較的軽い傾向ですが、判断力や反応の低下がみられることがあります。
そのため家族や介護者はゆっくりと時間をかけて会話し、患者様の発言を待つ姿勢が大切です。 - リハビリテーションや治療的サポート
理学療法士や作業療法士、言語療法士など専門家と協力し、適切なリハビリテーションを実施できるようなサポート体勢を整えておくことも重要です。
また近年は再生医療の研究が進んでおり、今後は進行性核上性麻痺のような神経疾患に対しても新たな治療法として実用化されることが期待されています。
最新の情報を得るために、専門医や研究機関の情報を定期的に確認しておきましょう。
(参照サイト:進行性核上性麻痺(PSP)|兵庫県難病相談センター)
(参照サイト:進行性核上性麻痺(指定難病5)|難病情報センター)
まとめ
この記事ではパーキンソン症候群を呈する進行性核上性麻痺の患者様の症状を和らげるための日常生活上の工夫や患者様を支える家族や介護者ができるサポートについてご紹介しました。
進行性核上性麻痺では転倒や誤嚥リスクを軽減するために適切な運動療法や言語療法などのリハビリテーションが大切です。
また家族や介護者による歩行時の見守りや転倒しない環境作り、食事内容の調整やご本人の意思を尊重した対応なども生活の質を向上させるために重要なポイントとなります。
よくあるご質問
- 核上性進行性麻痺のリハビリはどのようなものでしょうか?
- 初期では身体機能の維持や転倒予防に対する運動療法や誤嚥など嚥下障害や構音障害に対する言語療法などが行われます。
また病状の進行に合わせて拘縮予防や廃用症候群の予防も行われます。 - パーキンソン症候群のリハビリテーションにはどんなものがありますか?
- 核上性進行性麻痺でみられるパーキンソン症候群に対して具体的なリハビリとしては筋力トレーニングやストレッチ、バランス訓練、歩行訓練、嚥下や発声訓練などを行います。
専門家による日常生活動作の改善や生活環境に合わせたアドバイスが行われます。
<参照元>
・(1)進行性核上性麻痺(指定難病5)|難病情報センター:https://www.nanbyou.or.jp/entry/4114
・(2)進行性核上性麻痺|MSDマニュアル:https://www.msdmanuals.com/
・(3)進行性核上性麻痺(PSP)|兵庫県難病相談センター:https://agmc.hyogo.jp/nanbyo/ncurable_disease/disease01.html
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