・注意すべき日常生活での姿勢
・頚椎に負担のない運動と簡単ケア
・枕や寝具の選び方
この記事では頚椎に負担のかからない日常生活の工夫や正しい姿勢、負担を軽減する動作のポイント、簡単なストレッチや運動、セルフケアについて詳しく解説しています。
また、睡眠時の頚椎への負担を軽減するために枕や寝具の選び方についても提案しています。
頚椎症性脊髄症の症状でお困りの方はぜひ参考にしてみてください。
目次
日常生活で注意すべき姿勢と負荷のかけ方ポイント
頚椎症性脊髄症は加齢や普段の姿勢の影響により頚椎が変性し、頚椎の中を通る脊髄が圧迫されることで発症する疾患です。
頭の重さは成人で約4〜6㎏あると言われています。
この頭を常時支えている首には負担がかかりやすく、特に頭の位置が前に傾くほど負担が大きくなります。
そのため、頚椎症性脊髄症の悪化を防ぐには日常生活での姿勢や首にかかる負担を軽減させることが重要です。
デスクワーク時の注意点
デスクワーク時はモニターを注視することで頭が前に出るような姿勢となりやすく、長時間の作業は首に大きな負担がかかります。
モニターの高さを目線の高さに合わせ、頭が前に出ないように注意する必要があります。
また、椅子に浅く座り、背中が丸まった姿勢も頭が前に出やすい姿勢となります。
椅子に深く座り、背筋を伸ばす姿勢をとることで頭が前に出にくくなります。
すぐに姿勢が崩れてしまう場合は腰の後ろにクッションを入れると背筋を伸ばした姿勢を維持しやすくなるためおすすめです。
しかし、良い姿勢を心がけても長時間の同じ姿勢は首に負担がかかります。
そのため、1時間に1度は立ち上がり、軽いストレッチをしたり部屋の中を歩くなど同じ姿勢が長時間続かないように注意しましょう。
スマートフォンと首の負担
スマートフォンやタブレットを使用する際、首の角度が前方に傾きやすくなります。
前方に15度傾くと12㎏、30度では18㎏、45度では22㎏、60度では27㎏が首にかかると言われており、首が前方へ傾く角度が大きければ大きいほど負担も大きくなります。
頭の重さが約4〜6㎏のため、30度程度傾いているだけで3倍の18㎏程度の負担がかかっていることになります。
そのため、スマートフォンを使用する際は下を向いて目線が下がらないように持っている肘を支えるなどして首の負担を減らす必要があります。
車の運転や読書時も工夫が必要
長時間の車の運転や読書時の姿勢も首への負担が大きくなります。
座席の高さを調整したり腰にクッションを入れたりなど姿勢が崩れにくくなるような工夫が必要となります。
また、どんなに良い姿勢でも長時間になると負担は大きくなります。
小まめに休憩を取りながら同じ姿勢が続かないように注意しましょう。
専門家が教える頸椎に優しい運動とストレッチ法と簡単ケア
頚椎に負担をかけない運動やストレッチを習慣化することで症状の緩和や再発予防が期待できます。
首の後ろのストレッチ
両手を後頭部に当て、頭を下に下げていきます。
手の力は使わずに手の重さを感じる程度でゆっくりと伸ばしていきます。
首の横のストレッチ
片手を反対側の側頭部に添えて横に倒していきます。
無理に引っ張らずに心地よい範囲で伸ばしていきます。
反対側も同様に行います。
頚椎に優しい運動
頚椎を支える筋肉のトレーニングを行います。
両手を額に当て首を前に押すように軽く力を入れながら手で押し返してキープします。
同様に後頭部に手を当てて後ろに押し返したり側頭部に手を当てて横に押し返したりしていきます。
また、首を支える筋肉は首から肩甲骨にも付着しているため、肩甲骨の運動も効果的です。
肩甲骨を耳に近づけるように上げたり下に下げたり、背中の方へ寄せたりしていきます。
簡単なセルフケア
簡単なセルフケアとして温めるのが効果的です。
蒸しタオルやホッカイロなどを首の後ろに当てることで血流の改善が期待できます。
また、お風呂に入るときは湯舟にしっかりと浸かることで首周囲だけでなく全身の血流を促すことができます。
適切な枕や寝具の選び方で負担を減らす方法
睡眠時の姿勢は頚椎に大きく影響を与えます。
朝目が覚めると首が痛い、だるいという場合は枕や寝具が合っていない可能性があります。
枕の選び方
枕が高すぎると頭が上がり首が前傾した状態となります。
逆に枕が低すぎると頭が下がり顎が突き上がった状態となります。
どちらも頚椎に負担のかかる姿勢となるため、適切な高さに調整する必要があります。
頚椎は通常少し前側にカーブをしている前弯という状態となっています。
この前弯を維持できる高さが理想的です。
個人差がありますが約5~10㎝程度となります。
また、枕が柔らかすぎると頭が沈み込みすぎてしまいます。
この状態だと寝返りをうちにくくなり首に負担がかかりやすくなります。
低反発や高反発のウレタン素材やパイプ枕など適度な反発力があり、首をしっかり支えられるものがおすすめです。
寝具の選び方
寝具も脊柱全体を通して影響を与えるため重要となります。
特にマットレスは柔らかすぎると腰が沈み、硬すぎると身体の浮いている部分とついている部分に分かれ、ついている部分に体圧が集中してしまいます。
適度な硬さで体圧をしっかり分散できるものが理想的です。
まとめ
頚椎症性脊髄症の悪化を防ぐためには、日常の姿勢や生活習慣の見直し、ストレッチや適度な運動、セルフケア、枕や寝具の選び方にも気を配りながら頚椎への負担を減らしていくことが重要です。
また、これまでは脊髄自体は一度損傷してしまうと回復が難しいとされていましたが最近再生医療が注目を集めています。
再生医療は、これまで難しかった損傷した組織や神経自体の修復を促進させることで症状の改善が期待できます。
再生医療とリハビリを組み合わせることで組織の修復と運動機能の改善が同時に得られることで効果を最大限に引き出すことができます。
最近では「ニューロテックⓇ」と呼ばれる『神経障害は治るを当たり前にする取り組み』も盛んに行われています。
神経の再生を促す再生医療とリハビリを組み合わせた「同時刺激×神経再生医療Ⓡ」によって、今まで難治であった頚椎症性脊髄症の改善が期待できます。
再生医療も治療法の選択肢の1つになります。
よくあるご質問
- 頚椎症性脊髄症の対策は?
- 長時間同じ姿勢でいないことなど普段の姿勢に注意して頚椎にかかる負担を軽減させることが重要です。
また、適度な運動やストレッチ、適切な枕や寝具を使用することも重要です。 - 頚椎に良くない姿勢は?
- 顔が胴体よりも前に突き出た姿勢や下を向いている姿勢は頚椎に大きな負担がかかるため注意が必要です。
特に座っているときがこのような姿勢になりやすいため気を付けましょう。
<参照元>
・日本脊髄外科学会:https://www.rehab.go.jp/brain_fukyu/seido/
・Assessment of stresses in the cervical spine caused by posture and position of the head:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25393825/
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