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膝軟骨損傷を解説

この記事を読んでわかること
膝軟骨損傷の主な症状と原因
診断方法と治療法の選択肢
回復過程とリハビリのポイント


関節軟骨は関節の滑らかな動きを作り、重力からのクッションの役割を担っています。
特に膝は強い重力がかかるため重要な存在と言えます。
加齢や反復する動作、スポーツや外傷で膝軟骨が損傷されることがあります。
この記事では、膝軟骨損傷について解説します。

膝軟骨損傷とは

膝軟骨損傷とは
膝関節は人の体では最も大きな関節です。
歩く、立つなどの動作の中でも非常に重要な役割を持っています。
骨の関節面は軟骨で覆われており、軟骨が損傷してしまうと骨が剥き出しになってしまいます。
軟骨そのものには神経線維はありませんが、骨の表面にある骨膜には神経線維が豊富なため、露わになった骨に荷重が加わると痛みを感じてしまいます。

膝軟骨損傷の原因

加齢により関節軟骨の弾性がなくなってしまうと、摩耗して膝軟骨は損傷してしまいます。
肥満や正座と立ち座りを繰り返す動作も膝軟骨への負荷は高くなり、損傷しやすい要因となります。
スポーツや外傷で、靱帯や半月板を損傷したときに同時に軟骨も損傷されることがあります。
近年では脳梗塞後遺症の一つ、痙縮(手足が突っ張ってしまう状態)があるなかで無理に歩行をしてしまうことも負担が大きいと考えられています。

膝軟骨損傷の症状

膝軟骨が損傷すると、歩行や膝の曲げ伸ばしの際に痛みを感じるようになります。
また、関節運動時に引っかかりやロッキング(膝がロックされたように動かせなくなってしまう状態)が出る場合もあります。
これらの症状は骨膜が刺激されてしまうことの他、損傷した軟骨の欠片が関節の中を自由に動き回れる状態となること(関節ねずみと呼ばれます)で生じます。

膝軟骨損傷の治療

保存療法

治療の基本は保存療法(手術を行わない治療)となります。
保存療法は運動療法と投薬(解熱鎮痛薬の内服や湿布)がメインです。
運動は痛くない範囲で、膝の可動域練習や筋力強化を行いましょう。
ハーフスクワット(膝を軽く曲げるスクワット)は、臀部や膝周辺の筋力を鍛えるのにおすすめです。
膝が痛い場合や動作が不安定で自信のない場合は、何かを支えにして行った方が良いです。
10回を3セットなど、無理のない範囲から始めましょう。
また、肥満がある場合は減量も軟骨損傷の予防となるでしょう。
歩行する場合は8000歩が一つの目安です。スマートフォンの歩数計を利用すると取り組みやすいです。

手術療法

保存療法で痛みや機能が改善しない場合では、手術療法が検討されます。
手術は関節鏡を用いる関節強化骨髄刺激法(マイクロフラクチャー法)と、別の部位から軟骨を移植する自家骨軟骨移植術(モザイクプラスティ法)があります。
関節強化骨髄刺激法(マイクロフラクチャー法)は、軟骨の一部と骨髄(骨)に穴を開ける手術です。
穴を開けることで骨髄から血液や骨髄液が関節内に出てきます。
これらが時間が経つことで線維軟骨となり、関節面を保護してくれます。
自家骨軟骨移植術(モザイクプラスティ法)は、動作や荷重に影響しない部位から軟骨と周囲の組織を採取して、損傷している部分に移植する方法です。
関節強化骨髄刺激法(マイクロフラクチャー法)よりも大きな損傷にも対応できます。

再生医療

近年、様々な分野で再生医療が注目、実施されています。
身体の中で一番治りが悪い組織が脳や脊髄などの中枢神経だと言われています。
その様な中、当院では脳卒中・脊髄損傷・神経障害を専門として、『脳・脊髄の治る力(可塑性)』を高める、ニューロテック®(損傷部を同時に刺激する再生医療)にて、後遺症の軽減に努めてきました。
障害を少しでも軽減させるためにリハビリテーションのための下地作りとして、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』をご活用下さい。
そのため、当院では脳や脊髄の治る力を高めるため、脳卒中や脊髄損傷の後遺症に対し行っているニューロテック®もその一つであり、再生医療×同時リハビリでより高い効果が期待されます。
 
軟骨損傷でも再生医療が行われています。
自家培養軟骨移植術は保険適用の治療で、採取した軟骨を培養して増やして、損傷部位に移植する手術です。
多血小板血漿(PRP)は、血小板が組織を修復させる物質を出すことを利用し、自己治癒力を利用して軟骨損傷の改善を期待するものです。
多血小板血漿(PRP)は、日本ではまだ保険診療では認められておらず、自費での治療となります。
骨関節・軟骨疾患での障害を軽減させるためにも、リハビリテーションのための下地作りとして、『治る力(可塑性)』を高める『ニューロテック®』のご活用をご検討下さい。

まとめ

この記事では膝軟骨損傷について解説しました。
膝は生活において非常に重要な関節です。
痛みが出る前に大きな負担がないか確認しつつ、痛みが生じてしまった時には受診をした上で運動など行いましょう。

よくあるご質問

膝の軟骨は再生しますか?
関節軟骨には血管がほとんどなく、一度損傷すると自然な再生は難しいです。
近年では、自家培養軟骨移植や多血小板血漿による治療などの再生医療が行われています。

膝軟骨損傷の治療方法は?
関節軟骨には血管がほとんどなく、一度損傷すると軟骨自体の損傷は治癒しません。
運動療法や投薬により症状を和らげることができます。
効果がない重症の場合は手術療法も検討されます。
近年では再生医療も行われています。

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<参照元>
・変形性関節症はなぜ痛いのか? .石黒ら.日本ペインクリニック学会誌 Vol.27 No.1, 2020.8-14:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspc/27/1/27_19-0018/_pdf/-char/ja
・間葉系幹細胞を用いた 膝軟骨再生治療:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/56/9/56_56.690/_pdf

<あわせて読みたい記事>運動失調症の治療とリハビリ




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