・脳梗塞とはどんな病気か
・脳梗塞後に行うリハビリテーションの種類
・脳梗塞発症後の時期に応じたリハビリテーションについて
脳梗塞後は早期からリハビリテーションを行うことが一般的になっています。
発症後の時期に応じた適切なリハビリを理学療法士、作業療法士、言語聴覚士により行い、その方の能力を最大限に発揮して維持できるように関わっていきます。
この記事では、リハビリの種類、リハビリの時期に応じたリハビリ内容について説明しています。
目次
脳梗塞後の片麻痺への理学療法と作業療法や言語療法の役割
脳梗塞とは、ある部分で血液の流れが止まってしまい、必要な血液を得られなくなった細胞が死んでしまう病気です。
脳の細胞は一度損傷するとほとんど再生しないので、脳梗塞で失われた機能を取り戻すことは非常に困難であり、多くの場合、運動麻痺などの後遺症が残ってしまいます。
脳梗塞の代表的な症状は意識障害、運動障害、感覚障害、平衡障害、視野障害などがあります。
また、これらの障害により日常生活動作能力の低下も見られることがあります。
脳梗塞後のリハビリでは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士がそれぞれの専門性を活かし、これらの障害に対してのリハビリテーションを行います。
理学療法の役割
脳梗塞により運動麻痺、筋力低下、関節可動域制限などの症状が出現し、身体を動かすことが困難な患者に対して、基本的な身体運動のリハビリを行います。
具体的には、
- 寝返り、起き上がり
- 座位保持
- 起立、立位保持
- 車椅子への乗り移り
- 歩行訓練
- ストレッチ
- 筋力トレーニング
個々の症状に合わせて装具を作成したり、移動能力に合わせて歩行器や杖などの歩行補助具を選定することもあります。
また、退院後の在宅環境に合わせた生活動作や移動動作の指導も行います。
作業療法の役割
脳梗塞になると片麻痺を始めとした症状が出現し、基本的な動作だけでなく、日常生活動作も困難となる場合があります。
作業療法では、日常生活動作をはじめとする応用的な動作に対してのリハビリテーションを行い、その人がなるべく自力で生活動作を行えるようにサポートします。
また、生活動作を行うにあたって手の機能訓練も行います。
具体的には、
- 更衣動作訓練
- 排泄動作訓練
- 食事動作訓練
- 更衣動作訓練
- 家事動作(調理・掃除など)訓練
- 手の握りやつまみ動作訓練
理学療法と作業療法は全く別のことをするわけではありません。
基本的な動作や生活動作において必要となる動作は連携して共に訓練していきます。
言語聴覚士の役割
言語聴覚士は、言葉の理解、発声、嚥下に対しての訓練の他、認知機能や高次脳機能に障害のある方に対してのリハビリテーションを実施します。
具体的には、
- 発声の訓練
- 聴理解の訓練
- 食べ物を飲み込む(嚥下)訓練
- 記憶力や注意力に対しての訓練
嚥下訓練は、実際の食事形態を評価し、その方の嚥下機能に合わせて段階的に変更を検討します。
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急性期から生活期までのリハビリの段階について
『脳卒中治療ガイドライン2004』には、「廃用症候群を予防し、早期のADL向上と社会復帰を図るために、十分なリスク管理のもとに急性期からの積極的なリハビリテーションを行うことが強く勧められる」と書かれています。
脳梗塞発症早期からのリハビリテーションが重要であるとされ、リハビリテーションは急性期からの介入が一般的です。
脳梗塞のリハビリテーションの流れは、急性期、回復期、生活期に分けられます。
急性期
急性期リハビリテーションは、発症直後からベッドサイドで開始され、廃用症候群の予防と早期からの運動学習によるセルフケアの自立を目標としています。
医療的な治療が必要な時期なので、リハビリの際には医師・看護師と連携して患者の容体を把握したうえで介入することが重要です。
ベッド上での寝返り、起き上がり、座位保持訓練を段階的に行い、状態が良ければ車椅子への乗り移りや歩行訓練も実施します。
回復期
回復期リハビリテーションは、急性期に引き続いて、リハビリテーションチームによって積極的、集中的にリハビリを行います。
基本的な運動はもちろん、日常生活に必要となる生活動作の練習や、嚥下訓練なども積極的に行います。
その方の退院後の生活を想定した際に必要となる動作を訓練に取り入れていき、能力の最大限の回復および早期の社会復帰を目指すのです。
生活期
生活期リハビリテーションは入院期間を終了している方が多い時期なので、その方の生活背景に応じて必要となる動作能力が維持できるように働きかけていきます。
生活環境において動作が行いやすくなるよう、福祉用具の導入や自助具の導入、環境調整も必要に応じて行います。
身体機能回復を目指す回復期リハビリの重要性
回復期リハビリテーションとは急性期治療を経て容体が落ち着いた患者が集中的なリハビリを行う時期です。
この時期は最も回復が期待できる時期であり、集中的にリハビリを行うことで、その後の安定した日常生活動作の獲得につながります。
回復期リハビリテーション病棟では、一日最大3時間のリハビリを行います。
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が専門的な個別リハビリを実施する他、病棟での生活動作もリハビリとして取り組みます。
患者の退院後の生活を想定した生活動作の獲得を目指し、患者、リハビリスタッフ、病棟スタッフにてリハビリに取り組んでいくのです。
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まとめ
脳梗塞後は早期からのリハビリがとても重要です。
また、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が発症後の時期に応じたリハビリを実施し、その方の身体能力、生活動作能力を最大限に引き出せるように関わっていきます。
しかし、脳の細胞は一度損傷するとほとんど再生しないので、脳梗塞で失われた機能を取り戻すことは非常に困難であり、後遺症が残ると言われているのも事実です。
そこで、近年注目を浴びているのが再生医療です。
ニューロテックメディカルでは、脳卒中・脊髄損傷を専門として、狙った脳・脊髄損傷部の治癒力を高める治療『リニューロ®』を提供しております。
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よくあるご質問
- 片麻痺を改善するリハビリは?
- 発症早期よりリハビリテーションを行い、麻痺側の上肢・下肢の正しい運動学習を行うことで、回復が期待できます。
ただし、麻痺の重症度によって運動内容は変わってきます。 - 脳梗塞のリハビリで注意することは何ですか?
- 発症直後はベッド上での安静となりますが、寝たきりの期間が長くなると、筋力低下や関節可動域制限などが出現し、廃用症候群になってしまいます。
ベッド上でのリハビリを早期より始め、廃用症候群を予防しましょう。
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<参照元>
・日本生活習慣病予防協会:
https://seikatsusyukanbyo.com/guide/cerebral-infarction.php
・日本神経治療学会:
https://www.jsnt.gr.jp/guideline/img/nou2009_07.pdf
・回復期リハビリテーションネット:
https://kaifukuki.doctorsfile.jp/number/09
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