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伸ばしても切れない生体吸収性ポリマー

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2019.5.22

東レの新開発ポリマー

東レは3月14日、ゴムのように柔軟性があって、伸ばしても切れにくい生体吸収性のポリマーを開発したと発表しました。元の長さの10倍に引き伸ばしても、破断しないで元の形状・長さに戻り、その上、加水分解速度が10倍に向上したと云う優れものです。これからは、このポリマーを使って、再生医療などの組織再建治療への展開が期待されます。従来は、生体吸収性ポリマーとしてポリ乳酸やポリグリコール酸が用いられていましたが、結晶を形成し易く、硬くなってしまうので、引き伸ばしても破断しにくいと云う耐破断性と柔軟性の両立が困難でした。そこで、乳酸の二量体(※)であるラクチドとカプロラクトンを用いて、特殊な共重合方法を開発して、柔軟性と耐破断性の両立と、合わせて加水分解性を10倍向上させた生体吸収性ポリマーを作り出しました。
※二量体:二つの同種の分子や単量体が物理的・化学的にまとまった分子。

ラクチドとカプロラクトンから成る共重合体は、疎水性が高いから水が接近しにくいので加水分解に時間がかかりますが、エチレングリコールユニットの含有量を制御することで、その特性を維持したまま、分解性を10倍向上させることが可能になったのです。開発したこのポリマーを、直径3㎜のポリエステル繊維製の人工血管の外表面に被覆すると、湾曲させても座屈することなく人工血管の動きにしなやかに追従しました。また、動物実験において、このポリマーで外表面を覆ったポリエステル繊維製の人工血管を移植したところ、繊維の隙間から血液が漏れるのを防げました。移植後ポリマーが分解するにつれて、人工血管の周囲から血管を構成する細胞が侵入して、人工血管を基に血管組織が再生し、移植後6ヶ月後でも人工血管が開存していることが確認されています。これにより、再生医療において、損傷した柔軟組織を再生する足場として、このポリマーを使えば、役割を終えると分解してしまうので残留の心配がありません。血管や皮膚、消化器などの柔軟な動きが想定される組織や臓器を回復させる再生医療分野以外においても、幅広い適用が期待できます。2025年~26年の実用化を目指しているようです。

ポリマーとは

ポリマー(polymer)または重合体とは、複数のモノマー(単量体)が重合する(結合して鎖状や網状になる)ことによってできる化合物のことです。一般的には高分子の有機化合物で、今では高分子と同義語で用いられることが多いです。2種類以上の単量体からなっている重合体のことを共重合体と云います。ポリマーと云う言葉を知らない人はあまりいないでしょうが、「じゃあ、ポリマーって何?」と問われて、答えられる人はなかなかいないでしょう。身近なところでは、紙おむつやペットのシートなどに使用されている高吸水性ポリマーや自動車のポリマーコーティングや、繊維として用いられる「ナイロン」、スーパーのレジ袋の「ポリエチレン」などの合成樹脂等が馴染みのあるところでしょうか。ポリマーとは一般的に高分子の有機化合物を指す化学用語でいろんな種類があるので、用途が全く異なるのです。このポリマーの一種で医療分野でも重要な役割を果たしているのが、「リン脂質極性基を有するポリマー(MPCポリマー)」です。以前は、医療用チューブやカテーテルの材料として使われるシリコンやポリエチレンなどは、体内に入ると異物と判断されて血液凝固などの拒絶反応を起こすと云う大きな問題がありました。でもこのMPCポリマーは細胞膜の構成成分であるリン脂質極性基を導入したポリマーなので、シリコンやポリエチレンにコーティングするだけでタンパク質や血球などが極めて付着しづらく出来るのです。

例:ポリエチレン製の人工股関節の表面に厚さ100ナノメートルのMPCポリマー層をコーティングすることで、ウナギの肌のようにヌメヌメして、動きが滑らかになります。

例:以前の人工血管は太さが10~20㎜ありましたが、MPCポリマー製なら2㎜まで細くしても血管が詰まりません。

MPCポリマーを素材にしたポリエチレンにコーティングすることで、人工股関節の耐用年数の向上を果たし、医療現場だけでなく、いろんな分野(コンタクトレンズケア用品や化粧品用材料、繊維加工剤など)で使用されるようになって来ています。

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