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ブタを使った再生医療

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2019.11.20

ブタは遺伝的にヒトに近いわけではありませんが、最近、実験動物として注目されています。遺伝学的な距離から言うと、マウスの方が近いのですが、今、ブタが再生医療研究で多く使われている現状を紹介します。

医療に役立つブタによる研究

ブタがヒトと似ている点

・解剖学上、生理学上の性質がヒトに近い
・反芻動物ではない
・消化器系が似ている
・ヒトと同じものを食べて、消化する
・運動不足になりがちでアルコールを好み、なんでも食べて肥満や糖尿病になる
・心臓や肝臓が似ている
・体重や骨格サイズがヒトに近いから、医療用機器の開発に役立つ

医学研究用ブタの作出

上記のように、ブタはヒトとの類似性が高いので、ヒトに近い知見を得られる実験動物として利用され、糖尿病やアルツハイマーなどを再現する病態モデルのブタが作出されています。また、ヒトとブタによる異種移植においては、臓器ドナーとして遺伝子改変ブタを利用する研究も進められています。

遺伝子ノックアウト技術

ヒトの病気を模倣した病態モデルブタの開発には、特定の遺伝子機能を消失させた遺伝子ノックアウト技術が極めて重要なのです。でも、マウスでは未分化で増殖性の高い胚性幹細胞(ES細胞)を利用した相同組換え(※)が確立しています。でも、ES細胞が樹立されていないブタでは、相同組換えが非常に低頻度の体細胞を使うので、多くの時間を要する非効率性と煩雑さが遺伝子ノックアウトブタ作出のネックとなっていました。
※相同組換え:DNAの塩基配列がよく似た部位(相同部位)で起こる組換えで、いろんな化学物質や放射線で切断されたDNAは主に相同組換えで修復されます。

ジンクフィンガーヌクレアーゼの登場
ジンクフィンガーヌクレアーゼと云う人工制限酵素の登場で、効率的な遺伝子改変が可能となり、IL2RGノックアウトブタが作出されました。IL2RGノックアウトブタは、ヒトの重症複合型免疫不全症(SCID)と同じ症状が現れ、SCIDモデル動物として、SCID患者由来iPS細胞を用いた幹細胞移植治療法の検討・確立に大きく貢献しています。また、ジンクフィンガーヌクレアーゼと体細胞核移植技術の組み合わせにより、目的以外の遺伝子機能を傷つけるリスクがなくて、短期間に免疫不全のブタを作れるようになり、その治療法の研究に大きく貢献すると期待されています。ヒトの幹細胞治療法やがん治療法などの各種評価では、マウスを用いるより忠実に反映する知見が得られると思われます。

腎臓再生 慈恵医大

2019年4月、東京慈恵医大と大日本住友製薬は、人工多能性幹細胞(iPS細胞)とブタの胎児細胞を使って、ヒトの体内で腎臓を作る再生医療の共同研究を始めました。サルで安全性や効果を確認した後、3年後にヒトでの臨床研究、2020年代には実用化を目指し、「将来的には臓器移植に代わる治療法にしたい」そうです。

その①-最初に人工透析中の腎不全の患者さんなどのiPS細胞から腎臓の基になる細胞を作ります。

その②-①をブタの胎児の腎臓組織に注入し、「腎臓の種」を作ります。

その③患者さんの腹部に移植します。

数週間で腎臓として機能し始め、この段階で患者さんの尿管につなぐことで、透析回数を減らすことを目指しています。
慢性腎不全の進行は、体内の老廃物が排出出来ずに、腎移植か透析治療が必要となります。移植件数は限られ、現在、国内で約33万人が透析を受けているので、この研究の実用化が期待されるのです。

拒絶反応を起こしにくいブタ

2019年6月、慶応大ではヒトの細胞で出来た組織を移植しても、拒絶反応が起こりにくいブタを作ったと発表しました。実験用のブタから免疫細胞を作る胸腺と脾臓を摘出して、免疫抑制剤を投与すると、拒絶反応を長期間抑えることが出来ました。ヒトの細胞で作った人工血管を移植して、約半年間、正常に血が流れることも確かめられました。

いかがでしたか、ブタの臓器は大きさがヒトに近いので、再生医療用に作った組織や臓器の働きを調べるのに役立つと期待されているのです。
是非、参考にしてください。

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