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ゲノム編集で次世代iPS細胞

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2019.5.18

平成の時代には生命科学の分野で、2つの革新的な発明がありました。その一つは皆さんもよくご存じの、様々な細胞に変われるiPS細胞(人工多能性幹細胞)です。そしてもう一つが遺伝子を精度良く改変できる技術の「ゲノム(※)編集」です。次世代、令和の時代には再生医療や難病治療の分野で、この両者を組み合わせた研究が注目を集めていきます。
※ゲノム:「ある生物をその生物たらしめるのに必須な最小限の染色体セット」と定義され、DNAが発見されて以降は、「全染色体を構成するDNAの全塩基配列」と云う意味を持っています。

iPS細胞で再生医療

加齢や事故、病気などで健康な細胞を失った人に、iPS細胞から組織や臓器の細胞を作って移植する再生医療は実用化の段階に入っています。将来的には第三者のiPS細胞を増やしてストックし、広く供給する体制づくりの研究と準備が進められています。ただ、iPS細胞で問題になるのは、自分以外の細胞を移植すると拒絶反応が起こると云うことでした。細胞の表面には免疫の型を決める目印の分子があり、この自分の型と違う分子があると免疫細胞が攻撃を加えるのです。だから、9割の日本人で拒絶反応を抑えるには、免疫の型がそれぞれ異なるiPS細胞を140種類も揃えてストックしなければならないのです。ストック計画は2013年から開始され、2019年現在、3種類3割をカバー出来たにすぎません

ゲノム編集の技術

遺伝情報を高い精度で改変できる技術で、DNA切断酵素である人工ヌクレアーゼ(※)を使って、ゲノム上で特定のDNA塩基配列を標的として遺伝子を壊したり、置き換えたりする技術です。2010年以降、遺伝子治療や農畜産物の育種への応用で研究が急速に進んでいます。
※人工ヌクレアーゼ:DNA(デオキシリボ核酸)鎖の任意の塩基配列を認識して切断するよう、人工的に改変された制限酵素のこと。

人工ヌクレアーゼによって切断されたDNAは、切断部分に特定の塩基配列の末端を持って、細胞が持っているDNA修復機構によって修復されます。その時、切断された部分がそのままで繋ぎ直されれば何も変わりは起きませんが、機能している遺伝子領域を切断して機能を喪失させたり(ノックアウト)、切断後に、新たなDNAの断片を挿入して機能を得る(ノックイン)などによって、ゲノムDNAを元に戻せない形で改変出来るのです。

クリスパー・キャス9の登場

クリスパー・キャス9はゲノム編集の一種で、遺伝子の鎖を切断するハサミの役割を持つ酵素と、目的位置まで酵素を導く分子を組み合わせて、狙った目的の遺伝子を改変出来ます。2012年に登場したこの新技術「クリスパー・キャス9」を使って、iPS細胞の免疫の型を決める遺伝子の一部を壊して、動物に移植した結果、拒絶反応が起き難くなることを確かめました。計算上、ゲノム編集で7種類のiPS細胞を作れば、日本人の95%以上に適合できるとされています。京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥所長は、2019年3月開かれた日本再生医療学会の講演で、「拒絶反応の起きにくい最初の『次世代iPS細胞』を、来年には使えるようにしたい」と抱負を語っていました。

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