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先端医学が拓く未来~二人のノーベル賞受賞者講演~

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2019.6.16

平成31年4月8日、二人のノーベル賞受賞者が開いた若者向けに、がんや治療の難しい病気を克服する再生医療の新時代についての、講演がありましたのでご紹介します。

本庶 佑氏(神戸医療産業都市推進機構理事長)

1942年京都生まれ、2018年がん免疫療法でノーベル生理学・医学賞受賞。

免疫薬効果

本庶さんは30代初めにアメリカに留学した時、遺伝子の数には限りがあるのに、免疫は無限ともいえる種類の抗体を作って、細菌やウイルスから体を守ると云う、その不思議を究めようと思いました。その研究で出会ったのが、がんと免疫(※)との関係でした。
※免疫:自分と違う異物を攻撃、排除しようとする人体の防御システム。
体内にできるがん細胞を監視し排除するのが免疫の働きでしたが、何かの具合で監視から逃れると、がんが出来てしまうのです。それで、「免疫を強化すれば、がんは治る」と云う仮説が出来、患者さんの免疫細胞を活性化させて、体内に戻す治療法を長年試しましたがうまく行きませんでした。でも、ついに1992年、免疫細胞の表面にある「PD-1」と云う分子を発見しました。このPD-1とがん細胞が結合すると、がん細胞を攻撃する免疫細胞にブレーキがかかった状態になることが分かりました。マウスでの実験で、PD-1とがん細胞の結合を邪魔する薬を投与した結果、そのブレーキが外れて、がんが増殖しなくなりました。そこで、その薬を末期のがん患者さんに投与した臨床試験の結果、肺がんや皮膚がん、腎がんで20~30%の患者さんに有効でした。その薬が「オプジーボ」などとなって、現在発売されています。ただ、まだこの薬が効かない人もいるわけですから、その有効確立を高めることが、今後の課題となっています。PD-1の発見から薬の発売まで22年、地道な基礎研究の末に実用化の道が開かれたのですが、やってみないと分からないのが生命科学の研究です。好きな研究に没頭できる環境づくりには多額の研究資金が必要で、本庶さんはノーベル賞の賞金を基金にして、若い研究者の支援を行っています。

山中伸弥氏(京都大学iPS細胞研究所長)

1962年(現市名)東大阪市生まれ、2012年iPS細胞作製でノーベル生理学・医学賞受賞。

iPS細胞で再生医療

山中さんが中学生の頃、お父さんはケガの治療で受けた輸血が原因で肝炎になり、やがて肝硬変が悪化しました。そして、山中さんが医師になった翌年に58歳で亡くなりました。何も出来なかった無力感から、治療法がない病気の研究者になろうと思ったそうです。アメリカ留学中に出会った二つの出来事を話してくれました。その一つは、研究所の所長が話した「研究者として成功する秘訣はVision & Work Hard」と云う言葉でした。しっかりした将来の展望を持って、一生懸命努力すれば必ず成功する、信念のようなものですね。そしてもう一つが、ES細胞(胚性幹細胞)との出会いでした。ほぼ無限に増え、体のあらゆる細胞を作れる万能細胞であるES細胞の登場によって、再生医療と呼ばれる新しい治療法が期待されるようになりました。でも、ES細胞には受精卵から作ると云う倫理上の課題があります。そこで、受精卵を使わず、万能細胞を作るビジョンが掲げられました。2006年、マウスの皮膚の細胞からES細胞とそっくりの細胞を作ることに成功し、iPS細胞(人工多能性幹細胞)と名付けられました。翌年には、人の細胞からも成功しました。
現在、iPS細胞を使った再生医療では多くの計画が進み、パーキンソン病を始め、角膜の病気や心不全、脊髄損傷などで臨床試験が始められています。がんを攻撃する免疫細胞を、iPS細胞の技術で若返らせて治療する研究も進められています。また、難病患者の細胞からiPS細胞を作って治療薬を探す分野では、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の進行を抑える薬の臨床試験が始まっています。

平成時代に生まれたiPS細胞の研究成果が実を結ぶのが次の時代、「冬を乗り越えた梅が大きく開く」と言う意味の「令和」なのです。

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